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5月のダンジョン運営

 4月30日になると、久しぶりに狼隊長マイフと部下たちが顔を見せた。

「カッツバルゲル様。4月の戦果をご報告いたします」

 僕が頷くと、彼は話を続けた。

「ホブゴブリン2体、一般ゴブリン54体をせん滅……こちらが討伐の証となるマナです」

 なるほど80ポイントほどのマナを持ってくるとは……さすがはマイフだ。


「わかった。そのマナは部下たちに分配して、部隊の強化に役立てて欲しい」

 そう言葉を返すと、マイフと部下たちはお互いを見合った。

「よ、よろしいのですか!?」

「うん、それが僕にとって一番の利益になる。それから……」


 僕はエリアマスター帳を開くと、マイフのマスター帳に100ポイント振り込んだ。

「少し早いけど、5月分の予算だよ」

「あ、ありがたき……幸せにございます!」

 部下たちもまた、畏まった様子で深々とお辞儀をしたが、1人だけいる若い狼族の少年はそっと隣の狼戦士に質問をしていた。

「あ、あの……マナポイントって1で、どれくらいの価値なんですか?」

「ば、バカ……ここでそんな間抜けな質問をするな!」


 僕はいい質問だと思ってエリアマスター帳を開いた。

 正直に言うと、僕自身もよくわかっていなかったので、調べるには絶好の機会だと思う。何かわかりやすいものは……ん、んん??

「マナを1ポイント使えば、金貨1枚と交換できるよ」

 つまり、1マナが寒村に住む小作人の年収、2.5マナから3マナが比較的温暖な地域の農民の年収ということになる。


「こりゃ、東の巣穴にいるゴブリンの小領主も、マナを欲しがるわけですね」

 若い狼族の少年が言うと、隊長マイフも頷いた。

「ゴブリンの長にも主従関係があるらしく、上納金のようなものを収めていると聞きます」

 僕はその言葉を聞いて、何だかなと思った。

「なるほど……連中も率先して自然破壊をするわけだね」


 マイフ一行が戻り、翌日になると僕のエリアマスター帳には600ポイントが加算されていた。

 先月分が59ポイントが残っていたので、659ポイントとなり、更にフェアリーのフローレンスが仲間のフェアリーたちを連れてきてくれた。

「カッツバルゲル様。今月分のマナです」

 キラキラとした光をエリアマスター帳に入れると、僕のポイントは364ポイントが加算された。

「アシナガバチたちも、しっかり働いて害虫を駆除してくれたようだね」

「はい。おかげで植物たちの色艶も例年以上です」


 僕はすぐに、37ポイントを選択し精霊への貢物とした。

「ところでみんな、今月は何か必要なものはあるかい?」

 そう聞くと、フェアリーたちはお互いを見合った。この様子だと、少し大きなお願い事をしてくるかもしれない。

「では、土壌改良をしたいので……500ほどマナを頂けませんか?」

「わかった」


 マナポイントは一気に486ポイントまで下がったが、妖精たちは今まで多くの成果を出してくれている。こちらとしても多少の投資はしたいものだ。


 フェアリーたちが喜びながら森へと帰ったあと、狼隊長のマイフが走ってきた。突然どうしたのだろう?

「申し上げます! 国境付近を警備していたら……保護を求めてきたユニコーンがいました」

「保護を? どんな一角獣だい?」

「栗毛の牝馬です。ゴブリンに連れ去られそうになり……命からがら逃げてきたと言っています」


 僕はすぐに頷いた。同族がひどい目に遭わされそうになっているということか。たとえ、ゴブリンのボスを敵に回すことになったとしても、これは引き下がることはできない。

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