THE.ニセ勇者!
俺たち勇者パーティーは村の南門の守備についていたが、とにかく弱い!
何が弱いって、まず村の自警団員のレベルが低すぎる。こいつらなんかが冒険者になったら2週間も生き残れないだろう。まあ、だから俺たちを頼ってきたんだろうから……こいつらのことはおいておこう。
次に、新しく買った馬が弱い。金貨10枚もしたってのに本当に使えん。
エサは初代役立たず以上に食うくせに、運べる荷物は初代と同じくらい。しかも喋ったり助言も出来ずに、初代以上に臆病で少しでも大きな物音が聞こえてくるとビビッて逃げだす始末。初代のように後衛を守ったり、水魔法で前衛を援護したりなんてできないししようともしない。
つーか初代役立たずって、役立たずの中でもだいぶマシな部類だったんだな。なんつーか色々と世の中は広いことを知った。アイツ元々は野生馬だったから買う必要もなかったしな。どこで調教を受けて人間に慣れたのかは謎だが、細かいことは気にしなくていいか。
まあ、馬風情に戦闘力は期待してないから、こいつもいい。本当は不満だが……これも置いておこう。
3番目にして最大の問題は、城門が脆いことだ。
魔物どもの攻撃を受けて、カンヌキだけでなく門全体が悲鳴を上げている。つーか脆すぎだろ。鉄製のしっかりしたものと贅沢は言わんが、せめてもう少し丈夫な構造にはならないのだろうか!?
「うわ……城門がやられるぞ!」
「勇者様……お願いします!!」
ちょっと待て。俺たちだけでこの数を相手に戦えってのか!? それはいくらなんでも多勢に無勢だろう!!
そんなことを考えている間に、城門が壊されてホブゴブリンどもが乗り込んできやがった。
ゴブリンナイト1、ホブゴブリン3、一般ゴブリン60かよ。こんなのはS級パーティーか、A級パーティー2つ以上で相手にするものだぜ!
俺は即座に仲間たちに撤退の指示を出した。あのギルドのクソ女。S級かA級上位のチームに回すべき依頼をB級クラスなんかに回しやがって!!
「あ……勇者様ー!」
「そ、そんなーーー!!」
村人どもは次々とゴブリンどもの餌食になっていくが知ったこっちゃねえ。敵の戦力を見誤ったお前らが悪い。俺たちは逃げるぜ。グットラック!!
ギルドに戻って結果を報告すると、ギルドのクソ女は青筋を立てながらほざきやがった。
「つまり、村の防衛に失敗したのですね……」
「ざけんな! テメーや村人どもが敵の戦力を正確に教えなかったかだろう!」
「契約書にも書いてありますが、敵戦力の把握はあなた方……冒険者チームが請け負うことになっていました!」
このクソ女は、俺がこう言い訳をすると思って契約の中に入れてやがったか! ちっ……そんな細かくびっしりと書かれた契約書なんて読むかよ!! そんなことをするのは役立たず馬くらいだぜ。
「とにかく、これほど立て続けに失敗したチームホエズラーズはBランクに降格です。一度失った信頼を取り返すのは容易ではありませんよ」
「次の仕事を寄越せ!」
「今の貴方がたにはBランク任務を渡すことはとても不安です。Cランク任務を請け負ってください」
落ちに落ちてCランクかよ。
こんなのは、冒険者になって2・3年の奴らや人数が極端に少ないパーティーが請け負うものじゃねえか。報酬額を見るとAとは比べ物にならないくらいショボかった。
「仕方ねえ。とりあえずこの薬草摘みを」
「今度こそ元Aランクチームの手腕を期待していますよ」
遂に元がついちまったか……だが、Cランク任務ごときで失敗はしねえぞ、クソ女!!




