マヌカンガールズ
「貴女ですか?日本から来たというマダムは」
リーズに話しかけてきたのはスーツを着た紳士だった。隣にいるのは高身長の高級ファーを首にかけた女性だ。
「ウィ、わたくしがリーズですわ。日本の帝都に店を構えておりますの。この度はソレイユ公爵のご好意でショーに出させて頂きますわ。」
紳士は名刺を差し出す。彼の名前はジャン。オートクチュールのデザイナーだ。
そして隣の高級感あふれる女性はセレナ。エキゾチックな美女だ。今回のショーにマヌカンとして出演するのだ。
「宜しくお願いしますね。マダム。」
「ええ、宜しく。サリーも挨拶しなさい。彼女がわたくしのマヌカンよ。」
サリーもジャンとセレナにお辞儀する。
「お目にかかれて光栄ですわ。」
「私もよ。」
セレナは普段はムーランルージュで踊り子をしているという。
その日の夕方からマヌカン達が一斉に集められた。ショーに向けてウォーキングのレッスンをするのだ。レッスンはホテルに隣接しているバレエスタジオで行われる。そこにはサリーとセレナ含む20人のマヌカンが集められた。
レッスンはバレリーナのようなレオタードで行われる。
4人1組で先生のカウントに合わせて歩く。
最初の組にひときわ存在感を放っているのはセレナだった。彼女はリズミカルにヒールの高い靴でもバランスを崩さず歩いていく。
(さすがはレビューの踊り子ね。)
後ろの列にいたサリーは感心していた。
「つぎの列」
先生の呼び掛けによりサリーの番が回ってきた。
サリーも背筋を伸ばし歩いていく。周りに遅れを取らないように。
「きゃっ!!」
その時サリーの隣にいた少女が転倒する。少女は黒い髪を伸ばした色白な子だ。
「大丈夫?」
サリーは少女に手を差し伸べる。少女は慣れないハイヒールにバランスを崩してしまった。
「ありがとう。私は平気よ。」
「次の列!!」
サリー達を無視して先生は次の列の少女達に指示を出す。
サリー達は列の後ろに廻る。
「あーあ、まともにウォーキングもできない人がいるなんて。」
サリーの前の列でセレナが声を上げる。
「セレナさん、そんな言い方ないんじゃない。」
「何言ってるの?私達は選ばれてここにいるのよ。なんで貴女がマヌカンに選ばれたのかしら?」
「セレナさん!!」
「ちょっとそこ」
先生の厳しい視線がサリー達に向けられる。
「お喋りしたいんだったら出てっていいわよ。はっきり言って邪魔。」
「すみませんでした。」
すぐに謝罪したことでことなきを得た。だが
「貴女のせいで私まで怒られちゃったじゃないのよ。本当迷惑。」
少女の耳元でセレナが呟く。
レッスンが終わると皆部屋を後にする。
さきほどの少女は肩を落とし帰ろうとする。
「大丈夫?」
サリーが少女に話しかける。
「ありがとう、えっと」
「サリーよ。」
「サリーさん、私ってマヌカン向いてないんですよね?今日はごめんなさい。」
「私は大丈夫よ。えっと」
「私はマーシュ。また明日ね。」
マーシュが稽古場を出ようとしたときサリーが呼び止める。
「ねえ、良かったら私が止まってるホテル来ない?私のデザイナー、マダムを紹介するわ。」




