表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/65

冒険者チームの来訪

 人狼マイフを東側の守りに付けて5日が経ったとき、フェアリーがやってきた。

「申し上げます。マイフ殿が狼を3頭ほど獣人化し、狼隊を組織しました」

 僕は満足に思いながら頷いた。

「その様子だと、1人当たり50ポイントかい?」

「そういう計算になりますね。残った50ポイントでナイフやショートボウなどを揃えた模様」

「そういえば、君にも名前があった方がいいね」


 そういうとフェアリーは、照れくさそうな表情をした。

「わ、私はフェアリーとそのまま呼んでいただいても……」

「それだと、他のフェアリーと区別ができないし……そうだなぁ」

 僕は少し考えた。

 彼女は妖精なのだから、植物に由来する名前が好ましいだろう。だとすると……花を意味する名前フローレンスなんてどうだろう。繁栄という意味もあるしフェアリーの彼女にピッタリなはずだ。


「じゃあ、フローレンスでどう?」

 フェアリーは恥ずかしそうに笑った。

「カッツバルゲル様が、そう仰るのでしたら……」

 本当に彼女は表情豊かで可愛らしい。

 そう思っていたら、南側に偵察に送っていた使い魔鳥が戻ってきた。


「ピィ、ピィー!」

「え……冒険者チームがやってきたって!?」

 その言葉を聞いたフローレンスは表情を変えた。

「どのようなパーティーですか!?」


「男3人、女2人……ウマのような動物はなし」

 そこまで言うと僕は思案した。

「ここに乗り込んでくる……ということはけっこうな腕前だろうね」

「マイフ殿を呼び戻しますか?」

 僕は少し考え込んだ。

「いや、彼にはこのまま、東側を守る任を続けてもらおう」

「かしこまりました」


 およそ5分ほどで、僕の角や鼻も冒険者パーティーの存在を感じ取った。

 報告の通り男3女2の編成だ。ランクはC……一般冒険者クラスと推察できる。


 もう少し近づくと、冒険者チーム個々の戦闘力がだいたいだけどわかった。

「チームメイトの強さは、B下位、C上位、C中位、C中位、ひとり弱いな……D上位」

「もし戦闘になったら勝てそうですか?」

「僕の強さは控えめに言ってA中位、君はB上位……周りの土地に被害を与えないように配慮する立場だよ」



 姿を見せた冒険者一行は、傷ついた仲間を背負っていた。

 なるほど、どこかで仲間が重傷を負い退くこともできないから、安全な場所を探していると言ったところか。

 一番の問題は、彼らが善人かどうかだということだ。


 リーダーと思われる戦士は、僕を見てチームメイトを手で静止した。まっすぐな目をした好感の持てる青年である。

 僕もまた、目配せをしてフローレンスに待機するように命じた。


 僕が少しずつ前に出ると、相手方の戦士もまた僕の様子を窺うように歩み寄ってきた。

「俺の名はデイヴィットという。ユニコーン……もし俺の声が届いているのなら……」

「僕のことはカッツバルゲルと呼んで欲しい」

 返答すると、戦士デイヴィットは驚いた様子で目を開けた。

「喋れるのか!」

「こう見えても元冒険者でね。今は回復の泉の守り手をしている」


 そう答えると、デイヴィットという戦士は頭を深々と下げた。

「た、頼む……仲間を救いたいんだ! 泉の水を飲ませてくれ!!」


 僕はデイヴィットという戦士を審査することにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ