お嬢様のイノベーション
「だってそうじゃない。辻村さん。」
薔子が現れる。
「何かしら?薔子さん」
「わたくしの大事なかすみを苛めないでくださる?」
薔子はかすみの肩を抱くと麻友子を睨み付ける。
「苛めてなんかいませんわ。私は親切で言ってるのよ。だってかすみは王族でも華族でもないのよ。王子様と結婚なんて無理に決まってるじゃない。」
「でしたら、マイヤリングのマリーやコインブラのイネスはどうかしら?イネスは侍女でありながら、王子様に見初められたのよ。無理なんて言わずに貴女もパーティーに入らしたらどうかしら?」
薔子はかすみが持っている籠の中から招待状を1枚手に取り麻友子に渡す。
「結構ですわ。」
麻友子は招待状を払いのけると去っていく。
「大丈夫?」
傍でやり取りしていた優子が招待状を拾う。
かすみは招待状についた土を払うと再び委員長に渡す。
「委員長、こちらお持ち下さい。」
「ごめんなさい、千草さん。やはりパーティーには出席出来ないわ。辻村さんが先ほどおっしゃったこと間違っていないと思うの。」
「委員長も私が王子様と結婚なんて無理って思ってるのですか?」
「そうではないの。」
「洋装の服がないならご心配なさらずに。」
薔子が説明する。薔子の父がフランスのブティックからドレスを注文してくれることになっている。薔子も自身の物を貸し出すと言っている。
「ですので、普段のお着物でお越し下さい。我が家のメイド達がお召しかえをお手伝いします。」
「そうではなくて、お母様に何と言われるか。」
優子は以前母の師範の元へ行った帰り西洋のブティックの前を通りかかった。ショーウィンドウに飾られた白いドレスを立ち止まり眺めていたら、酷く叱られた。肌を見せる服など如何わしい店の女の着るものだと。
「そんなの可笑しいです!!私が委員長のお母様に会って説得します。洋装はお姫様着るものだと!!」
「かすみ、落ち着きなさい。」
興奮するかすみを薔子が制止する。
「貴女の気持ちは分かるけど、すぐに変化を受け入れられない人もいるのも現実ですわ。」
「薔子さんはそれでいいのですか?」
薔子もかすみと同じ気持ちだ。しかし他人に言ったところでどうこうできる話ではない。
「素敵なお話だけどごめんなさい。」
優子は招待状をかすみに返し去ろうとする。
その時
「お待ちになって!!」
3人の前にすみれが現れた。
『宮原先生?!』
「千草さん、貴女のお役目私にやらせてくれる?小笠原さん、貴女のお母様は私が説得します。ですので是非いらして下さい。委員長の貴女が来てくださればこの学校に素晴らしいいのべーしょんをもたらすことができるわ。」
すみれはかすみの持っている籠から優子に招待状を渡す。




