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マダムリーズの帝都レフィーユコレクション  作者: 白百合三咲
大正カフェガール
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もう1人のカフェガール

今回はあの悪役女優が出てきます。

あの娘は帝劇を追放されてからどうしてるでしょうか?

「お姉様こちらです。」

花はリリカと店内に入ると空いてる席へと座る。午後3時、この時期帯はティタイムにと一番混雑する時間だ。

花は席につくとその場でハイヒールを脱ぐ。ドレスの裾が長いから脱いでも気づかれにくい。

「花ちゃん。」

声をかけてきたのはお店て働いてるウェイトレスだ。

「相席いいかな。」

「ええ、」


「お客様どうぞこちらへ」

ウェイトレスに案内されて紺のドレスの貴婦人がやってくる。

「あらリリカさん、花ちゃん。」

貴婦人は帽子を脱ぐ。

「春子さん!!」

相席の相手は春子であった。春子との再会に驚くのはリリカと花だけではなかった。

「貴女、確か帝劇のパトロンの娘?!」

声をあげたのはウェイトレスだった。

「貴女、もしかして月子さん?」

花の両親の店で働いてるのは元帝劇の主演女優月子であった。

月子は帝劇と契約打ち切りになってから映画の端役の仕事を始めた。しかしそれだけでは食べていけないためカフェのウェイトレスとして仕事を掛け持ちしているのだ。

「貴女も真面目に働くようになったのね。男に取り入らないで。」

「春子さん、そんなこと言わないで下さい。妙さんがいるおかげで客足が増えてるんですから。こないだなんか帝大生に映画に誘われてたんですよ。」

妙とは月子の本名である。


「ちょっと無駄口叩いてないで注文決めて下さいね。お客様。」

月子はメニュー表を差し出す。


「春子さん今日はどちらに行かれたんですか?」

「実は今日はね。」

春子は芝居のパンフレットを鞄から取り出す。

そこには白軍服姿の桜子が写っていた。そして隣の令嬢は蘭子であった。

かつて桜子が主演で演じた作品を女性の役者だけで上演されることになった。かつて桜子が演じたロザリーを蘭子が演じているのだ。そして桜子はロザリーの恋人のジュローデルを演じている。桜子の男役は貴婦人や乙女達に評判が良い。

「あらこの娘は桜子ちゃんと一緒にいた娘だわ。女優になったのね。」

「無駄口叩いてないで仕事して下さいね。ウェイトレスさん。」

テーブルに現れた月子た対して春子は嫌味を言う。

「注文を取りに来ただけですよ。」

皆それぞれ注文する。

「ねえ、月子さん。」

春子は月子の耳元で何か囁く。 

「分かったわ。」


その後リリカと花の注文したケーキと紅茶が来た。

「花ちゃん。」

奥から月子の声がする。

「はーい。」

「春子さんの注文。できたから取りに来てもらえる?」

「妙さんが持っていって下さいよ。私今日はお客さんなんですよ。」

「花ちゃん、お願い。」

春子にお願いされ、ハイヒールを履き席を立つ。

まだ足がよろける。

「花ちゃんおねがいね。」

花は紅茶の乗ったお盆を持ち歩き出す。

次の瞬間


「きゃっ!!」


ドレスの裾を踏んで転んでしまう。お盆はひっくり返りカップが割れてしまう。


「花ちゃん、大丈夫?」

月子が駆け寄る。幸い花に怪我はなかったようだ。

花と月子は二人でカップの破片を片付ける。


月子は新しいカップに紅茶を入れ春子に出す。

「お客様、大変申し訳ございませんでした。」

「かまわないわ。こうなることは分かっていたから。リリカさんも花ちゃんもこれでどうしてマダムがこのデザインに首を縦に振らなかったか分かったはずよ。」


リリカのデザインしたドレスは確かに可愛い。でも裾の長いドレスやハイヒールは動き回るウェイトレスには相応しくないのだ。


「春子さん、貴女の言いたいことは分かったわ。でも動きやすさばかり気にしていたら可愛い物ができなくなるわ。」

「だったらリリカさんが可愛くて動きやすい洋装を作ればいいわ。」


可愛くて動きやすい洋装。


「今日1日花さんといてひらめいたわ。きっとマダムが納得できるようなデザイン画にするわ。その時は月子さんにも協力してもらうわよ。」

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