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マダムリーズの帝都レフィーユコレクション  作者: 白百合三咲
プリンセスの階段
87/146

白菊のお嬢様

「マダム、新しい帽子を見せてくださらないかしら?」

「はい、春子様。」

今日はお店の常連である春子が来ていた。

「今度家族で軽井沢の避暑地に行くんですの。」

はるこの夫であるかなめの両親は軽井沢に別荘を所持している。6月はかなめが纏まった休みがもらえるから家族皆で行く予定なのだ。

「かなめ様って楽団の?」

「ええ、夜は彼がバイオリンを演奏してくだかるのよ。」

春子が別荘で過ごす話をリーズとしている時

「ごめん下さい。」

来客がやって来た。

「花様、いらっしゃいませ。」

リーズが花に会釈する。花はお店の時とは違い学校帰りなのか袴を履いている。  

「花様、今日は何をお探しですか?」

「カチューシャを。お店で使っていたのがリボンが取れちゃって。」

リーズが花を案内しようとした時


カランカラン


来客を告げるベルが鳴る。

「宮原先生」

やって来たのすみれ、薔子、かすみの3人だ。花はすみれの姿に見とれている。

「お待ちしておりましたわ、先生。彼女達が生徒さんね。」

リーズは薔子とかすみに目をやる。

「いらっしゃい。白菊のお嬢さん達」

「マダム、薔子と申しますわ。こちらが級友のかすみです。」

薔子は足を曲げて優雅にお辞儀をするがかすみは頬を赤くしてリーズを見つめている。

「薔子様にかすみ様ね、ごきげんよう。こちらこそお会いできて光栄ですわ。」

「ごっごきげんよう。」

かすみは裏返った声で挨拶を返す。

「さあ、お二人とも。新しい制服にお着替えしましょう。サリー」

リーズは奥からサリーを呼ぶ。

「はい、マダム。」

リーズはサリーに頼んで制服のドレスを持ってきてもらう。黄緑色の長袖のドレスで袖と襟にはフリルがついている。胸元には小さなピンクのリボン、腰にはリボンと同じピンクのベルトが巻かれている。

「可愛らしい。まるでりとるぷりんせすのセーラが着てるドレスみたい。」

りとるぷりんせすとはイギリスの少女小説でありかすみは今英語で読んでいる。

「かすみ様着てみますか?」

「かすみ、着てみなさい。」

リーズと薔子に勧められかすみは試着室に入る。

 着替えが終わるとかすみは試着室から姿を現す。ドレスの裾をつまみ足をまげお辞儀をするかすみ。先ほど薔子がリーズにした時のように。

「Thank you for your invitation to your grand ball.Tonight we hope to have a wonderful time together.」

かすみは英語で挨拶する。舞踏会に招かれたプリンセスになりきって。

「かすみ様、プリンセスのようですわ。ですがこれだけでは完成ではありませんわ。」

リーズはドレスと同じ色のポンチョだ。リーズはポンチョをかすみに着せる。

前で止めるようになっていてボタンの部分がピンクのリボンになっている。

「これで仕上げですわ。」

最後にリーズは帽子を被せる。帽子にもドレスやポンチョと同様ピンクのリボンが付けられている。

「リボンはピンクとブルーがありまして、どちらも取り外しが可能ですわ。」

「まあ?でしたらわたくしはブルーがいいわ。」

薔子もかすみも新しい洋装の制服に胸踊らせているがすみれだけが難しい顔をしている。

「先生、いかがかしら?」

かすみがすみれに尋ねる。

「とても素敵だわ。貴女達が羨ましいくらい。だけど」

「だけど?」

「教頭先生が何て言うかしら?」

教頭先生とは薔子達の家庭科の教師だ。伝統や日本人らしさを大切にするばかりあまり外国語などの西洋被れの授業をよく思っていない。

派手だと言われて否決されてしまうのか?


「あの?」


その時花が声をあげる。


「私はいいと思いますよ。この制服。」

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