表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

夏のコスプレ

猛暑の中でのコスプレイベントに憧れのあの人はいるのか?

暑い、本当に暑い…。

ただ暑い…。

普通に歩いているだけで普通に生きてるだけでこんなに暑いのに。

そんな中、カラフルなウィッグを被り、あんな美しくメイクをして、今の時期に不似合いな格好をしている人もいる。

共通して言えるのは誰もが完璧にアニメのキャラになっている。

いつもはショッピング街のこの場所だから家族連れも当然いるから、子供が足を止めて視線を上げているのを見て、あの頃の自分を思い出した。

正直な感想は、みんな違ってみんないい。

すごいな、すごすぎる。

私には絶対にできないこと…。

だけど…。

私は周りを見回して肩を落とした。

ユミチィにコスプレイベント行かないかと誘われたのは一週間前だった。

ユミチィとはSNSで出会いお互い本名も年もどこに住んでいるのかも知らないが、共通の趣味が多く、直接会うのは今日で…もう何回目だろう?と言うぐらい会っている。

常にオタク活動をしているユミチィには如何なる時も必ず『推し』がいて、『推し』を追いかける事を生き甲斐にしている。

そんなユミチィの最近推しているのが、コスプレイヤーのトシくんらしい。

トシくんは、ユミチィの好きなキャラを完全に再現してくれるらしく、SNSで初めて見付けてからずっと彼の投稿を見ていて、今日初めてここで直接彼に会えるようでそのはしゃぐ姿が可愛くて、私も彼を見るのが楽しみになった。

そして、ここに来たのはもう1つ理由がある。

あの日私を夢の世界に、二次元の世界に連れて行ってくれた彼が、もしかしたらここにいるかもしれない、そう思ってここに来た。

あの日幼かった私の胸をドキドキさせてくれた人。

あの日私は恋をした。

余りアニメが好きでは無い母の目を盗んで見ていた。

あの時お気に入りだったのは、SFロボット系アニメの主人公のウルバヌスさまに本気で恋してた。

ちょっとドSなところも、天然なところも、仲間のために命を懸けられるところも、そして、何て言ってもビジュが圧倒的に良かった。

アニメのキャラはアニメの世界にしかいない。

現実の世界に現れるなんてある訳ない。

子供心に分かってた、そんな事。

そんな彼がまだコスプレを続けていて、この現場にいる保証なんてどこにもない。

ウルさまのコスしてる人は何人か見掛ける。

行列を作って撮影されているレイヤーさんもいる。

暑い中でプラバンを抱えているカメラマンもいる。

熱気溢れてるなー。

ユミチィも、『推し』がどこにいるか目が急がしい。

あれ?

あそこにいるのって?

黒いマントを翻し、ポーズを決めているレイヤーに目を奪われた。

似てる。

記憶の中の彼と今ポーズを取っている彼と比べる。

彼ではないのか!

目が合う。

こっちを見てくれた。

まさか、本当にあの時の彼なの?

私は彼に近付いた。










評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ