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異世界でTRPGの作ったキャラに転生? モブプレイヤーの冒険  作者: 愛自 好吾


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第7話 冒険者ギルド ②





 冒険者登録が終わり、俺は最初に声を掛けてきたベテラン冒険者の元へ行く。


 そこで色々と話し込んで、今は俺の身の上話を語っているところだ。


 蜂蜜酒(ミード)をやりながらの会話なので、話が饒舌(じょうぜつ)になっていた。


 「なるほどねぇ、山賊に村を襲われて壊滅、それを領主様に何とかしてもらおうと嘆願しにやって来たって訳か。」


 「ええ、でもその肝心の領主様に俺の伝えたい事の話が通っているか解らないんですよね。」


 「はっはっは、まぁこの町の衛兵は口は悪いが仕事は出来るから、大丈夫なんじゃないのか?」


 「だと良いんですが………………。」


 ミードを飲み、喉を潤す。その後ベテラン冒険者がふと思い出した様に言った。


 「そういやあ、あんたと同じく村が賊に襲われて逃げて来たって若いモンが居たな、確かあのテーブルに座っている奴等だったか。」


 ベテランが顎で指した方向を見ると、そこには暗い表情をして俯いている男女が座っていた。


 「俺と同い年ぐらいの奴ですね、彼等も俺と同じように賊に?」


 「ああ、お前さんと同じ様にここへ来て、マーロン伯様に嘆願しに来たが、取り次いで貰えなかったらしい。」


 そうか、俺と同じ境遇って訳か、ここに居るって事は帰るに帰れないんだろう。


 「俺、ちょっと行って話してきます。」


 「あまり入れ込み過ぎるなよ、兄ちゃんだって人の事は言えないんだからな。」


 「ええ、解っていますが、どうにも放ってはおけないんで。」


 「やれやれ、損な性格だな兄ちゃんも、俺も付き合ってやるよ。行こう。」


 「ありがとうございます。」


 このベテラン冒険者は結構いい人なのかも、面倒見が良いんだろう。


 このギルドの顔役だったりして、まさかな。


 俺達が件の二人組のテーブルに近づき、声を掛けると暗い表情のままだが、こちらに顔を向けた。


 「何か用ですか?」


 女性は小さな声で返事をし、男の方は無言で俺を見て来た。


 「大した用事ではないが、あんた等も賊に村を襲われてここへ来たと聞いてね。」


 ここで男の方が俺の言葉に返事をした、その表情は暗いままだが。


 「も? って事はあんたもか?」


 ふむ、ちゃんと俺の話を聞いていたか、塞ぎ込んでいても周りに注意を向けていたのか。


 男の方は中々見所がありそうだ。


 女性も俺の質問を聞いて、返事をする。


 「あなたも村を賊に? あの、あなたは?」


 おっと、まずは自分から自己紹介だな。会話の基本だ。


 「ああ、名乗りが送れた、俺はジョー。モーリス村から来んだ。よろしく。」


 俺が返事をすると、その隣に居たベテランも名乗りをあげた。


 「俺はこの兄ちゃんとは直接関係が無いが、まぁ、話を聞いてあんた等を紹介した口でね。俺はバーツ、元傭兵で今は冒険者だ。よろしくな。」


 バーツと言うのか、初めて知った。しかも元傭兵とは、人に人生アリだな。


 「ジョーにバーツか、俺の名はフォルテ、俺と彼女は東のリエント村出身だ。」


 フォルテというのか、革鎧を着こなしてロングソードを帯剣している。それに中々のイケメンだ、髪の色は淡いブルーと瞳の色と同じだ。きっとモテモテだろう。


 「初めまして、私はメロディ。フォルテと同郷の精霊使い「エレメンタルユーザー」よ、よろしくね。」


 彼女の名前はメロディーというのか、身長は低いが中々可愛い。髪の色は金髪で瞳の色はブルー、くりっとした目に整った顔立ち、緑色のローブを纏いウッドワンドを持っている。


 「よろしく、二人共。」


 俺が挨拶した直後、バーツが怪訝な表情で尋ねた。


 「リエント? ここから大分離れた村だな、そこからなら王都の方が近かったんじゃないのか?」


 バーツが質問すると、フォルテもメロディも俯き、首を左右に振りながら言った。


 「いや、駄目だったんだ。王都では門前払いをされたよ。」


 「私達に構っている暇は無いとか言って、ホント頭に来ちゃう。」


 ふーむ、門前払いか。それはさぞ憤ったことだろう。


 話の続きをメロディがした。


 「そこで私達は、まだ信用できるマーロン伯様を頼ってここまで来たのだけれど。」


 続いて、ベテランのバーツさんが答える。


 「良い返事は貰えなかった訳か、しかし、わざわざ来て返事が遅いと、宿だって金が掛かるだろうに。」


 「そんなの、馬小屋にでも泊まっているよ。」


 「安いし、寝るだけなら十分よ。」


 逞しいな、いや、余裕がないからだろうな。


 「しかし、こうも山賊が暴れ回っているのに、王都は何やってんのかなぁ。」


 俺の言葉に、フォルテが食いついた。


 「山賊だって? 俺達の村を襲ったのは海賊だぜ。リエントは漁村だからな。」


 ここで俺は、思った事を口に出した。


 「じゃあ、この国は今、海賊と山賊の両方の問題を抱えてるって事か?」


 「それだけじゃない。」


 俺の言葉に被せる様に言ったのは、バーツさんだ。


 「この国は今、兵士の数が圧倒的に足りない。」


 「どういう事ですか? バーツさん。」


 メロディが聞き、俺もフォルテもバーツさんの返事を待つ。


 「お前等は知らないか、この島国、ロファール王国の軍は今、派兵してるんだよ。だから人手が足らないのさ。」


 「派兵?」


 俺が言葉を入れると、バーツさんは頷き更に続ける。


 「ああ、事の発端はセコンド大陸南東部に位置しているカナン王国が、少し離れたレダ王国に侵攻を開始したのが始まりだ。」


 カナン王国とレダ王国の戦争? はて、何処かで聞いた様な?


 あっ!? 思い出した、ソロプレイヤー向けのTRPG依頼票ブックに載っていたシナリオイベントだったじゃないか。


 覚えているぞ、本をそれとなく読んでおいて正解だったかも。


 「ロファール王の妃はリーザ様。リーザ様はレダ王国の人間だ。それだけじゃなくこの国とレダ王国は貿易が盛んで、肉はレダから、魚はロファールからそれぞれ仕入れていて、付き合いもまた、親戚関係なので仲は良好だ。」


 「じゃあ、レダ王国の支援の為にロファールが?」


 「ああ、兵を派遣して、レダ王国の窮地に馳せ参じる訳だが………………。」


 ここまで語っていたバーツさんは、急に口ごもる。


 「それで、今この国は防衛能力が下がっているって訳なんですね。」


 「ああ、それもあるが、ここだけの話にしろよ。軍を派遣したロファール王の軍隊との連絡が、ぷっつりと途絶えたらしいんだよ。」


 「え!?」


 「ロファール王が!?」


 「レダに派兵して、音信不通って事ですか?」


 「そうだ、ロファール王の生死不明、軍も壊滅したのか、それとも只の連絡の遅れか、いずれにしても只事じゃねえ。」


 そうだったのか、それで衛兵はみんなピリピリしていたのか。


 「話を戻すが、そんな訳で今この国に居ない王様から政務を任されているのが、宰相のゴッタって奴だが、こいつがまたとんでもねえ奴でな。」


 「ゴッタ! 聞いたことある、私の友達がいたずらされて僅かなお金で口を噤めと言われたって噂があった男よ!」


 メロディが何やら憤慨していると、バーツさんが頬をポリポリと掻いて返事をする。


 「多分、その話は本当だ。ゴッタは性格も根性もひん曲がった人間でな、自分以外の人を軽んじる奴なんだと。」


 「そんな奴がこの国の政治を任されているのですか? ロファール王は一体何を考えて?」


 「ロファール王だって知らない事さ、なにせここ最近になってゴッタは本性を現してきたからな。」


 なるほど、宰相ゴッタは駄目人間と、で、それを何とかしない事には話が前に進まないって事だな。


 話を聞いて、メロディーがバーツさんに質問した。


 「王都に居るリーザ様はどうなさるのでしょうか?」


 「おそらくだが、リーザ様はゴッタの奴に幽閉されている可能性が高い。」


 「そこまでするのか? ゴッタは。」


 フォルテが怒り、バーツは腕を組み、思案気に答える。


 「だが、厄介なのがゴッタとマーロン伯との間にある確執だな、マーロン様はゴッタの事が嫌いで自分の領地に引き籠っているぐらいだからな。」


 「マーロン伯とゴッタとの間に、一体何があったんですか?」


 「ああ、お前等は知らないだろうな、昔、マーロン様は王都に務めていたんだが、事ある事にゴッタに邪魔されて、半ば追い出される形で王都を後にしたのさ。」


 ふーむ、マーロン伯がゴッタの事を嫌っているか、じゃあ山賊討伐に兵を出してくれるには、援軍が必要だと。


 で、その援軍は王都からの頼みの綱だが、その王都のゴッタと相性最悪か。


 こりゃ難しい事になってきましたな、俺の村を襲った山賊を何とかして欲しいが。


 海賊も居るし、ゴッタが駄目人間だし、兵も少ない、マーロン伯も大変って訳か。


 これは、もしかすると長期戦になる可能性が出て来たな。


 やれやれ、上手い事物事が運ばないものだなぁ。






 

 


 




 





  



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