中ボスとして領地開発!
1人だけ体が少し大きなフェアリーは、お辞儀をすると言った。
「ユニコーン様、エリアマスターのご就任……おめでとうございます!」
「ありがとう」
「就任をお祝いして、僅かですがマナポイントを献上いたします」
彼女たちはキラキラとした光を僕の前に差し出した。一つ一つがきらめく宝石の粒のようで美しく、エリアマスター帳に入っていくと数字が加算された。
僕の霊力と合わせて914ポイントか。結構な収入になったようだ。
何だか貰ってばかりも悪いので、こちらから働きかけてみることにした。
「こんなにたくさんありがとう。何かお礼がしたいんだけど……困っていることはない?」
そう聞き返すと、フェアリーたちはお互いを見た。
「そうですね……では、草花の受粉率を上げたいのでミツバチを買って頂けませんか?」
エリアマスター帳は独りでに捲れると、品種改良されたミツバチのコロニーと重箱のページが出ていた。
特売と書かれており、200のものと300のものがある。
「わかった。こっちの大きい方でいいかい?」
大きい方と言われてフェアリーたちは慌てた。
「そ、そんなに気を遣って頂かなくても……」
「いやでも、エリアマスター帳から、大きな巣の方がクマやホーネットの襲来を受けた時に生き残りやすいという声が聞こえてくるし……」
S級パーティーの商人トラネコ氏も、投資は十分な価値を感じたらケチケチせずに強気に行けと仲間に言っていたし、ここは彼の助言に従うのがいいと思う。
フェアリーたちも感激した様子で僕を見ていた。
「さすがはユニコーン様です! 良いエリアマスターに治めて貰って私たちは幸せ者です!!」
僕はハチと重箱を購入すると、妖精たちは魔法の力で重箱を持ち上げて運んでいった。残りは614ポイントである。
僕は鼻の下を伸ばしている場合じゃないなと思いながら言った。
「ところで、このダンジョンには冒険者はどういうふうに侵入してくるの? アドバイスしてくれると嬉しいな」
フェアリーたちの話を聞くと、冒険者は6割は南側から、3割は東側から侵入してくるという。その他の場所……特に西側は一帯が川となっているから、ここから泳いで来る強者はまずいないし、いたとしても水しぶきでわかるという。
「なるほど。北には更に深い階層があって……そこから登って来るのは基本的に悪魔だけという訳か」
「はい。北側は精霊様が守って下さっているので、ユニコーン様は南と東側を警戒するべきかと……」
「わかった」
僕は冊子を動かすと、使い魔鳥に目が留まった。
1羽50ポイントするが、これが2羽いれば東と南側の監視には打ってつけだろう。早速、購入することにした。残りは514ポイントだ。
「君は東側、君は南側を見張って!」
「ピィ!」
使い魔鳥たちは飛び立つと、指示した場所へと向かった。
喋れるフェアリーは、そっとエリアマスター帳を眺めてきた。
「他にどのような戦力強化をお考えでしょうか?」
「そうだねぇ……」
ページを捲っていくと興味深い個所を見つけた。精霊やスピリットを強化するという項目がある。
エリアマスター帳をフェアリーに向けると、彼女は「え……?」と言いたそうな表情をしていた。そしてページには500ポイントと記されている。
ギリギリ可能なのなら使ってみよう。その喋れるフェアリーの強化を行うと、人間の人差し指くらいの大きさだったフェアリーは、羽を含めると40センチメートルほどまでに大きくなり、他のフェアリーたちも驚いて彼女を眺めていた。
「わ、私を……重臣に取り立てて下さったのですね。ありがとうございます」
「一緒に、このダンジョンを盛り立てて行こう!」
「は、はい!」
残りは14ポイントになってしまったので、残りの内政は次月に行うことになりそうだ。