プロローグ
今作は春子のお屋敷が舞台です。ヒロインは新人女中。
新キャラも続々登場します。
「ご覧になって。」
ここは銀座の喫茶店。袴の女学生達のお喋りで賑わっている。
「素敵だわ。ぱりこれくしょん」
1人が少女雑誌を開く。そこにはパリコレのランウェイを歩いたときのサリーやマーシュ、セレナがいた。
女学生達はどのドレスがいいかとお互い言い合っている。
その光景を花は楽しそうに見ていた。
そこにスーツ姿の紳士達が来店してきた。
「花ちゃん、久しぶり。」
紳士の1人が声をかける。
彼の名前かなめ。春子の夫であり、バイオリンの奏者だ。
かなめも春子と何度か来ている。
「お久しぶりです。今日はお友達とご一緒ですか?」
「ああ、今日は演奏仲間を連れてきた。」
皆いい身なりをしている紳士ばかりだ。
「ねえお嬢さん、あちらの女給さんって付き合ってる方とかいるの?」
演奏仲間の1人が花に尋ねる。あちらの女給さんとは他のテーブルを接客してる月子のことである。
「宜しければご自分で聞いてみて下さい。」
花は返答する。
「ところでかなめさん、今日は春子さんはご一緒じゃないのですか?」
春子はお産で実家に帰ってるという。来月が出産予定日だ。
その頃春子の実家福島家では。
春子が来客と楽しそうに話していた。女子校時代の教師だ。春子が出産すると聞いて会いに来てくれたのだ。
「失礼致します。」
女中がお茶を持ってきた。年は16才くらいに見える若い女中だ。女中はお茶をテーブルに置く。
「どうぞごゆっくりお過ごし下さい。」
女中は一礼して去っていく。
「あの娘、身のこなしが優雅ね。」
教師が口を開く。
「ええ、最近奉公に来たようなの。月島玲香さん、華族の出身ですわ。」




