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冒険者街vsゴブリン軍団

 再びトンビが偵察に向かったとき、冒険者街の建物からは次々と火の手が上がり、ゴブリンたちは略奪を行っていた。

 冒険者たちも応戦していたが統制は取れてなく、取り囲まれてやられる者も多かった。

「おらおら、Aランク冒険者チーム……ジェームズ隊のお通りだ!」


 現れたジェームズ一行は一般ゴブリンを次々と蹴散らしたが、ホブゴブリン3体が向かってくると勢いはなくなり、多数の一般ゴブリンも加勢すると見る見る劣勢になった。

「多勢に無勢か……くそ!」

「Aランク冒険者チームともあろうものが、みっともないぞ!」

 今度現れたのは、同じくAランクチームのゴメス隊だった。

 ゴメスはその鍛え上げられた体で大剣を振り回し、ホブゴブリン1体を撃破してみせた。


「うがあああああ!」

 ところが、敵にゴブリンナイトが姿を見せるとゴメスも一進一退の戦いを繰り広げることになった。ゴメスの部下もホブゴブリンと同等の実力と言ったところで、多数の一般ゴブリンが寄ってくると劣勢に立たされるようになってしまった。


「おまえらぁ……ゴメスさんを援護しろ!」

「おう!」

 複数のCランクチームがゴメス隊の援護に入ったが、依然として旗色は悪かった。ゴメス隊の防いでいる街道は何とか持ちこたえているが、別方向では冒険者たちが次々と倒され、ゴブリン隊は乱暴狼藉の限りを尽くしている。

 そんななか、ジェームズが断末魔を響かせた。

「あ、ジェーカス!」

「わ、私は……ゴブリンごときに……」

 ジェームズは倒されると、ゴブリンに頭を踏みつけられたまま白目を剥いた。

「むね……ん」

「貴様らぁ! 俺様の舎弟を……許せん!」

 ゴメスの怒りに満ちた鉄拳は、ゴブリンナイトの顔面にクリーンヒットし、ゴブリンナイトは周囲の一般ゴブリンを巻き込んで用水路へと落ちた。

 ゴメスは次々とゴブリンたちを殴り倒し、切り裂き、そして投げ飛ばした。


 その獅子奮迅の動きに、ゴブリンたちも恐怖したのだろう。我先へとゴメスから逃れようとしたが、現れたゴブリンパラディンは、逃げ出したゴブリンを軽く掴み上げると、残酷にも引き千切った。

「逃げるな……いけぇぃ!」

 ゴブリンたちはパラディンから逃げるかのようにゴメスに向かって行くも、ゴメスは次々と殴り倒して力の違いを見せつけた。

「てめえが大将か!」


 ゴメスは血走った目をしたまま、ゴブリンパラディンに向かったが、ゴブリンパラディンは涼しい顔をしたままゴメスの攻撃を片腕で受け止めた。

 そして、不敵に笑ったまま言った。

「ほう……ナイトよりも強いではないか」

「……ば、バカな!?」

「褒美だ!」

 パラディンの大岩のような手が振り下ろされると、ゴメスは吐血したまま塀と建物の壁を突き破り、頭から大量の出血をしたまま、弱々しく口を動かした。

「…………」


 ゴメスの視野に、ゴブリンパラディンの顔が映り込んだ。ゴブリンパラディンは残酷な笑みを浮かべながら、ゆっくりと近付いてくる。

「く……くそっ……」

「最期に言い残すことはあるか? 冥土の土産に聞いてやろう」


 そう質問されると、ゴメスはもうろうとした表情でゴブリンパラディンを睨んだ。

「お前より、泉のユニコーン……の方が……強いぜ」

 ゴメスはゴブリンパラディンに踏みつけられ、そのまま息絶えた。

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