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ゴメス隊が去った後に

 戦士ゴメスは、目を覚ますと部下を引き連れて速やかに立ち去った。

 僕から言わせてもらえば、別に悪い人間ではなかったのだから、このまま滞在してくれても一向にかまわなかったのだけど……


 とにかく、ピーター隊とデイヴィット隊には今日も滞在してもらって、明日には東側のゴブリンの巣を完全に倒してもらうこととした。

「じゃあ、頼んだよみんな!」

「任せてくださいカッツのアニキ!」

 デイヴィットが言うと、ピーターも頷いた。

「必ず隅々まで攻略してみせます」

 一瞬、ダンジョンマスター帳のポイントを金貨に変えて渡そうかと思ったが、彼らにその気がなくても、金貨を出せるウマがいるなんて情報が冒険者街に流れたら大変だ。

 ならず者がここまで押し寄せてくると、相手をするだけでも面倒だし冒険者を捕食しようとする魔物まで寄ってくれば収拾がつかなくなる恐れもある。


 あくまで僕は、彼ら善良なパーティーに安全に休める場所と、いざとなったときの治療スタッフとしての役割を果たすのがベターだと思う。



 彼らは夕方になると全員そろって戻ってきた。

「カッツのアニキ。もうゴブリンはみんないなくなっていたぜ」

「本当かい!?」

「ええ。恐らく次に襲撃を受ければ持たないと思ったのでしょう。巣穴の出入り口は地魔法でふさいでおきましたので、奴らも簡単には根城にはできないでしょう」

「ありがとう!」

 お礼を言うと、冒険者たちは笑ってくれた。

「いいですよお礼なんて」

「そうだぜアニキ。アニキにはずっとお世話になりっぱなしだったんだからさ!」


 なんて良い人たちなのだろう。せめてものお礼として即席の温泉でも作って、ゆっくりと体の疲れを癒して欲しいところだ。

「せっかくだから、みんなで温泉でも入る?」

「おっ……いいねえ!」

 この提案には男性だけでなく、女性メンバーも喜んでいた。

「ぜひ、私たちもご一緒したいわ」

「カッツ様と一緒に入ると冷え性も治るし、お肌がすべすべになるからね!」

「じゃあ、さっそく準備するね」



 僕たちが温泉に浸かって疲れを癒していたとき、冒険者街ではAランクパーティー2組が出立の準備を整えていた。

 槍使いデクスターが率いる部隊と、長弓使いザッカリーの部隊である。

「ゴメスとジェームズの奴ら……すっかり大人しくなってたよな」

「へっ、馬風情に後れを取ったんだから、相当ショックだったんだろうよ」

 馬風情という言葉を聞いたザッカリーは眉をひそめた。


「馬風情というのは聞き捨てならんな。まあ、ワンパンで倒されたゴメスは正真正銘のノウナシだが」

「へっ、言っとくが角は早い者勝ちだぜ。悪く思うな」

「お前こそ、調子に乗って突っ込んで、ゴメスと同じ末路をたどらないようにな」

 間もなく、彼らは夜の森の中に姿を消した。

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