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ゴブリンとの対決

 僕が国境沿いのポイントに駆けつけると、ゴブリン一団は狼隊長マイフとにらみ合っていた。

 一般的なゴブリンは、120センチメートルほどの背丈しかないが、ホブゴブリンになると180センチ前後まで身長が高くなっており体重も120キログラム近い。ゴブリンナイトは更に重武装をしている。

「ココニ、ユニコーン、キタハズ……トオセ!」

「断る、すぐに立ち去れ!」

「何事!?」

 マイフの側に駆け寄ると、狼隊のメンバーは3人は一斉に敬礼した。

「ユニコーン、オマエジャナイガ、カマワン、ツノトッテコイ、イワレテル!」

 ゴブリンたちは一斉に武器を構えると、僕は戦闘の意志ありと判断した。


「戦闘行為を許可する……僕を守って!」

「ははっ!」

 その直後に、僕は角を光らせて炎弾を発射した。

 立て続けに3発の炎弾が飛び出すと、弓を構えていた一般ゴブリンの皮胸当てに着火して火だるまになって蒸発した。どうやら、ゴブリンは皮胸当てを強化するために油を塗っているらしい。


 その攻撃を見た、ゴブリン一行の表情は引きつった。

「ほ、ほのお!?」

「マジ?」

「エエイ、かかれかかれぇ!」

 ゴブリンナイトが叫ぶと、ゴブリンたちは一斉に襲ってきた。僕に殺意を向けているという感じではなく、ゴブリンナイトの機嫌を損ねたくないから戦っているという雰囲気だ。

「……!」

 マイフもまた口笛を吹くと、森の中から体に草木を纏って偽装していた狼戦士3人が飛び出した。彼らは部隊側面から弓を射掛けようとしていたゴブリン一行に突撃した。


 僕が炎魔法をチャージする間に、マイフと3人の狼隊員は近づいてくるゴブリンたちを悉く撃退した。その頼もしさには僕も舌を巻く思いだ。

 マイフの実力は想像通りAランク下位。狼隊員の実力はBの下位1人、Cの上位2人。遠くにいる3人チームも同じくらいの力量だろう。彼らが僕の両脇と後ろを守ってくれるのだから心強い。


 炎弾を4発撃つと、弓を番えていたゴブリンの胸当てに引火し、6体のゴブリンが火だるまになって蒸発した。

「おのれえええええええ!」

 ホブゴブリン2体が棍棒を振りかざして向かってきたが無駄だ。僕は体から無駄な力を抜き、ゴブリン2体を睨みつけた。

「水よっ!」

 高出力で水塊を2体の顔面に叩きつけると、ボキッという骨が折れる音が響き、ホブゴブリン2体は遥か後方にある岩壁へと後頭部を強打し、そのまま溶けるように蒸発した。


 その一部始終を見た一般ゴブリンたちは、青ざめた顔をして次々と逃げ出した。部隊が半壊しているなかでの逃亡は決定的だと思う。

 ゴブリンナイトも叫び声を上げた。

「テッシュウ……ニゲロ!」

 僕はその直後に、追撃の炎弾を放った。

 逃げ足の遅いホブゴブリンは火だるまになって蒸発し、巻き込まれた一般ゴブリンも火に包まれて消えていく。

 他にも弓を扱うゴブリンに向けて水魔法も放った。水塊を顔面や後頭部に受けたゴブリンは次々と吹き飛んで岩や樹木に突っ込んで消滅していく。

 ゴブリンナイトが撤収を終了するまでに、ホブゴブリン1体とゴブリン4体を消滅させることに成功した。


 戦いが終わるとマイフ率いる狼隊員は敬礼した。

「お見事でしたカッツバルゲル様。我が狼隊一同……貴方様の強さと機転に感服いたしましてございます!」

「ありがとう」

 そう答えながらも僕の気持ちは晴れなかった。マイフ隊員2人が負傷しているのが気になる。

「とりあえず、ケガの治療をしよう……そこに横になって」

「は、はい……」

「傷口から邪気が侵入すると厄介だ。まずは傷口を洗おう」


 ホブゴブリン3体と、一般ゴブリン13体を倒して手に入れたマナ61ポイントは、装備や人員強化の予算としてマイフ隊に回すことにした。

 ゴブリンたちが再度攻撃をしてくる可能性がある以上、こちら側も身構えないといけない。

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