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ホエズラーのチート能力

 厳しい修行を繰り返すことで、俺様は遂に白馬様から賜ったスッゲー能力をものにすることができた。

 その能力はズバリ、都合が悪かった事実をなかったことにできるスキルだ。


 俺自身の力量はBランクの中位程度の力と言った感じだが、このスキルさえあれば理論上は神にさえ勝つことができる。それほど珍しく貴重な能力だと白馬様も仰っていた。

 それだけでなく、白馬様は凄い耳よりの情報を持ってきてくれた。


「間者から興味深い情報を得ました。何でも……カッツバルゲルに先日、仔馬が生まれたとか……」

 そのことを聞いた俺は、千載一遇のチャンスだと思った。

 たとえ生まれながらのユニコーンだったとしても、仔馬は仔馬だ。不用意な行動もするし、戦いの際には足手まといになるのも当然。

「今、行けば……最低でもエストックとか言う牝馬は戦力外になるんじゃねえか?」

「ええ、それだけでなく、今日は風もあるので得意の霧も以前ほど役には立たないでしょう」

 これって千載一遇のチャンス……いや、仔馬は半年もすると大きくなって戦力化されるから、このチャンスを逃したら二度とカッツバルゲルに勝てる見込みがなくなる。



 まずは、そうだな……正面から突っ込んでみよう。

 白馬様もいるわけだから、カッツバルゲルに負けるとは思えねえ!


 作戦通りにカッツと正面対決をしに行くと、まずその姿に驚いた。体中に鎧のような砂や岩をまとっているから、全く別の生き物に見える。

 カッツだけでも脅威なのに、タンク役のリザードマンまでメチャクチャ硬くて強いんだからたまらない。

 コイツに集中攻撃をかけようとしたら、今度はカッツバルゲルとでっかいフェアリーが邪魔して来るし、苦戦している間に狼隊まで駆けつける始末。これではダメだ。やり直しだ!!



 強く念じると、俺の意識は出発前まで遡っていた。本当にこの能力は凄え。文字通り、今までの出来事をなかったことにした。


 ただ、相手はやはり一筋縄にはいかないということもわかった。だから二度目は、少し思考を変えて別動隊を用意することにした。

 例のフード魔導師を妻子の元へと向かわせて、相手を動揺させる作戦だ。


 この策は上手くいった。カッツバルゲルもでっかいフェアリーを魔導師討伐に差し向けたからな。2対3ならこちらが有利だと思いながら戦ったが……それでもまずカッツが怖い! Sランクパーティーでも歯が立たなかった理由もよくわかる。


 それでも俺は、集中砲火を浴びせてリザードマンをぶっ潰した。そうしたらカッツバルゲルのヤローが遂に本気を出しやがった。

 あっという間に鎧ヤローがやられて、俺も追い詰められたときにフード魔導師をぶっ潰したフェアリーが駆けつけたから最悪だ。けっきょく俺様は気を失ってやり直しだ。



 こうなったら三度目の正直だ。

 俺様は鎧ヤローを捨て駒にして、俺、白馬、魔導師の3人がかりでカッツバルゲルを集中狙いする方針に切り替えた。

 さすがに大地の加護を持つカッツバルゲルも、3人がかりの猛攻を浴びせたら自慢の鎧もボロボロになって満身創痍と言う状況になった。これには俺も確かな手ごたえを感じたよ。


 ところがだ。カッツバルゲルのヤローは変な冊子のようなものを浮かせて、フェアリーを超強化しやがったんだ。ただでさえ大きなフェアリーが子供サイズになったからたまったもんじゃねえ。

 応戦してた魔導師はたちまちぶっ潰されたし、リザードマンも鎧ヤローをメチャクチャにぶっ壊して、俺はカッツバルゲル軍団に集中砲火を受けて力尽きた。



 振り出しも4度目だが、俺はまだ諦めない!

 最強の冒険者になるためなら、どんな犠牲を払ってでも打倒カッツバルゲルを成し遂げるんだ。

 俺は白馬様に、最前列で戦うように懇願した。なにせ今までのやり直しの中でこいつだけは1度も死んでないし戦闘不能にもなっていない。

 とにかくイエスと言わせようと頭を何度も下げると、白馬様は仕方なさそうに言った。

「これがラストチャンスになるかもしれませんが、それでよろしければ……」


 なるほど回数制限があるのか。

 だか、俺は臨むところだと思った。白馬さえ本気を出してくれれば負けないと確信している。

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