乙女達のパーティー~前編~
「私はこの制服いいと思いますよ。お嬢様らしくて可愛らしいです。」
花が声をあげる。
「花ちゃんありがとう。でも可愛らしいだけでは制服は成り立たないわ。」
すみれが諭す。今の教頭先生がドレスを禁止した理由は派手な装いが学業の場に相応しくないから、そして日本の女性の装いは和服だからという理由だ。しかし
「私の学校も皆袴ですけど、同じ女学校にいつも洋装のドレスで登校してくる方がいるんです。」
花の通う女学校には宮家の子息と婚約している華族令嬢がいる。花とは違う教室だが中庭でドレス姿をの彼女を目撃するという。
「成績優秀な方できっと洋装で登校することで学校生活を楽しんでいると思います。」
「そうですわ、きっと洋装なら学校に行くのも授業を受けるのも楽しくなりますわ。」
花の言葉に薔子も納得する。
「先生、私この制服で登校したいです。」
「そうね、そのためにめパーティーにいっぱい皆を招待しなくてはね。」
すみれは2人を連れてお店を後にする。帰り際にすみれは花に囁く。
「花ちゃん、ありがとう。」と
花は帰っていくすみれの姿を真っ直ぐな瞳で見送っていた。
日曜日、パーティーの日がやってきた。
「ごきげんよう。」
パーティーは薔子の邸宅で行われる。薔子とかすみは玄関で生徒達をお出迎えする。
「宜しければお手を拝借。」
かすみは訪れた招待客である生徒の手の甲に香水を振り掛ける。
薔子に連れられて行った店の香水だ。全員にプレゼントは難しいが玄関で振りかけてベルサイユ宮殿のお庭のような香りを味わってもらおうということにした。
「華やかな薔薇の香りですわ。」
「はい。ベルサイユ宮殿のお庭でございます。」
かすみは得意気に説明する。
「そちらのリボンはベルサイユの芝生に咲くピンクの薔薇かしら?」
やって来たのは優子であった。
優子は学校にいるときと同じで袴を履いている。
「優子様、来てくださったのですね。」
「招待頂きましたから。」
招待状を見せる優子。
「拝見致しました。ではお手を拝借致します。」
かすみは優子の手の甲にも香水を振りかける。
「甘い香りね。」
優子は手の甲を自分の鼻に近づける。
「お嬢様」
メイドが優子の元にやってくる。
「別室にドレスを用意してあります。どうぞこちらへ。」
優子はかすみに「また後でね」とだけ告げるとメイドについていく。
優子は2階の階段を上がり広間へと向かう。
「お嬢様、こちらでございます。」
その部屋は普段は空き室で使われていないが、今日はドレスルームとして使うことにした。
メイドが扉を開ける。
「まあ、嘘でしょ?」
優子の目の前には今までに見たことのない夢の世界が広がっていた。




