メイドの姉妹
「これ今日中にお願いね。それから台所の皿洗いも全部。」
お園達が玲香とおりさに仕事を押し付けてきた。
「私達はこれから休暇を取って旅行に行くの。旦那様が別荘を貸してくださるというものだから。」
そう言って女中達は屋敷を後にした。残された使用人は玲香とおりさだけだ。
こんなに大量な量夕方までに終わるのか。
「これじゃあ舞踏会に間に合わないわ。」
玲香が本音をこぼす。
「大丈夫ですよ。できるところから片付けて行きましょう。」
おりさが励ます。
2人は台所に行く。ながしには大量のお皿が詰め込まれている。
「手分けしてやりましょう。」
おりさがお皿を桶に入れ井戸に持って行って洗おうとしたとき、インターフォンが鳴った。
(誰かしら?こんなときに)
「お嬢様私出ます。」
おりさが玄関へと向かう。
ドアを開けると西洋風のメイド服を着た少女が2人立っていた。一人は青のワンピースに白いフリルのエプロン、もう1人はピンクのワンピースに白いフリルのエプロンを着ている。
「ごきげんよう。」
2人のメイドが挨拶する。
「私達、ご依頼を受けてやって参りました。メイド姉妹です。」
ピンクのワンピースを着た方が姉の蘭子、青のワンピースを着た方が妹のおゆきだ。
「あの、新しいメイドさん?ご依頼。」
おりさは話が理解できずにいた。
「若奥様からご依頼がありましたの。」
そこに春子がやってきた。
「来てくれたのね。私が頼んだの。」
春子は実は女中達のやりとりを聞いていた。さすがに酷いと思った春子は鮎子に相談しようとポートリー家に電話を入れた。そこに来てくれたのがポートリー家のメイド姉妹蘭子とおゆきだ。
「話は鮎子様から聞いています。やりましょう。」
玲香と蘭子は台所の食器洗いを、おりさとおゆきが洗濯物を洗うことにした。
仕事はなんとか夕方までに終わらせた。
玲香は部屋に戻りドレスに着替える。1年前に社交会デビューで着る予定だった白いドレスだ。
白のドレスに着替えて下にリビングにはすでにミセス・ポートリーと鮎子、そして裕太も来ていた。2人は今夜玲香とおりさのエスコート役をつとめてくれるのだ。2人とも今夜は燕尾服を着ている。
鮎子がおりさ、裕太が玲香のそれぞれ同伴することになっている。
「宜しくね。わたくしの執事さん。」
玲香が裕太に挨拶する。
「玲香ちゃん、ところで僕のおりさはどこだい?」
(きっと2階の自室で着替えているのだろう。)
「わたくし、呼んできますわ。」
玲香はおりさの部屋へと向かう。ノックをするが返事がない。
「入るわよ。」
おりさは和服のままベッドの上で泣いている。
「どうなさったの?おりさ、鮎子様入らしてるわよ。」
「お嬢様、私舞踏会行きたくない。」
おりさから意外な言葉が出てきた。




