表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/65

やっと訪れた春

 2月も後半になると、1日を通して0度を上回る日が増えていき、3月になると雪も少しずつだが溶け出していくようになった。

 今月は、幸いにも吾も妻の霊力も半減することなく、更に妖精たちも半分だがマナを納めてくれた。

「吾のポイントが2496で、エストックが2185か」


 フローレンスは森を見回すと戻ってきた。

 何か困っていることはあるか聞いてみると、彼女は森を見回りたいと返事を保留していたのである。

「特に木々も問題はありませんでしたし、昔ゴブリンに荒された場所へ進出すべきかもしれません」

「必要なマナは?」

「そうですね……500ほど頂けないでしょうか?」

 私は頷くと、フローレンスに500のマナポイントを渡した。

「では、早速……」


 フローレンスが妖精たちと共に森の東側へと向かうと、今度はエストックとヘラジカのルアイン4がやってきた。

「あなた。実はヘラジカのルアイン4が鹿部隊を作りたいと言っています。許可してもよろしいでしょうか?」

「判断するのはあくまで君だが、マナに余裕があるのなら吾は構わないと思う」

「わかりました」

 エストックは100のマナポイントを早速ルアイン4に与えていた。

「ありがとうございます! 早速ぼくも有望そうなシカを探してきます」

 頷くと、ルアイン4は森の中へと入っていった。


 エストックは300ほどマナを妖精たちに与えていたらしく、残りマナ量が1685となっていた。

「エストック部隊も、もう1人ぐらい重臣が欲しいところだな」

「確かに……マナもだいぶ増えましたからね」


 ちょうど精霊も姿を見せたので、この話をしてみようと思った。

「精霊様。エストックの部隊ももう少し戦力を強化したいと思いまして……有望そうな者はいますか?」

「あいにく、泉の周辺地域に一角の者はいません。あと……」

 彼女は森の東側を見た。

「ゴブリンが住み着く前に、東側に拠点を作ろうと思います」


 一種の賭けにも感じる策だが、狙い通りに東側に拠点を築くことができれば見返りは大きそうだ。

「何か霊力の強い場所を見つけたのですか?」

「はい。ゴブリンが以前住んでいた場所の近くに、大きな一枚岩があるのです。そこに部下を領主として派遣すればマナ収入も得られるでしょう」

 フローレンス以外で、一番霊力の高い部下と言えば……狼隊長マイフである。


 彼が森から戻ったところで、話をしてみることにした。

「……という訳で、領主になってもらいたい」

 そう言うと、マイフは驚いた様子で目を見開いていた。部下たちも「おおっ!」と声を上げてマイフを眺めている。

「遂に、我々の働きが認められる日が!」

「やりましたな……隊長!」

 マイフは深々とお辞儀をした。

「その役目……謹んでお受けいたします」


 我はすぐにピーター隊とデイヴィット隊を見た。

「君たちもマイフの手伝いをしてあげて欲しい」

「わかりました!」


 マイフ一行が東の一枚岩へと向かって約3時間後。使い魔鳥が現地の様子を伝える手紙を送ってきた。

「ゾーイ、手紙を広げてくれ」

「はい青毛ち……ではなくてカッツバルゲル様」

 青毛ちゃんでもいいのだが……ゴホン。

 どうやら、一枚岩の辺りは日当たりが良いらしく、雪がほとんど解けているという。

「なるほど。そうなると建材があった方がよさそうですね」

「エストック。手伝ってきてくれるか?」

「お任せください」


 マイフ一行は10日ほどで生活拠点を築くと、吾のダンジョンマスター帳にも3人目の領主としてマイフの名前が記された。

 領主の霊力ポイントは300。手持ちのマナ量が140と少ないため、500ほど開拓用の予算として入れておくことにした。マイフは驚いたらしくて伝書鳩を寄越してきたが、この予算は領主祝いのようなものなので受け取ってもらった。


 こうして吾のマナは残り1446。エストックもまた500をマイフの領内にいる妖精たちに振る舞ったらしく残り1185。マイフは640となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ