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◆25 新たな世界の始まりーー私が皇帝に君臨して、女性上位社会が爆誕!? だったら、良いんじゃない? 悪魔が大勢やって来ても。

 闇の世界に、一筋の光が差し込んだ。


 その瞬間に、新たな世界と歴史が創造されていた。


「う〜〜ん!」


 チチェローネは大きく伸びをして、ベッドで目覚める。

 天蓋付きの、大きなベッドだ。


「おはよう。良く眠れたかな?

 僕の愛しい(ヒト)


 しなやかな肉体を持つ男性が、優しくキスをして起こしてくれた。

 (みどり)色の瞳をしたアレティーノだ。


「お、おはよう」


 そう。

 私、チチェローネは、旧ランブルト王国の第一王子アレティーノ殿下と結婚していたのだった。


 でも、男性と一緒のベッドで目を覚ますのには、まだ慣れていない。

 しかも、濃厚なスキンシップの後、キスで目覚めるだなんて。

 顔が真っ赤になる。


「食事を運ばせよう」


 アレティーノがベッドの上で鈴の音を鳴らすと、侍女ドルチェが朝食を運んできた。


 寝室とはいえ、百平米を超える広さだ。

 当然、テーブルと椅子もある。

 夫のアレティーノと差し向かいで朝食を取った。

 柔らかいパンと、卵焼きとベーコン。

 もちろん、サラダ付きだ。


 コンコンとノックの音がする。

 執事のシェパードが入室してきた。


「馬の用意が整いました」


「あら、もうそんな時間?」


 私はナプキンで軽く口許を拭うと、夫とキスしてから、席を立つ。


 出口に立つシェパードの後ろで、メイド服を着た女の子が控えていた。


「お姉様、行ってらっしゃいませ」


 彼女は元弟のメルクだ。

 茶色の瞳をくるくるさせて可愛い。

 私はいつものように、頭を軽く撫でてあげる。


 私は振り向きざま、室内で片膝立ちになっている夫、アレティーノに言った。


「今日はお客様を迎えに行くの。

 帰り次第、政庁に向かうので、みなを集めておいて」


 夫は顔を上げ、優しく微笑んだ。


「そうだったね。お仕事、ごくろうさま」



 私が悠然と廊下を歩き、玄関から庭に出る。

 すると、飼犬たちがワンワンと群がってきた。

 犬とはいえ、知性豊かな子たちで揃えている。

 元人間の執事のヴァサーリがボスとして群れを率いているから、(しつけ)もバッチリだ。


「待て!」


 私が手のひらを見せると、ヴァサーリを先頭にして、犬たちは整列してお座りする。

 犬たちは舌を出して、尻尾をフリフリしている。

 やがて、ラメラ翁が下男たちとともに、バケツに入った大量の餌を運び込んできた。

 犬たちの前に並べられたお皿に、生肉をザザッと流し込む。


「良し!」


 私、チチェローネの許しを得て、犬たちは餌をガツガツ食べ始める。

 ラメラ翁は改めて、チチェローネに向かって平伏する。

 私は軽く頭を下げると、スカートの裾を翻して、そのまま玄関を出た。


 馬の前では、屈強な肉体を誇る男性が立っていた。


「おはよう、愛しのチチェローネ。今朝は良い天気で良かった」


 私と同行するのは、元魔導国皇太子のラオコーンだ。

 彼は騎上から手を差し伸べ、私を馬に乗せる。

 私は彼の前に横向きで座った。

 ラオコーンは声を上げる。


「さあ、行くぞ。それ!」


 ラオコーンが強く手綱を引く。

 すると、馬は一声(いなな)くと、そのまま空へと舞い上がった。


 馬には羽根が生えていて、空を駆ける。

 ペガサスという種名の馬だ。

 これもギララ魔導国の生物開発研究による産物であった。


 次第に小さくなっていく建物を、空から眺め下ろしながら、私は感心した。


「それにしても凄いわね、魔導国の技術って。

 魔道具だけじゃなくて、こうした生物も産み出せるなんて」


「なにを言っている。

 もう『魔導国』ではないだろう?

 余がおまえの許に嫁いで以来、『国』ではなくなった」


「そうだったわね。今では『ギララ魔導州』だったわ」


 ギララ魔導州の州長は、ラオコーンが担っている。

 言葉使いも性格も、以前の皇太子だった頃のままだが、今では彼は、私の第二夫になっていた。



 七日七晩の闇が開けたら、歴史も価値観も倫理観も刷新された、新たな世界となっていた。


 元の世界が〈男性上位社会〉だとすれば、今、この世界は完全に〈女性上位社会〉だ。

 家長は女性が担っており、貴族婦人は複数の夫を囲うのが当たり前の世界になっていた。

 しかも、外向きの仕事はほとんど男性が担いながらも、方針や経済の決定権は、国家でも家庭でも、女性が握っている。

 それが当たり前になっていて、誰も疑問に思わない世界に変貌していた。


(一番、慣れていないのは私かも……)


 空を駆ける馬に乗ったチチェローネは、夫ラオコーンの逞しい身体にしがみつきながら、笑みを浮かべる。


 今の世界では、私、チチェローネが皇帝として君臨していた。

 第一夫としてアレティーノ、第二夫としてラオコーンを迎えている。

 アレティーノに旧ランブルト王国領の統治を任せ、ラオコーンに旧ギララ魔導国領を統治させている。


 私が皇帝に即位してすぐにランブルト王国とギララ魔導国は廃統合され、サットヴァ帝国となった。

 その結果、ランブルト国王夫妻をはじめとした親の世代の王族や貴族の大半が現役を退いている。

 それでも、旧来の実力者の手助けがなくては、新生帝国の統治はままならない。

 旧ギララ魔導国領の宰相は元女帝のヴァルナが担っており、旧ランブルト王国領での宰相はガッブルリ・クルニーが勤めていた。


 現在、ガッブルリの爵位は公爵になっている。

 上位者である妻が亡くなっているため、男性としては珍しく彼自身が爵位を得ていた。

 そして、元生徒会長だったペルール伯爵子息ら、元生徒会役員らも政務官として抜擢されていた。

 元生徒会副会長ハイデンライヒ・クルニーも、彼らの下僕として出仕している。

 あと半月もすれば、彼は、後輩の女性生徒会役員ーーかつてハイデンライヒに嘘を吹き込まれた罰として、裸になって詫びるよう要求した女性ーーの許に嫁ぐ予定になっている。


 帝国騎士団長は『帝国の剣』と称された元辺境伯令嬢カスティリオーネ・バッファが就任していた。

 他にも、パレット侯爵令嬢、ドルビー伯爵令嬢、ミラン子爵令嬢、ダイモス男爵令嬢らが、今ではそれぞれ爵位を継いだ家長として、騎士団の重責を担っている。

 とはいっても、戦争では今でも肉体がものを言うので、結局、現場で作戦を立案したり、武器を手にして戦うのは男性ばかり。

 騎士も兵士も男性中心で編成されており、彼らを実質的に指揮する副騎士団長はロレンツォ・ベルール(魂はハンス)であった。


 ちなみに、このロレンツォとカスティリオーネが恋仲となっており、ゆくゆくはロレンツォがバッファ家に嫁ぐとみられていた。

 サットヴァ帝国軍は騎士団も一般将兵も、女性が上官として決断、命令を下し、男性が武器を手にして戦う組織となっていたから、カスティリオーネが求婚したら、ロレンツォ(ハンス)は断るまいと思われる。


 チチェローネはラオコーンの顔を見上げて、頬を膨らませた。


「カスティリオーネ嬢も、早くオネストのことなんか忘れて、次の恋路に向かって欲しいわ」


「がっははは。安心しろ。

 帝国の騎士団長が、皇帝であるおまえを辱めた者への恋慕を、いつまでも大切にするとは思えん。

 実際、割とサバサバした性格の女ではないか」


「そうね。

 ーーあ、あそこの黒い所、あそこが(ゲート)よ。

 もう少し高く昇って!」


 私と第二夫が乗るペガサスが、ようやく目的地に辿り着いた。

 青空の中にぽっかりと黒い空間があり、そこには白い扉が据えられていた。

 私は夫の太腿に両足を乗せて直立し、胸ポケットから青い羽を取り出した。


「では、新たな軍勢を迎え入れましょう」


 天空に出来た〈門〉の前で、青い羽を高く掲げる。


「出よ!」


 私、チチェローネが命ずると、空中に浮かぶ〈門〉が開く。

 開いた扉の向こう側は、真っ暗で見えない。

 その暗がりから、無数の黒い羽とともに、数多くの化け物が姿を現わした。


 化け物たちの容姿は様々だった。

 鳥のような大きな翼を広げる者もいれば、昆虫の羽のように透明な羽を細かく振動させて飛ぶ者もいる。

 大概が、硬い鱗や殻で身体が覆われていて、眼をギョロつかせ、口には鋭い牙を無数に生やしている。

 龍のように炎を吐く者もいれば、鷲のように鋭い嘴を持つ者や、巨大な一つ目をした黒い球体の者もいる。

 彼らは、大悪魔の眷属たる悪魔たちーー魔界の軍勢であった。


「ようこそ、人間の世界へ」


 チチェローネは笑顔で悪魔たちを迎え入れる。

 何十体もの悪魔が〈門〉を通り抜けて、一気に召喚されていた。


 この空中に浮かぶ〈門〉は、魔界へと通じる門であった。


 彼ら〈悪魔〉と、コッチの世界で現地調達する〈魔族〉や〈魔物〉は、みな優秀な将兵となる。

 サットヴァ帝国騎士団はそれなりに精強だが、あくまで「人間の軍勢としては」の話だ。

 悪魔が率いる魔界軍団には(かな)わない。

 悪魔たちは、炎や剣などで傷つけられる身体をしていない。

 熱や衝撃による魔法攻撃にも耐性がある。

 地上で魔素を吸って凶暴化した〈魔物〉ですら、騎士三名でやっと倒せる強さだ。

 魔界から招来した〈悪魔〉では、騎士が何十人も束で襲いかかっても、倒すことはできないだろう。


 悪魔たちが、私の頭に直接、語りかけてくる。


「陛下の国には、豊かな餌場があると聞いた」


「俺もだ。お国の人間どもには手は出せないが、食い物には不自由しないと」


「私も、それが楽しみで来たんだから。

 その〈餌〉は美味しいっていうし、好きなだけいたぶれるって話よね」


 荒くなった息遣いまでが伝わってくるようだ。

 私は無理にでも笑顔を造った。


「あら、魔界でも私の国が評判になってるなんて。嬉しいわ」


 私の指示で、ラオコーンが手綱を操り、ペガサスを餌場へと向かわせ、悪魔どもを誘導する。


 彼ら、悪魔は人間を好んで食べる。

 でも、百名以上も呼び込んでいる彼らには、これから我が帝国の軍人になってもらうのだから、サットヴァ帝国の臣民を食べてもらうわけにはいかない。

 結局、打開策として、彼ら、悪魔にとっての食堂ーー〈餌場〉を設けていた。


 海に面した辺境に、広大な八キロ四方の土地を壁で囲った地域がある。

 中には森林や湖もある。

 草花が生い茂り、動物や魔物も生息している。

 自然をそのまま残してあり、壁で仕切られてなかったら、普通の手付かずの自然地帯と思うだけだろう。

 ここに首輪を付けた裸の人間が、思い思いに暮らしていた。


 この壁の中こそが〈餌場〉ーー悪魔が人間を好きに狩って捕食して良い地域として認められていた。

 この地に、首輪を付けた二百余名の人間がーー〈餌〉として生きているのである。


 悪魔たちの飯のタネーー〈餌〉になってるのは、監獄塔に放り込まれていた罪人たちだ。

 もちろん、かつてチチェローネが喰らったような冤罪で閉じ込められた者は、除かれている。自白魔法で罪が明らかになった兇悪犯だけが、悪魔の餌になっている。


 そんな凶悪囚人に混ざって、綺麗な肌をした、高貴な身なりの者たちも、少数ながら〈餌〉になっていた。

 オネストに扇動されて、チチェローネを貶めた、かつての級友たちであった。

「リリアーナちゃん」呼ばわりして、リリアーナと手を繋ぎ、廊下や街中を闊歩して得意になり、私、チチェローネを断罪した連中だ。

 彼らは旧世界においても、すでに家から勘当され、家督を継げなくされていた。

 この新世界では、さらに過酷な境遇となっており、チチェローネ皇帝に弓を引いた叛逆者として裁かれ、〈餌場〉送りとなっていた。

 彼らはもはや人間扱いはされていなかった。

 壁の内部では、自由に動くことが許可されている。

 が、自給自足の生活を余儀なくされているうえに、首輪をつけられ、裸に剥かれて、番号で呼ばれ、放牧されているだけだ。


 そんな彼らを、悪魔たちが狩りを楽しむように襲いかかる。

 思う存分、食い散らかされる。

 悪魔の食事風景はいつも血塗れだ。

 血飛沫を上げながら、牙を剥き出しにして、人間の肌を剥ぎ取り、肉も骨も噛み砕く。


「ギャアアアア!」


「助けてください、チチェローネ様!」


 彼らの断末魔の叫びが虚しく響く。


 しかも、魔導国製の魔道具が各所に配置されていて、毎晩、深夜になると、八キロ四方全体に渡って強力な治癒回復魔法がかけられる。

 おかげで〈餌〉たちは、身体を切り裂かれて死んでも、一晩で復活してしまう。

 そして、翌日になると、再び喰われてしまうのだ。

 これを百年は繰り返すことになっていた。


 そんな〈餌〉の中でも、特に、身体の回復が早く設定された存在が二人あった。


 一人は、細面のハンス(魂はロレンツォ)。

 三時間ごとに身体が再生される。

 おかげで一日中、腹を空かせた悪魔に、内臓を引きちぎられ、骨を噛み砕かれたりしている。


 もう一人は元教師のフラン。

 彼女は、炎を吐き出す悪魔兵の標的として、柱に縛り付けられている。

 毎日の訓練で焼き殺される。

 でも、彼女も一時間置きに、すぐに復活する。

 だから、朝から晩まで全身を焼かれ続けるのだ。


 二人とも、神経も回復されるので、痛みや熱さは普通の人並みに感じられ、日々、悶え苦しむ。力一杯、悲鳴をあげる。

 しかし、悪魔は情緒が乏しい。

〈餌〉の悲鳴を、面白そうに聴くだけだ。


「今日の鳴き声はイマイチだな」


「違う。おまえの炎が弱すぎるからだ。

 俺が焼いたときは、もっと良い声で鳴いたぞ」


 こうした、残酷で物騒な軽口を叩き合っている。

 さすがは悪魔と言うべきか。



 どうして、そんな人間の天敵ともいえる悪魔を、魔界から呼び込んでまでして、サットヴァ帝国は軍事力が必要なのか?

 答えは簡単。

 現在、他国と交戦中だからだ。

 サットヴァ帝国は、今、神聖皇国レフルトと敵対関係にあった。


 七日七晩、闇に覆われた間に、天界から天使族が介入していたらしく、神聖皇国レフルトと、その影響下にある勢力地が、旧態のままに残されていた。

 彼らは、このサットヴァ帝国を「悪魔の国」と称して貶め、敵対行動を取り続けている。


 こちらも黙ってはいられない。

 旧ランブルト王国にいたレフルト教の聖職者たちを、みな保護下に置き、特に聖騎士に殺された死者たちは、ゾンビとして復活させた。

 そのうえで、大司教バパを代表として新レフルト教の教皇とし、神聖皇国の教皇と対立させている。


 もっとも、かつてチチェローネに濡れ衣を着せた修道女ローレは、石像のまま修道院に放置してある。

 彼女は意識はあるが、身体を動かすことも、喋ることも眠ることすら出来ない状態だ。

 一種の見せしめとして、聖職者どもに一日に一回は目にして黙祷を捧げさせ、「チチェローネ皇帝に刃向かったら恐ろしい」ということを肝に銘じさせていた。



(とりあえず、今朝一番の案件は果たしたわね)


 私は、ペガサスの背中から餌場を見下ろし、新たに〈門〉からやって来た悪魔たちが無事に餌に喰らいつくさまを確認した。


 それから、餌場の壁際に立つ、背中から黒い翼を生やした、馬みたいな顔の悪魔にお願いする。

 彼は、何日も前に〈門〉からやって来ている古参の悪魔だ。

 彼に餌場の管理は任せてある。


「新人に餌場の紹介、よろしくね」


 頭に「任せとけ」という意志が伝わった。

 あとは、ペガサスに乗る夫の手綱に任せ、私は空を駆ける。



 皇宮に戻ったのは、それから半刻ほど後のことだった。

 さっそく、政庁に出向くと、お馴染みのメンバーが顔を揃えていた。


 私、チチェローネの前で、アレティーノ、ラオコーンが跪き、その後ろではガッブルリ、そしてヴァルナの代理役のほか、帝国の政務官や文官らが平伏する。

 両側面には、ズラリと騎士団が並んでいた。

 右側面には、カスティリオーネとロレンツォに率いられた帝国騎士団と、魔導騎士団が整列し、左側面には、大悪魔の求めに応じてやって来た、強大な魔力を有する悪魔で構成された魔界騎士団が控えている。


 私は中央に据えられた玉座に腰掛け、宣言した。


「さあ、今日も統治会議を開きましょう」


 女帝チチェローネが統治する、ここサットヴァ帝国には、議会はない。

 少人数による統治で、圧倒的な武力と財力、そして情報収集力で、平穏を保ってきた。


 私も、臣下たちも、斜め上を見上げる。

 天井近くに、大きな鏡が備えらえていた。


「まずは、平民街の様子を映して」


 私が指示を出すと、鏡に目的の情景が映し出される。

 旧ギララ魔導国が開発した映像機だ。

 この鏡に、映像や音声を伝達できる魔道具を、帝国の各地方に配していた。


 平民街はいつも通り、昼下がりの風景を映していた。

 子供たちが笑顔で駆け回り、若いカップルが愛をささやき合う。

 昼食をレストランで摂る者も大勢いるが、額に汗を浮かべて荷物運びに従事する労働者もいる。

 街の人々は様々だが、いずれも精力的に動き回っている。

 街は活気に溢れていた。

 大通りを人々や馬車が行き交い、道路の両脇に出店が立ち並ぶ。


 予言省長官シグエンサが、手持ちの水晶を参照にしながら語る。

 貴族街、平民街などに注意を払い、人々の生活状況を導くのは、旧予言省役員が行なっていた。


「国家の統廃合を機に、貴族階級を少なくし、平民にかける税金を大幅に減らしたことが功を奏したようです。

 商人の活動や、物品の流通が盛んになりました。

〈先読みの水晶〉を見れば、二、三年もすれば出店も少なくなり、道路は拡張、新たな建築物が建ち並び、店舗はその中で開かれていくようです」


 次いで、予言省の副長官、レースとパックスがそれぞれに報告する。


「貴族街の縮小工事が進み、新たに商業地域を拡充する計画も着々と進んでおります」


「平民からも新規兵を募集した帝国軍は、五十万もの将兵を抱える大所帯になりました。

 騎士団の指揮のもと、帝国の要所に配置される予定です」


 ここでチチェローネが口を挟む。


「要所とはいっても、ほんとうに危険な所は避けて配備してね。

 人間の将兵はただでさえ弱いうえに、まだ新参兵も多いのだから」


「ハッ!」


「承知しております」


 予言省からの報告を終えると、騎士団長カスティリオーネとロレンツォが姿勢を正す。

 騎士団として、皇帝に要望を伝える。


「チチェローネ陛下。

 神聖皇国レフルト近くの紛争地帯には、ぜひ、魔界騎士団と魔物軍を集中的に駐屯させてくださいませ。

 レフルトの人たちは、私たちのことを「悪魔、悪魔!」と連呼しているのだから、お望み通り、悪魔の軍勢をぶつけてやりたいのよ」


 はっははは……!


 みなが声を揃えて笑う。

 二百を超える悪魔と、万を超える魔物兵を目にすれば、レフルト教の連中も肝を冷やすだろう。


「その他の国境地帯の状況は?」


 チチェローネの問いに、夫のラオコーンが立ち上がる。


「余の故郷に問題はないぞ。な、そうであろう?」


 旧ギララ魔導国を指導するヴァルナによって派遣された女官がうなずく。


 次いで、壁際に立っていた騎士団長カスティリオーネが歩を前に進める。


「チチェローネ陛下にご報告を。

 旧ランブルトの国境では、相変わらず蛮族が諍いを起こしております。

 が、最近では、陛下の命を受けた魔界騎士団の方々が魔物を狩り集めて軍団に取り込んでくださるので、蛮族どもも戦力不足になっております。

 彼ら蛮族が、揃って魔界騎士団に投降する日も近いかと」


 反対側の壁際に並ぶ魔界騎士団の悪魔がうなずく。

 最近では、カスティリオーネ嬢と意思疎通が出来ているようだ。


「ところで、陛下。

 我がバッファ家の騎士団が、防衛に当たっておりました折、面白い人物を捕らえました」


 扉が開き、バッファ騎士団員が、白鎧をまとった男を突き出す。

 赤い髪をなびかせ、聖剣ザイラントを振るう聖騎士ーー。

 聖騎士団長ベーオウルフを、捕らえたのだ。


 レフルトの聖騎士団は、悪魔の軍団を避けて迂回し、別方面から帝国領に侵入を果たそうとしたらしい。

 だが、悪魔の監視の目からは逃れられなかった。

 百余名の聖騎士団は、悪魔によってあっという間に蹂躙され、生き残った残党も団長すら、バッファ騎士団に捕縛された。


 玉座からチチェローネは話しかけた。


「あら。久しいわね、聖騎士団の団長さん。

 闇の七日七晩以前に、お会いして以来かしら。

 私たちと一緒にランブルト王宮にいたのに、闇が明けたときには姿を見かけなかったわ」


 玉座の前に跪かされながらも、ベーオウルフは毅然とした姿勢を崩さなかった。


「当然だ。

 我々、聖騎士団は神様の御手にある。

 闇が明けたときには、神聖皇国の教皇庁で復活させていただいた。

 おかげで、貴様からおかしな洗脳をされておらん。

 大天使様が救けてくださったのだ」


「ふうん。どういう理屈で、そうなったのか、少し興味深いわね。

 でも、大天使様かぁ。

 ウチの大悪魔とぶつけてみたら、どっちが強いのかしらね」


 軽口を叩く女帝の姿に、聖騎士団長は憤慨した。


「強弱の問題ではない!

 善悪の戦いなのだ、これは!

 魔物ならいざ知らず、人類ならば、天使様にお味方するのが当然ではないか!」


 チチェローネは嘲笑う。


「お忘れかしら?

 貴方たちレフルト教が、私に濡れ衣を着せたのよ。

 冤罪を仕掛ける勢力が善だなんて、片腹痛いわ」


「魔女チチェローネ!

 大悪魔を召喚するばかりか、世界を七日七晩も闇に閉じ込め、挙句、歪んだ世界を生み出しやがって!」


「歪んでなんかいないわ。

 むしろ旧悪を矯めて、より善いように改正したのよ」


 ベーオウルフは赤髪を振り乱し、四方に向けて声を荒らげた。


「諸君、目を覚ませ!

 貴様らは、大悪魔に魅了されておるのだ。

 そもそも、おかしいと思わないのか!?

 子を孕むべき婦女子が権力を握って、家長たるべき男性を従者の如く使役する国家体制など、神様がお認めになるはずがない。

 本来なら、アレティーノ殿下がランブルト国王に、ラオコーン皇太子がギララ魔導国皇帝になって、我ら聖騎士団と共に、大悪魔に魅了された魔女チチェローネを討伐するはずだったのだ。

 それなのに、第一夫、第二夫などに成り果ててーー」


「みな、納得してるわ」


 チチェローネが溜息混じりに応えると、夫たちが玉座の両脇まで歩を進めて身を翻す。

 まずは第一夫アレティーノが笑みを浮かべる。


「おかしいですね。

 貴方たちレフルト教皇庁は、愚弟のオネストをランブルト国王に推挙していたはず。

 私、アレティーノは、初めからチチェローネ陛下と添い遂げるつもりでしたよ」


 第二夫のラオコーンも、胸を張って言った。


「貴様が言うような世界が、たしかに本来の世界であったかもしれぬ。

 チチェローネ陛下が召喚なさった大悪魔様は神の眷属ゆえ、この世界を好きに上書きなさったかもしれぬ。

 だが、それも神の思召し。

 要は、悪魔か天使か、どちらの勢力に加担するかの問題に過ぎぬ。

 それに、〈悪魔〉とか〈天使〉とかいう呼称自体が、貴様らレフルト教会が勝手に決めたものに過ぎぬ」


 ベーオウルフは歯軋りしながら、立ち上がる。


「おのれ、魔女チチェローネ!

 どれだけ人類を(たぶら)かせば気が済むのか。

 俺様が今こそ、貴様の首を刎ねてくれよう!」


 聖剣ザイラントを腰から抜き放つ。

 チチェローネは玉座に座したまま、鼻で笑った。


「ほんと野蛮ね。

 偏狭な宗教を奉じる人は、お可哀想なこと。

 貴方がその剣を大切そうにしているから、バッファ騎士団も、あえて取り上げなかったのでしょうに。

 感謝されこそすれ、恨まれる覚えはないわ」


「うるさい! この魔女め!」


 聖剣が赤く光る。


「おおおお!」


 チチェローネに向かって駆け込んで、聖騎士団長は聖剣を思い切り振り下ろす。

 が、振り下ろし切れない。

 突如として、チチェローネの前に巨大な黒い盾が現われていた。

 盾が聖剣の一撃を防いだのだ。


「な!? どうして、鉄をも切り裂く聖剣が!?」


 チチェローネの影から、三人の騎士が姿を現わす。

 血塗れの騎士たちだ。

 驚くベーオウルフに、チチェローネは扇子を広げて笑う。


「あら、私が無防備だと思った?

 残念ね。彼らは私の護衛役。

 その盾は、旧魔導国と悪魔さんたちが協力して開発した特別製よ。

 龍の皮を何枚も重ねた上に、防御魔法を付与した金属でコーティングしたんだって。

 なんでも、先の大戦で、悪魔さんたちが、その聖剣で苦労したから、対策を練っていたんだって。

 良かったわ。開発の甲斐があって、盾に傷ひとつついてない」


「おのれ!」


 聖騎士団長は聖剣を構え直し、さらに打ち込んでくる。

 が、血塗れ騎士が三人がかりで、盾を用いて防ぎ切る。


 チチェローネは扇子をパチンと閉じ、側面に並ぶ魔導騎士団に振り向けた。


「ちょうどいいわ。

 他にも幾つか、対天使戦を想定して開発した魔導武器があるから、試させてちょうだい。ほら、遊んであげて」


 魔導騎士団から三人の騎士が、幾つもの魔導武器を携え、聖騎士ベーオウルフの背後に回る。

 ベーオウルフは、血塗れ騎士と魔導騎士に、周囲をすっかり囲まれてしまった。

 それでも意気盛んで、闘争心を剥き出しにしていた。


「勝ったと思うなよ、魔女チチェローネ!

 俺には神様がついているんだ!

 おおおお!」


 聖剣を輝かせ、必死に振り回す。


 だが、盾に弾かれ、魔導武器の刃で切先が欠け、聖剣の輝きが次第に鈍くなっていく。

 それでも聖騎士団長は諦めないで、足蹴りまで使って戦い続ける。


 チチェローネはそうしたさまを眺めながら、自分は玉座に座り直し、侍女が差し出した紅茶を楽しむ。


 聖剣が折れ、聖騎士団長ベーオウルフが力尽きて倒れ込んだのは、ちょうどティーカップのお茶がなくなる頃であった。


 トドメを刺そうと魔導騎士が剣を振り上げるのを、チチェローネが止めた。


「息の根を絶つまでもないわ。

 他の聖騎士たちと同様、悪魔たちの餌になさい」


 チチェローネ陛下の命を受け、魔界騎士団の悪魔がひとり前に出る。

 そして、ベーオウルフの頭を掴んで、ズルズルと引きずって外へと連れ出していく。

 聖騎士団長の肉付きは良い。

 おかげで、捕食したときの味わいを想像したらしく、何人もの悪魔たちが涎を垂らし、舌舐めずりしていた。


 折れた聖剣を侍女に片付けさせ、チチェローネは閉じた扇子でパンと膝を叩き、玉座から立ち上がった。


「余興は終わったようね。

 あとはみなで創りつつある、この新たな素晴らしい世界を眺め下ろしましょう!」


 チチェローネが扇子を振り上げると同時に、四方の壁が競り上がり始める。

 壁の外側は、透明なガラスによって取り囲まれていた。

 風を受けることなく、四方を見回せた。


 おお!


 みなが感嘆の声をあげる。


 皇宮は丘の上に聳え立っている。

 皇宮から皇都全域が見渡せたのだ。

 アスファルトの道路が四方八方に延び、そこらじゅうに高層ビルが建ち並ぶ。

 鉄道が走り、飛行機が飛ぶ世界になっていた。


「こうして見ると、壮観だな」


 ラオコーンは、腕を組む。


「美しくもあります」


 と、アレティーノは、満足げにうなずく。

 二人の夫の発言を受け、宰相ガッブルリは、顎髭を撫で付ける。


「チチェローネ陛下の統治が、いかに素晴らしいものか。

 この景色自体が、雄弁に物語っておりましょう」


 みなの驚嘆する声が、心地良い。


 チチェローネの頭の中で、大悪魔が語りかける。


「どうだ。余が創造した世界は?」


 大悪魔が、チチェローネの思考を読んで、彼女が望む世界を顕現させたのだ。

 大悪魔は、創造魔法を神様から授かっていた。

 七日七晩の闇の間に、かつての世界がリセットされ、新たな世界が構築されたのである。


「貴方は元々は異世界の住人だったんですものね。

 たしか、ニホンという国名のーー」


「ああ。今でも、そうだ。この世界には、アクセスしているだけだ。

 俺が入り込んだキャラが魔界の住人だったから、大悪魔まで登り詰めたんだ。

 そんなとき、アンタによって、魔界ステージから、コッチの人間界へと召喚された。

 おかげでゲームが第二ステージになった。

 いや、今は第三ステージと言うべきかな。

 アンタ主導の世界を構築したうえで、ゲームが続行されてるから」


「ちょっと、貴方。

 言葉使いが変わっちゃってるわよ。

 私、いつもの大悪魔としての言い回しの方が好きなの」


「そうであった。

 この世においては、余は〈漆黒の大悪魔〉であった。

 其方の忠告を受け入れるとしよう」


「で、貴方は、私の身体から出て行くんじゃなかったの?

 元の世界に帰りたくはないの?」


「いや。

 だから、余は今でも心身共に日本で存在しておるゆえ、いつでもソッチの世界からログアウトーー抜け出すことができるのだ。

 そこが、〈リリアーナの中の人〉とは違う。

 あやつは、七日七晩の闇が世界を覆う前に、殺されたうえにログアウトできなかったから、意識をこの世界に残したまま、世界ともども、余によって改変された」


 チチェローネは小首をかしげる。


「よくわからないけど……。

 リリアーナの件はともかく、貴方は、アレティーノの中に入るとかどうとか、言ってなかったっけ?」


「ああ。アレティーノは、戦闘力が其方よりも高い素体であったからな。

 世界を改変する前であったなら、アレティーノの心に住み替えようかとも思った。

 が、世界が一新された今となっては、このままで良い。

 実際、其方と共にいる方が楽しいからな。

 この世界は割と気に入っている」


「私こそ、貴方にお礼が言いたいわ。

 貴方の知識は面白いもの。

 そっちの世界ーーニホンと言う世界から知識を得ているからかしらね。

 鉄道とか飛行機とか、私、考えもしなかったわ」


「闇に覆われた間は、イメージを浮かべるだけで、万物を創り出す権能が与えられているからな、大悪魔には。

 もっとも、青い羽を持つ其方を介してでないと、出来なかった所業だが」


 チチェローネが、脳内で会話しているとき、臣下たちはみな、黙って待っている。

 陛下が大悪魔と交信しているのだ、と察せられるからだ。

 みなが注目する中、チチェローネは何かを思いついたように、パチンと手を叩いた。


「ああ、この世界を、彼女にも見せてあげたいわ。

 貴方と同じ世界からやって来たのに、貴方と違って、彼女はもう帰れなくなっちゃったんでしょ?

 誰か。リリアーナを呼んできて!」


 チチェローネが言い終わるより先に、ガッブルリが気を利かせて、ワゴンを運び込む。


 ワゴンにはガラスケースが載っており、中には男女のペア人形が飾られていた。

 小さくなったうえに、自らの意思で身体を動かせなくなった、オネスト元王太子とリリアーナ嬢であった。


 彼らは元の世界での記憶と意識を残したまま、着せ替え人形にされて、大切に保管されていた。

 チチェローネ陛下のお気に入りのオモチャで、夫との情事を楽しむ寝室にも持ち込まれるほどだった。

 チチェローネは人形に語りかける。


「ほら、あなたたちもご覧なさいな。

 私の国の豊かさを。凄いでしょ。

 リリアーナ。貴女は大悪魔と同じく、異世界のニホン出身だというから、ビルや鉄道を見ると、懐かしく思うかしら」


 ケースから取り出して、二体の人形を両手に載せて、窓に向けて差し出す。

 これで、この新世界を見下ろせるはずだ。


 でも、二人は何も応えない。

 人形だから、口が利けなくて当たり前だ。


「ま、これから先、さらに発展する予定だから、もう見なくても良いか」


 しばらくして、チチェローネは愛用の人形をケースに仕舞おうとする。

 その際、改めて、しげしげと二体の人形を見詰めた。


「あらあら、オネストくん。

 やっぱり、このタキシード、似合ってるわね。

 金銀で装飾された王服なんかより、こっちのほうがお似合いよ。

 でも、あれほど王様になりたがってたから、これぐらい載せてあげないと可哀想よね」


 小さな王冠を、オネスト人形の頭に、ちょこんと載せてあげる。

 そして、騎士団長として侍るカスティリオーネに笑顔を振り向ける。


「どう? カスティリオーネ。素敵じゃない?」


「ええ。ほんと、可愛らしいですね」


 諦めにも似た視線を、彼女は人形に向ける。

 そして、嫌味を言い添えた。


「良かったじゃないですか。いつも平民女と並び立って」


「そうなのよ。まるで結婚式でしょ?」


 チチェローネは人形を手にとって、着せ替え遊びに耽る。


「はい。リリアーナちゃんは、純白のドレス。

 ちっちゃくなって可愛いわ。

 あら、でも、さすがにこのドレスばかりじゃ飽きたわね」


 チチェローネは侍女ドルチェを呼びつける。

 彼女が普段は人形の管理を任されていた。

 ドルチェは黙って、人形用の小さなベージュのパーティードレスを手渡す。


「そうそう、これこれ!」


 チチェローネは、リリアーナ人形から純白ドレスや下着を剥ぎ取って、裸に剥いて着せ替える。

 動けないオネストとリリアーナは泣き顔になって、ポロポロと涙を流す。

 二人は表情だけは自由にできた。

 が、それもチチェローネから命じられない限りにおいて、だ。


「もう、ふたりとも泣かないの。笑いなさい」


 女帝の命令に従い、二人はぎこちない表情で、口角を上げる。


「えくぼでスマイル! フンフン♬」


 チチェローネは鼻歌をうたいながら、二体の人形をガラスケースの中に入れる。


「うんうん。手を取り合って、いつも仲良し。

 王子とお姫様になれて、良かったじゃない。うふふ」


 侍女にケースごと人形を引き下がらせると、チチェローネは玉座に座り直す。

 胸に手をやると、青い羽がキラキラと輝き、あったかい。

 そして、前方に広がる自分の帝国と、赤い太陽を眺め渡す。


 大悪魔が脳内で再び語りかけてきた。


「さあ、余と其方の旅はまだまだ続くぞ。

 共に世界を征服しよう!」


「ええ。地平線の果てまでも、私のモノにしてみせるわ!」


 手を前に突き出し、手のひらを握り締める。

 そんな私を、二人の夫が、優しく微笑みかけてくれる。

 美しい陽光を、目を細めて眺めながら、チチェローネは満足だった。


これで最終回です。

読んでくださって、ありがとうございました。


この連載を気に入っていただけましたなら、ぜひ、ブクマや、いいね!、☆☆☆☆☆の評価をお願いいたします。

ほんとうに、今後の創作活動の励みになりますので。


◇◇◇


もっとも、その後の世界について、いろいろと構想はありました。


チチェローネの世界が、このあとどのように展開していくのか。

神聖皇国レフルトとの戦争や、天使族と大悪魔との戦いの行方について。

果たして、チチェローネと大悪魔による世界征服の野望は果たされるのかーーなどなど。


とはいえ、〈ざまぁ〉が終わったので、これで終了、とします。

最終回までお付き合いくださいまして、ほんとうにありがとうございました!


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