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15/25

◆15 虚偽の告発をした老修道女の末路ーーそして、新たに重ねられた濡れ衣

 ランブルト王国の国教はレフルト教である。

 レフルト教とは、その昔、神様が遣わした天使族とともに戦って、悪魔を退治した英雄が教祖となった、唯一神のみを信奉する宗教だ。

 教会本部たる教皇庁は神聖皇国レフルトにあり、世界中に教会支部が点在する。

 その教会を国ごとに束ねて管理するのが、大司教である。


 そして、大国ランブルト王国の百以上ある教会を管理していた大司教バパが、いきなり倒れた。

 ランブルト国王陛下との密談のあとに、昏倒したのだという。

 その前後に天から落下した「黒き雷」の力によるものだと噂された。


 噂といえば、ランブルト王国の筆頭公爵家令嬢チチェローネ・サットヴァが、王太子から婚約破棄を宣言されたうえに、監獄塔に収監された挙句、脱獄して、伝説の大悪魔を召喚した、と教会関係者の間で語られていた。

 レフルト教会の聖職者たちが真剣に議論するのには理由がある。

 チチェローネ嬢が濡れ衣を着せられて処刑されそうになったことが、ほぼ間違いない、と考えられたからだ。

 なぜなら、悪魔の羽を撒き散らし、黒い雷を落とせるほどの悪魔は、かつて世界を七日七晩、闇に封じ込めた〈漆黒の大悪魔〉しかあり得ず、しかも、その大悪魔を召喚する者は〈心が清い者〉のみで、冤罪によって罪に陥れられた者であることが確定的だと、神学書に明記されているからだった。

 そして、チチェローネ嬢に死刑判決が下った原因の一つ、「黒ミサを挙行して、悪魔教を崇拝していた」という告発が、レフルト教のベテラン修道女(シスター)であるローレによってなされていたからであった。


 大司教バパに天罰が下って倒れた、それは老修道女ローレのせいである。

 教会関係者の間では、彼女が偽りの告発をしたので、チチェローネが大悪魔を召喚し、大司教を撃ったのだ、と考えられていた。


 本来、学園附属教会の責任者であったローレは、現在、所属する修道会の黙想塔に籠って、神に向かって、真剣に祈りを捧げていた。


 だが、彼女が祈りを捧げているときも、みながヒソヒソと噂する。


「やはり、修道女ローレがおっしゃったことは虚偽だったそうね」


「ええ。そうでなければ、大司教様がお倒れになるはずが……」


「だと思ったわ。

 チチェローネ様を、幼い頃から、私、知っておりますもの。

 彼女が黒ミサなんかをするはずがーー」


「でも、どうしてローレ様は嘘を……?」


 修道院長を座長にした会議ですでに、チチェローネ公爵令嬢が大悪魔召喚を果たした、と結論付けられていた。

 冤罪をかけたのが修道女ローレーー当修道会に所属する、学園附属教会を監督する修道女だったという事実に、修道女たちは激しく動揺していた。


 どの国であっても、レフルト教会を統治するのは教皇庁であって、ここランブルト王国にあっても、教会は国家権力の支配下にはない。

 だが今回の冤罪事件では、レフルト教会の聖職者が決定的役割を果たしてしまった。

 実際、大司教バパ様だけでなく、予言省長官シグエンサも同時に倒れた。

 公的には認められていないが、国王夫妻も昏睡状態に陥っていて、表舞台に立つことができない、とも噂されていた。

 ランブルト王国に多大な迷惑をかけただけでなく、いずれは世界中に厄災をもたらすかもしれない。

 教皇庁に対して、どのように報告すれば良いのか。

 その責任の重さに、ランブルト王国のレフルト教会関係者は怯えていた。


「いずれ、怒り狂った王権によって、教会が閉鎖されるのでは?」


 と、ささやく者もいた。


 二百年以上前にあったとされる、政教対立ーー王権と教会の対立が、このランブルト王国で勃発するかもしれない。


 結局、大司教バパが国王陛下とどんな語らいをしたのか不明のままに、司教たちは修道女ローレに謹慎を命じていた。



 黙想塔に籠る老修道女は、祈りつつも、長い過去回想に浸っていた。


 十五歳より修道女となった私、ローレは長い間、「修道女の鑑」という評判をほしいままにしてきた。

 さすがは、聖職者。一般信徒にはできぬ献身よ、と評価されてきた。

 それなのに、晩年になって、若人が通う学園附属の教会を任されるようになって数年、チチェローネ公爵令嬢の登場から、私の周囲からの評価が変わってしまった。


 神父様や修道院長の目も、生徒たちの信頼も、みな、あの若い女性信徒ーーチチェローネ公爵令嬢の方へと向かっていった。


 彼女がしたことは、ほんの些細なことだった。

 毎朝あずかるミサの前に、個人的なお祈りを数分するだけ。

 でもその数分間、静かに目を閉じて祈る彼女の美しさに惹かれる者が続出した。


 彼女の祈る姿を垣間見た神父様や修道院長が、口々に「素晴らしい」「まるで聖女のようだ」と礼賛した。

 彼女、チチェローネが筆頭公爵家の令嬢だったから、贔屓目に見たのかもしれない。

 当時の彼女は、許婚者の王太子に浮気されていたので、それを同情したのかもしれない。


 でも、彼女、チチェローネの早めの参拝によって、変わったのは私、ローレに対する称賛の声が消失しただけではなかった。

 実際に、神父様や男性聖職者たちが張り切ってしまって、ミサの開始時間が早まったうえに、倍以上、ミサの説教の時間が長引くようになってしまったのだ。

 それだけ、老修道女ローレの仕事が進まなくなってしまった。

 ローレは、往時を思い出して、眉間に皺を寄せる。


(そりゃあ、貴女みたいな暇を持て余す生徒さんなら、ミサが長くなろうと、お祈りしまくろうと、好きなだけできるでしょう。

 でも、私は掃除も写本も学校経営も、やることがいろいろあって、忙しいのよ!

 それなのに、評判だけ掻っ攫って。

 なにが『信徒の鑑』よ。

 私だって『修道女の鑑』って言われてたんだから。

 一般信徒なんかより、修道女の方が格上なんだから!)


 彼女の前では極力、笑顔を振り撒いていたが、内心では憤懣が澱のように溜まっていた。

 だから、オネスト王太子が、あのチチェローネ嬢を断罪する、という計画を小耳に挟んだので、〈断罪イベント〉に参加し、新米教師フランによる告発を聞いたから、それに便乗した。


「チチェローネ公爵令嬢が、教会で黒ミサを行なっていた」


「鳩の血を祭壇に捧げていた」


「犬の首を切り、血を巻き散らせていた」


 ーーなどと、嘘を言いまくった。


 たしかに、チチェローネ公爵令嬢には気品と美しさがあった。

 でも、それが気に食わなかった。

 神に長年仕えている私よりも、神々しいのが許せなかった。


 加えて、哀れな人々にまで、彼女は慈愛を注いでいた。

 神父様から訊いた話では、匿名で公共事業を助けたりもしていた。

 やることなすこと、本来なら、教会が行うべきこと、修道会が行うべきことだった。

 つまり、私がその指揮を取るべきことだった。

 なのに、私は日常業務にかまけて、活動しなかった。

 結果、教会でも修道会でも、チチェローネ公爵令嬢は善人だという評価をほしいままにしていた。

 それが、許せなかった。妬ましかった。


 しかも、王太子の平民女への偏愛にもめげず、学年首席となり、婚約者であり続けた。

 だから、この〈断罪イベント〉が開かれた機会を逃すと、将来、彼女は王妃になってしまう。

 国民のみなから、国母として、敬愛を一身に受けてしまう。

 ほんとうに、憎たらしい。

 本気で、辱めを与えてやりたかった。


 学園卒業生に混じって、数少ない大人として、「彼女の罪」を告発すれば、真実性が増す。

 あの取り澄ましたチチェローネ公爵令嬢の顔を、動揺させることができる。

 そう思うだけで、私は愉快だった。


 実際、あの女が護衛の騎士たちによって捕らえられ、連れ去られる時、私を縋るような目で見たのが、なんとも心地良かった。


 とはいえ、今になって、死刑判決は言わずもがな、そもそもチチェローネ公爵令嬢を婚約破棄に追い込んで良かったのだろうか? と疑問が湧き起こっていた。

 彼女を追い落として、あの平民女が王妃様になる、ということはあり得るのだろうか?

 身分を考えると、王妃になるのはもってのほかに思われる。

 他の令嬢方が黙っているとも思えない。


(まさか、リリアーナ嬢って……彼女こそ、国に不穏の種を蒔いて歩く悪魔の手先なんじゃ……?)


 あの女ーーリリアーナは冷たい目をしている。

 なぜかわからなかったが、修道女ローレは、リリアーナから距離を取り続けていた。

 そのことを、今でも間違っていると思わない……。


 そんなことを、つらつらと考えていると、不意に声をかけられた。


「そのセンス、思いの外、悪くないわね」


 黙想塔の個室には小さな天窓が一つあるだけで、出入口になる鉄扉は厳重に閉じられ、一定の時間が来ないと開けることすらできない。


 それなのに、彼女ーーチチェローネ公爵令嬢が、修道女ローレの背後に立っていたのだ。


 振り向き様に目を丸くしているローレに向かって、静かな声で問う。


「あの女ーーリリアーナを気に入らないと思っていたなら、なぜローレ様は王太子殿下の稚拙な策謀に乗ったのですか?

 私を陥れたところで、何になりましょう」


 老修道女は、毅然と睨み返す。


「チチェローネ様。貴女、伺いましてよ。

 黒い羽根を撒き散らせて、国王陛下を昏倒せしめた、と。

 悪魔召喚を果たしたとのこと。

 まさか、あれほど敬虔に神様を信仰しておられましたのに、悪魔と契約を結ぶだなんて……」


 チチェローネは鼻で笑った。


「あら。貴女に言わせれば、私は黒ミサを行なっていたのでしょう?

 なら、そのイメージ通りじゃない?

 悪魔を召喚して、どこがおかしいのかしら?」


「……」


 老修道女は言葉に詰まる。

 チチェローネ公爵令嬢は、両眼に怒りを宿しながら断言した。


「清い心でいた私を、悪の道へ堕としたのは修道女ローレ、貴女です!

 せっかく大悪魔を召喚できたのですから、正式に彼の了承を得て、貴女を黒ミサの参加者にしてあげましょう」


「キャアアア!」


 老修道女ローレは、嗄れ声で悲鳴をあげる。

 額が、まるで焼印を押されたように熱くなった。

 ローレは慌てて額に手を遣ったが、遅かった。

 額に、赤い紋章が刻まれていた。

 髑髏に蔦が絡まる紋章がーー。


 修道女ローレは、額を両手で覆って、うずくまる。

 そんな彼女を見下ろして、チチェローネは明るい声をあげた。


「これで、修道女ローレも黒ミサの参加者となりました。

 教会関係の者ならば、文献で知っているでしょう。

 かつてこの国を滅ぼさんとしていた悪魔を崇拝する者たちが称える紋章のデザインを。

 せっかく六十年以上も神様にお仕えてきたのに、私を妬んだがばかりに、すべて台無しになりましたね」


 ローレは、全身を震わせながら、チチェローネに拝跪して懇願した。

 彼女には、もはや妬みも怨みもなく、純粋に願望だけがあった。


「私は老先短い老女です。

 どうか、憐れみを。

 この汚れた、罰当たりな紋章をーー消してください。

 お願いします」


「あら。虫が良いったら、ないですわね。

 私には地獄行きとなるような濡れ衣を着せておいて、自分が着せられるとみっともなく嘆願する。神様も呆れる所業よね」


「わ、私が愚かでした。

 魔がさしたんです。お許しください。

 地獄で身を焼かれるのは、恐ろしいのです……」


 ちなみに、レフルト教会教皇庁の公式見解では、すでに「黒ミサ挙行」や「悪魔崇拝」を根拠に死刑にする蛮行は否定されていた。

 だがそれは長年に渡って、国家権力者や民衆が激情に駆られて〈魔女裁判〉めいた私刑を行なう事例が後を絶たなかったので、一般信徒や現場聖職者の勝手行動を規制する必要があったからに過ぎない。

 特に、年配の信者や聖職者たちの間では、いまだに「黒ミサ挙行」や「悪魔崇拝」は忌むべきこと、本来なら火炙りの極刑に値する凶行だと信じていた。

 老修道女ローレも、潔癖なほど「悪魔」絡みの儀式に関わるだけで、地獄行きだと思い込んでいた。


 チチェローネは軽い侮蔑を込めた瞳で、目の前で身を震わせる老女を見下ろした。


「もちろん、その紋章を消すことはできますよ。

 ただし、消す代わりに、貴女に頼みたいことがあるのですが」


「貴女の望みはすべて果たします。

 なんなりと、おっしゃってください……」


「黒ミサを挙行していたのは、リリアーナだった、と証言するのです。

 そして、リリアーナが黒ミサを挙行するのを、貴女が見咎めたら、逆に脅されてしまった。

 リリアーナから、

『チチェローネ嬢が行なったことにしなさい。さもないと、悪魔の呪いをかけるわよ』

 と言われてしまった。

 だから、あのように証言させられたのです、と言いなさい。

 いずれ開かれる〈逆断罪イベント〉でね」


「わかりました」


 本心からローレはリリアーナを気に入らなかったようで、チチェローネの提案に抵抗なく同意する。

 そのまま老修道女は這いつくばった。

 そのさまを見て、チチェローネは改めて拳に力を入れた。


(よし、勝った!)


 用意は整った。

 さっそく明日にでも、国王夫妻と公爵夫妻を目覚めさせよう。


(あとは、王太子とリリアーナを追い詰めてやるだけ。

〈逆断罪イベント〉の開催よ!)


 そう思ったらーー。


 急に、老修道女が悲鳴をあげた。


「キャアアア!

 ああ、神様、お赦しをーー!」


 一瞬の出来事だった。

 老修道女ローレの全身が、赤く光ったかと思うと、真っ白な石になっていった。


(石化魔法!? いったい誰がーー?)


 気配を周囲に飛ばす。

 ここは、修道女が黙想に使う部屋だ。

 扉の開け閉めさえ、時刻が定められた区域だ。

 部屋の中で、黙想していたのは、もちろんローレしかいなかった。

 それなのに、気づけば、チチェローネの身体も石化し始めていた。


(やばい!?)


 不測の事態にチチェローネは動顚するが、人間にはどうしようもできないほど強力な魔法だった。


 が、悪魔の身なら、どうということはない。

 側頭部に生える角を露わにし、爪や毛を伸ばし、背中からは羽を生やした。

 そして、石化魔法を半分で食い止めた。

 だが、チチェローネの体内から、大悪魔が姿を現わす瞬間を待ち構えていたのだろう。

 黙想室の扉が、バンと開けられ、外から甲高い声が響いた。


「とうとう、正体を現わしたわね!」


 チチェローネが振り返れば、リリアーナが立っていた。

 彼女は勝ち誇って言い募った。


「動けないでしょ?

 いまだ半分以上を占めるチチェローネの心身が、石になって固まっているからね」


 石化魔法のせいか、意識が昇るのは、大悪魔のものだけだった。

 人間であるチチェローネの人格は沈黙している。


「ふん。だからといって、脆弱な其方の力量では、今の余でも討ち果たすことはできまい」


 平然とうそぶく大悪魔に対し、当然の如く、対話する。

 リリアーナには臆するところがなかった。


「そうね。

 残念ながら、これ以上、近寄ったら、逆撃を受けるだけのようね。

 でも、あと数日、待ってなさい。

 チチェローネ公爵令嬢ーーいえ、〈漆黒の大悪魔〉!

 あなたの没落は、時間の問題だわ」


「ふん。

 チチェローネの部分を石像にした程度では、余の動きは止められぬ。

 貴様と王太子への復讐に燃えておるからな、我が召喚主は。

 余は、その遺志を忠実に果たす」


 そのとき、大悪魔の脳内にか弱い力ながらも、確固とした意志が伝えられた。


(勝手に死んだことにしないでよ。

 私、まだ生きてるわ!)


 チチェローネの魂が叫んでいた。

 大悪魔は安堵した。

 時間はかかるだろうが、石化から復活できそうだ。


 外から様子を窺っているリリアーナには、大悪魔の内心はわからない。

 脳内会議の会話までは、聞き取れない。


 が、大悪魔が、かつて体験したことがない危機に遭遇していることは見て取れた。


 リリアーナは距離を取りながらも、勝利宣言をかましてきた。


「貴方が神の眷属らしく、契約に縛られてくれて、ほんと助かる。

 おかげで準備は整ったわ」


「なんの準備だ?」


「オネスト王太子が、新たな国王になる準備よ!」


「!?」


 驚く大悪魔に対し、リリアーナは得意げに鼻を鳴らした。


「王太子殿下が王になりさえすれば、すぐさまチチェローネ嬢の刑が確定されるでしょう。

 そうなれば、たとえ、貴方の心身を滅ぼすことはできなくとも、少なくとも、チチェローネ嬢が願った〈逆断罪イベント〉は不発に終わる。

 結果、契約不履行となり、貴方の真の力が解放されることはない。

 当然、この王国や世界を滅ぼすなんて、メチャな力が発動することはなくなるって寸法よ」


「チッ、小賢しい手を使いおって!」


 大悪魔が主導するチチェローネの身体は、舌打ちする。

 実際、そうなってはマズイ。

 契約条件が整わないために、そのような方法があったとは。

 大悪魔もチチェローネも、想定していなかった。


 だが、チチェローネの魂はまだ燃えている。

 逆転の目はある、と確信していた。

 その確信に乗じて、大悪魔は舌を回した。


「大悪魔たる余が、契約を違うことなぞ、決してない。

 なんとしても、宿主のーーチチェローネの願いである、逆断罪を果たしてみせよう。

 首を洗って待っておれ!」


「ふふ、せいぜい頑張って」


 リリアーナはせせら笑いながら、姿を消した。

 彼女を追うようにして、(大悪魔が主導する)チチェローネが黙想塔から出ると、外に広がる情景は凄惨なものであった。

 方々で修道女や修道士といった聖職者たちが何十人も、血塗れになって倒れていたのだ。

 死体を見ると、全身を隈なく切り刻まれているようだった。


(これは魔法の力ではないーー。

 鋭利な刃物を使ったなぶり殺しだ。

 軍隊でも動いたか?)


 リリアーナの背景は、いまだ謎に包まれている。

 疑問に首をかしげる大悪魔だったが、半分石化しつつも、なんとか機能を回復させつつあったチチェローネの意識は、苛立つ一方だった。

 またも、リリアーナの尻尾を掴み損ねた。

 それなのに、この修道会における皆殺しの大惨事も、私のせいにされるんだろうなと思うと、悪役令嬢チチェローネは歯痒くてならなかった。


 読んでくださって、ありがとうございます。

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