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フォロバ

家までの帰路、スマホの振動に気付き歩みを止めた。

夕暮れ時の公園で少し疲れた表情をしている人達を横目にスマホの画面を開くと、ユミチィからメッセージが送られてきていた。


『この間のオフショット!』

と書かれているメッセージの下に、ウルさまがメイク直しをしている姿をこっそり撮った隠し撮りの写真が送られてきていて、思わず声を上げそうになった。

何、何、この、イケメン?

先日リアルに会ったばかりなのに、写真を見るとこんなイケメンが本当に存在していたのかと疑ってしまう。

本当、実在の人物に思えない…。

美しいウルさまの写真。

こんなに美しい人と私は会話をしたのが今でも信じられない。

それに比べて…。

勇気を振り絞って撮ってもったツーショットの私の顔がひどすぎる。

不細工にもほどがある。

緊張しているのは分かる、ぎこちない笑顔と言えば聞こえはいいが、もう事故写真としか言い様がない。

それでも…。私にはとても大切な写真だ。

誰かに見せる訳じゃない、自分だけの思い出なんだから自分の写真写りなんて気にしなくていいはずなのにね、そんなの気にするなんて最悪。

こんな話をどこかで聞いた事がある、重要文化財を一般公開した際に、周りにいた人間がしたのは、写真を撮る事に一生懸命だった事。

目の前にもう二度と見れないかもしれないモノがあるのに直接目で見る事は無く彼等はレンズ越しにしか見ていないのだ。

私はそれに近い事をしていた。

彼の事ちゃんと自分の目で見て記憶に残してあるのに、写真と言うデバイスの記録であの時の記憶を上書きしようとしていた。

とは言え写真は大切。

あの日の気持ちもここに納められているから。

このデーターも家に帰ったらチェキにしよっと。

スマホをポケットにしまおうとすると、また通知音。

え?え?


「えーーーーーー!」


今度は思い切り声を上げてしまった。

幸い周りにいた人たちは自分の事で精一杯で私に不審な目を向けてくる人はいなかった。

ウルさまが、ウルさまが、私をフォローしてくれのだ、これが声を上げずにいられる訳がない。

更に。


『先日は『いいね』をありがとう』


そんなメッセージが送られてきていた。

ウルさまに認識された。

どうしよう、どうしよう。

憧れのウルさまにフォロバされるなんて思いもしなかった。

冷静になるんだ、私。

たかがSNSのやり取りじゃないか。

普通に返信すれば…。

いや。ここで返信したら相手の負担になるんじゃないのか。

そうだよ、しつこい女だと思われる。

私はスマホを抱き締めたまま考えあぐねた。












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