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一方その頃の勇者パーティー

 邪魔者を排除した我が勇者チームは、次のクエストに挑戦していた。

 内容はマンドレイクの調達。難易度や達成報酬も高く、我がAランクチームに相応しい内容と言えるだろう。

「いや~やっぱり馬がいないと、食費が安く上がるな」

 筋肉だるまが言うと、脳筋も上機嫌に頷いていた。


「そりゃそうだろ。アイツは1日に12キログラムも草を食ってやがったからな」

「それがそのままウ〇コになってたんだろ。まさに肥し製造機だな」

「きたねえ言葉を使うな! 俺たちはまがりなりにもA級パーティーだぞ!」

「す、すまん……」

 まあ、形だけ注意したが、俺も筋肉だるまの意見には賛成だ。


 本当にウマという生き物は可愛げがない。

 飯はやたらとガツガツ食うし、臆病で敵が近づくだけで足を止めるし、普段の毛並みの手入れは面倒だし、しょっちゅう蚊やハエは周りを飛び回るし、宿を取る際も納屋付きの高い宿に泊まらなければいけなくなる。


「はぁ……疲れたよお、荷物が重い」

「ねえ、もう少しゆっくり歩いてよ~」

 ノロマ修道士やヘボ弓使いは文句タラタラだが、テメーらは荷物が多すぎるんだ。体力もねえくせにそんなに持ち込むんじゃねえ!

「てめえらは、たるみすぎなんだよ。とっとと歩け!」

 そう喝を入れた直後に、筋肉だるまが叫んだ。


「うわ……て、敵だ!」

 なんだとと思いながら視線を戻すと、目の前には狼どもの姿があった。

 しかもマンドレイクをかじって凶暴化した連中ばかりだ。こうなった生き物は見境なく突っ込んでくるから厄介だ。

「不意打ち!?」

「つーか、囲まれてるぞ!?」


 くそ、いつの間にか囲まれてやがる。

 さては足手まといがいなくなったから、気を抜いていやがったんだな……しょうもない仲間どもめ。ここはリーダーの俺様が、勇者としての器の大きさを見せつける機会だろう。


「くらええ!」

 首尾よく狼2匹をぶちのめしたが、後ろからは喝采ではなく悲鳴が聞こえてきた。

 何だと思って振り返ると、ノロマ修道士が狼に噛みつかれ、へなちょこ弓使いも必死な形相でナイフを抜いて狼と交戦してやがる。しかも旗色が悪いじゃねえか!


 いったいこれはどうしたことだ!? 今までは果敢に攻めても後衛が攻撃されることなんて1度もなかったぞ!

「筋肉だるまに脳筋……何やってんだ!」

「うっせー、こっちだって狼どもを止めるだけで手いっぱいなんだよ!」

「くそっ……どうしてこうなった!?」


 その後、何とか頑張って狼の群れを退治した俺たちだったが、ノロマ修道士は狼に足を噛まれたせいで更なるノロマになってやがった。

「こりゃ……誰かに担いでもらうしかないね」

「ちっ……おい、役立たず」


 そう言いかけて俺はハッとした。今までは負傷者が出れば、本人と持っている武器や荷物を全てアイツの背中に預ければよかったのだが、パーティーから追放してしまったのだから、自分たちで何とかするしかない。

「もう、こうなったのニセ勇者のせいよ!」

「俺のせいかよ! テメーだって役立たずがいなくなったって喜んでたじゃねーか!」

「間違いだって認めようよ……新しい馬買おう?」


 ちっ……せっかく役立たずを追い出したのに、どうして役立たず2号を買わなきゃいけねーんだ!

 馬って大飯ぐらいのクセに高いんだぞ。農耕馬だって農民の年収の半分とかだからなー!! つーか役立たずなら売ればよかったじゃねーか俺ぇぇぇ!

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