お嬢様学校の女教師
来客は紫色に白い花柄の着物を着た女性であった。彼女は宮原すみれと名乗った。
「私都内にある白菊女学院で英語の教師をしている者です。マダムリーズに折り入ってお願いがありまして。」
(白菊女学院??)
花は女学校の名前を聞いてはっとする。そこは西洋の雰囲気で有名な有数のお嬢様学校であった。
「お待ち下さい。」
お咲が奥へ消えると店内には花とすみれが残される。
「ごきげんよう、女学生さん」
すみれが口を開く。ごきげんようは白菊女学院伝統の挨拶だ。生徒のみならず女性教師も使っている。
「ごっごきげんよう。」
花はぎこちなく挨拶を返す。
「どちらの女学校?」
「えっと小海女学校です。今年の4月に5年生になりました。あっあの白菊女学院ってあの時計塔が有名ですよね?」
白菊女学院は明治の初期に立てられた。創立時から時計塔があり塔の最上階で乙女二人が互いに白百合の花を交換すると二人は特別な関係で結ばれるという言い伝えがある。
花はその言い伝えに憧れて白菊を受験したが敢えなく不合格。滑り止めで受験した今の女学校を選らんだのだ。
「ええ、よく見かけますわ。髪や振り袖の胸元に白百合の花をかざしてる生徒を。」
「宮原様」
二人が話しているところにお咲がリーズを連れて戻ってきた。
「宮原様、大変お待たせ致しました。わたくしがリーズでございます。」
流暢な日本語で挨拶するリーズ。
「どうぞおかけ下さい。」
「あ、私はこれで。」
花は頃合いを見計らって店を出ようとする
「またね、ごきげんよう。女学生さん。」
「ごきげんよう。宮原先生。」
自分の女学校の教師でもないのに白菊と聞いただけですみれに親近感を沸いてしまったのだ。
花が店を出るとリーズは用件を聞く。
「マダム、実は白菊女学院の洋装の制服を作って頂きたいのです。」
現在白菊には制服がなく生徒達は袴で登校している。明治の頃にはドレスで登校する生徒もいたが今の教頭に代わってからは洋装での登校は禁止されたという。
「まあ、洋装の?女学校も近代化してますものね。洋装の制服があったっておかしくありませんわ。それでどういった制服をお望みですか?」
「そうね、女の子達の理想や憧れが詰まった制服にして頂きたいわ。」
「やはりリボンやレースですか?」
お咲が入る。
「ええ、それからダンスができるような制服がお願いしたいの。鹿鳴館、いえバッキンガム宮殿で行われる舞踏会のような。」
『ダンス?!』
リーズとお咲は目を丸くして尋ねる。
すみれは4年生の教室を受け持っている。ダンスは彼女の要望だという。
白菊女学院は短編作品「時計塔の乙女」が舞台になった女学校です。
そちらは現代が舞台でしたが、歴史ある女学校ということで今作も登場します。
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