新しい時代のパリ
リーズとサリーはホテルにチェックインするとベルボーイに部屋に案内される。部屋は最上階の10階パリの街並がよく見渡せる。
エッフェル塔にセーヌ川、それから凱旋門そしてオペラ座とリーズが夫と暮らしていた頃と変わらない。
「ねえマダム」
サリーが声かける。
「あれは何ですか?」
サリーが見慣れな建物を指先す。よく見ると赤い風車が回っている。
「あれはムーランルージュでございます。」
ベルボーイが説明する。
ムーランルージュとは劇場で日夜レビューショーが行われている。
レビューとは女性の踊り子達のショーである。
踊り子達はスカートの中にパニエを入れ裾をひらひらさせながら足を高くあげる振り付けを踊るのだ。その踊りはフレンチカンカンと呼ばれている。
スカートの裾をめくりあげ足を高くあげるなんてサリーには考えられなかった。ダンスといえばクラシックバレエや舞踏会のワルツを想像していたのだから。
「サリー、踊りというものは時代と共に変わっていくものよ。踊りだけではない音楽も絵画もそしてファッションもね。パリの街並は変わっていないと思ったけどパリの人々が求める物は変わっているのかもしれないわ。」
午後から2人はファッションショーの会場の下見に出かけた。
ファッションはパリで1番のラグジュアリーホテルで行われることになってる。
リーズ達が滞在しているホテルからはそんな遠くないから徒歩で下見に向かうことにした。
公園ではテニスをしている少女が2人。彼女達は紺色の丸襟に膝丈のワンピースを着ている。
リーズは立ち止まり彼女達を見てしまう
「どうしました?マダム」
サリーが声をかける。
「テニスなんて懐かしいわ。」
リーズはカルムに誘われていったガーデンパーティーで他の貴婦人達とテニスマッチを楽しんでいた。
「だけどわたくし達はドレスのままラケットを振っていたわ。」
ほどなくして二人はホテルに到着した。ファッションショーが行われるのはシャンデリアが吊るされた大広間。普段はここで舞踏会が行われている。
広間の中央にはランウェイ作られている。サリーはここを歩くのだ。
「サリー」
隣にいるマダムが声をかける。
「パリはわたくし達がいない間に進化したのね。この街は常に時代の最先端を行くのだわ。」
「私もそう思います。」
その時会場の下見に来ている紳士が1人。
彼はソレイユ公爵。このファッションショーの出資者の1人で亡き夫カルムの親友でもある。
「公爵。」
リーズが声をかける。
「マダムいらしてたのですね。」
「はい下見に。この度はオートクチュールのファッションショーでありながらわたくしもプログラムに加えて頂き大変感謝致しますわ。」
リーズはカウテシー風のお辞儀をする。
「こちらこそお越し下さり感謝します。貴女は親友カルムの夫人ですし、それに貴女の日本でのお噂聞いております。だからこそ是非参加して頂きたいのです。」
「彼女か、わざわざ日本からやって来たというデザイナーは。」
そこに1人の紳士がやってきた。脇に高身長の毛皮のファーも身につけた女性が立っている。




