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第17話 レベルアップの恩恵



 夜も更けて来たので、俺達は一旦ギルドから解散となった。


 マーロンの町には風呂屋もあるとの事なので、俺は宿を取らずに風呂屋へ。


 そこでひとっ風呂浴びて落ち着き、そのまま馬小屋へ行き寝泊まりする。


 馬小屋の管理人に銅貨4枚を支払い、一泊寝泊まりの交渉をした。


 寝る前にギルドでの事を思い出した、確か経験点を獲得したんだったな。


 俺は寝床で横になり、目を瞑り頭の中でキャラクターシートと思い浮べる。


 すると思った通り、頭の中で俺が以前作った「ジョー」のキャラクターシートが浮かんできた。


 「ふーむ、割と鮮明に解るもんなんだな、さてさて、早速経験点を利用させてもらおうか。」


 先ずは自分の今の能力を確認だ、というより、あの時作ったままの状態だった。


 ジョー、冒険者レベルは3、ジョブは戦士がレベル3でスカウトとレンジャーが1。


 スキルには剣術があった、そうだった、俺は剣術を取っていたんだった。


 戦士としてはまずまず、剣術がある事で多少は有利って感じか。


 あとは、ユニークスキルの「★プラス1」というモノ。


 これは既に解っている、だがレベルと技量の低い俺では、今の所★1の一般流通品しか上手く扱えない。


 「これを何とかしたいよな、折角のユニークなのに。」


 さて、先ずはレベルアップだ。


 経験点を消費して、戦士のジョブレベルを一つ上げられそうだぞ。


 俺がそう思い浮かべると、自動的に戦士のジョブレベルが4に上がった。


 よしよし、こういう風にやるのか。中々のシステムじゃないか。


 よし、この調子で他のジョブもレベルアップだ。


 経験点の残りは1000点、スカウトかレンジャーのどちらかを一つ上げられそうだ。


 うむ、ここはスカウトのレベルを上げよう。


 よしよし、スカウトのジョブレベルが2になったぞ。


 だが、冒険者レベルはメインジョブになる為、メインジョブの戦士が4なので冒険者レベルも4だ。


 「うむ、こんなもんかな。さて、お次は能力値の上昇だ。」


 戦士とスカウトの二種類のレベルを一つずつ上げたので、能力値上昇のチャンスも2回分だと思う。


 やはり、思った通り。サイコロを振れるようだ。


 各能力値の上昇には、サイコロの出目によって何の能力が上がるのかが左右する、正に運試しだな。

 

 戦士だからといって、筋力の値が上昇するとは限らない訳だ。


 まあ、ボーナス値というのがあるが、これは今は考えない。


 先ずはサイコロを振る、というイメージを頭の中でした。


 サイコロが転がる、出た目は4。よし! 俺が今一番上げたい技量値に決定した。


 次にもう一度サイコロを振る、今度は幾つ数値が上昇するかを決める。


 頭の中でサイコロが転がる、ドキドキもんだ。頼むから1は出ないでくれよ。


 出た目は、………よしやったぞ! 6だ。最高の数値だよ。


 すると、自動的にキャラクターシートの能力値が書き変わっていった。


 中々便利だな、間違える事は無さそうだし。


 2回目の上昇は魔力値だった、まあこんなもんか。戦士なのであまり関係ない。


 同じ様にシートの数値が書き変わる、マジ便利これ。


 それから次にボーナス数値の上昇だ、ジョブによってプラスされる能力が決まる。


 俺は戦士とスカウトとレンジャーだから、戦士に対応したのが筋力と体力。


 スカウトが敏捷と技量、レンジャーが体力と技量。


 従って、プラスされる数値は体力と筋力、敏捷と技量、これが冒険者レベルと同じ数値がボーナスとしてプラスされる。


 よしよし、中々良い感じになってきた。


 改めて俺のキャラクターシートを確認した、うむうむ、いいね。この感じ。


 どれくらい強くなったのかな? ちょっと試しに★2のダガーを持ってみた。


 クルクルと手の中でダガーを回し、感触を確かめる。


 「うむ、良い感じだ。しっくりくる、おそらく俺は今、★2までの装備品なら扱えるかもしれない。」


 いや、解る。


 ★2のダガーを持った瞬間、自分がこれを扱える事が出来ると確信出来る。


 「良いね、悪く無い。」


 これがレベルアップか。


 確かに、これは自分がどれ位強くなったのかが解る。こいつはすごいぜ!


 興奮と感動が押し寄せて来て、一気に眠れなくなる。いかん、明日も早い。


 早く寝なくては。


 俺は隠しきれない嬉しさと一緒に、顔をにやけさせながら眠りに就くのだった。


 良い夢が見れますように。ぐーぐー。



  王都 王城のゴッタの私室――――



 王城の一室、ゴッタの私室で丸々と肥え太った男が二人居た。


 一人はこの国の宰相ゴッタ、そしてもう一人はネリー姫を追っていた騎士ノーツ。


 「なんだとっ! 姫を取り逃がしただぁ~!」


 「も、申し訳ありません。宰相閣下、ですが………。」


 「儂はな、先程まで若いメイドを抱いておってな、良い気分で寝ようと思っておったところだったのだぞ? それをなんだ! この無能が!!」


 「し、しかし、思わぬ邪魔が入りまして………。」


 「言い訳など聞きたくない!! で、山賊共と海賊共への指示はどうなっておる!!」


 「は、それはもう。順調でございます。ただ、なにやら画策してこちらの思惑通りに動いてはおりませんが。」


 「ふんっ、それはどうでも良い! さっさと持ち場に戻れ!!」


 「は、はは~。」


 ノーツはそそくさと退散し、ドタドタと部屋を後にした。


 宰相のゴッタは苛立ちを隠さぬまま、机をバンッと叩き逆上していた。

 

 「おのれ~! 何故こうも上手く行かんのだ! 儂がここまで上手くやってきたのに、あの無能共が!!」


 ゴッタはロファール王が居ない事をチャンスとし、この国の乗っ取りを計画。


 王都に残った兵は、ゴッタの息の掛かった者達で多く構成されている。


 だが、それでも王に忠誠を誓う兵も居る為、保険としてその家族を人質にした。


 山賊や海賊ともパイプを持ち、ゴッタの指示で動かしていたのだった。


 リーザ王妃を軟禁状態にして、兵の反乱を抑止し、ネリー姫の反逆を恐れて牢屋へと入れた。


 だが、いつの間にかネリー姫が脱獄していた事を聞き、急ぎ追手を差し向けたのだったが、後の祭りだった。


 ネリー姫は同じく牢屋へと入れていた盗賊のドワーフとまんまと逃げおおせ、行方知れずとなっていた。


 その後、こうして報告を聞き、憤慨しているという始末だった。


 「まったく! どいつもこいつも!」


 ゴッタは目が冴えてしまい、テーブルに乗っている酒を煽った。


 しかし、ここでふっと物音一つ立てずに、部屋に姿を現した人物が居た。


 「荒れておりますな、ゴッタ殿。」


 声を聞き、ビクっと肩を震わせたゴッタは、振り向き返事をする。


 「お、おお、ワーストのナンバーズの方か?」


 ゆらりとした足取りでゴッタに近づき、しかし顔はフードを目深に被っているので確認は出来ない。


 「困りましたな、上手くいっていない様で、これでは上へ報告せねばなりませんな。」


 その言葉を聞き、ゴッタは震えあがりつつ、しかし声は平静を装い返事をする。


 「ちょ、少しだけ待って頂きたい! 上への報告だけは………。」


 「フフフ、解っていますよゴッタ殿。この国に関しては私に一任されております。まあ、お手並み拝見としましょうか。」


 「お、おお、よろしく頼む。ワースト殿。」


 「しかし、あのネリーという女は目障りですな、山賊共も何やら好き勝手にやり、ゴッタ殿の敵がいなくなったのち、王城を乗っ取る計画の動きがあるようで、私が一つ動きましょうか?」


 「なに? 山賊共が? やってくれるのならば心強いですな。」


 「フフフ、まあ、任されよ。このワーストが一人、ナンバーズの「ナンバーファイブ」にな。くっくっく。」


 そう言って、ナンバーファイブと名乗った男は気配も無くカーテンの裏へ行き、姿を晦ました。


 ゴッタの私室には静けさが戻り、しかし、先程までの異様な空気に当てられて、ゴッタは呼吸を乱していた。


 「ふーふーふー、お、恐ろしい男だ。まるで気配を感じさせない事といい、しかし、これでネリーも終わりだな。ぐっふっふっふ。」


 辺りに自分以外の気配が無い事を確認して、ゴッタは口を開き悪態をついた。


 「ふんっ、まったく! 何故儂があのような得体の知れぬ奴にビクビクせねばならんのだ! 山賊共が叛乱を企んでいるだと? 今まで散々目こぼししてやったのに仇で返しおって! まあいい、使えるのなら精々利用させてもらおう。ぐっふっふっふ。」


 夜中の王城の一室にて、ゴッタのうすら笑いが木霊し、辺りを不穏な空気が包むのであった。


 


 


 

 


 


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