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「ノックしろ。」
「亮汰起きてる?」
ノックもなく部屋に入って来たのは双子の弟、光汰だった。流石一卵性だけあって顔はそっくりだけど、性格は違う。
「ノックしろよ。いつも言ってるだろ。」
ため息混じりに睨むが、気にする様子も無く近づいて来た。
「ごめんごめん。ねぇ亮汰、見せてよ。」
何の事かいきなり過ぎて判らない。でも嫌な予感がする。
「見せてって?」
パソコンの画面に視線を戻して素っ気ない口調で言うと背後から光汰の腕が首に巻き付いて来た。どうやら予感は当たったようだ。
「俺が開けたピアス。」
耳元で囁く悪魔の声。
今俺の背後に居るのは双子の弟なんかじゃなく、独占欲の強い支配者だ。
この支配者のせいで人生踏んだり蹴ったりだ。