パリへの贈り物
この話は最終回です。
「いらっしゃいませ。」
花はリリカがデザインしてくれた新しい洋服で店頭に立っている。
「花さん、素敵だわ。その服。」
今日お店に来てくれたのは花の女学校の級友達だ。着物姿の級友達はメニュー表を見ながら何にするか決める。
「花さん!!」
花は級友に自分の名前を呼ばれテーブルへと向かう。
級友達はそれぞれ自分がほしい物を注文する。
「ねえ、花さんその洋装どうされたの?」
「実は新しく仕立ててもらったのよ。」
「まあ、どなたに?」
「お姉様よ。」
「パリの美術学校へ留学したお姉様?」
「いいえ、新しいお姉様よ。マダムリーズのお店で働いてるの。」
「マダムリーズってあの?!」
「ええ」
そこに1人の貴婦人が来店した。ちょうど今噂になっていたリーズであった。
「いらっしゃいませ。」
「ごきげんよう、花さん。新しいお洋服はどうかしら?」
「お陰さまで評判いいです。妙さんなんて今度は早稲田の学生に食事に誘われたんですよ。それも帝国ホテルのフレンチに。」
「さすがは月子さんね。今日はいらっしゃらないのかしら?」
「妙さんは映画のオーディションなんです。合格すれば台詞の多い役をもらえるそうです。」
「あの、」
花の級友の1人が立ち上がる。
「こちらの洋服マダムがデザインしたのでしょうか?」
「いいえ、わたくしの店で働くリリカという店員が作りましたわ。」
「あの、リリカさんは今日は一緒じゃないのですか?」
その頃リリカは郵便局にいた。親友に送る荷物を持って。
「あの、こちらパリまで送って頂けますか?」
「かしこまりました。国際便ですね。」
「ええ。」
リリカは荷物を受付の少女に渡す。
先日リリカ宛に親友のトーニャから手紙が届いた。それはロシアからではなくフランスのパリから出会った。
「リリカへ
元気で過ごしてるかしら?
私は今パリにいます。ロシア、いえソビエトの革命軍に家を占拠され私達家族の居場所までも奪われました。今の大地には私達が共に笑って過ごしたあのロシアはもうありません。
幸いお兄様の婚約者のエレネさんと連絡が取れ、エレネさんのお父様が私達家族をパリのお屋敷に招いて下さることになりました。パリは素晴らしい場所ですわ。ソビエトのように好きな服で着飾っても、カフェでお茶をしても制裁されることはありませんもの。
あの国は人々の平等を掲げていてもそこに自由はございません。
リリカ、日本には慣れました?いつままたお会いできることを楽しみにしてますわ。
トーニャ」
(トーニャ、無事にソビエトから脱出できたのね。良かったわ。私がデザインした服気にってくれるかしら?)
そんな事を考えながらリリカは郵便局を後にした。
次回からはまたスピンオフ書けたらなと思ってます。




