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マダムリーズの帝都レフィーユコレクション  作者: 白百合三咲
幸せのウェディングドレス
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春子の王子様

 鮎子はかなめの荷物を部屋まで運ぶ。 

「この部屋を使ってくれ。ところでかなめさんはお酒は飲むか?」

「はい、ワインを。」

「なら話は早い。今夜は男同士で飲まないか?」

「男同士って君は女の子だろ。それにいいのか?勤務中に飲んで。」

「勤務中と言っても主人は留守だ。それに隣も楽しそうにやってるだろう。」

隣はリーズの部屋だ。蘭子とゆきの声が聞こえてくる。リーズの夫が書いた小説のヒロインにでもなりきっているのだろう。

「上等のワイン持ってきてやるから待ってろ。」

鮎子は部屋を後にした。

かなめはふと疑問に思った。鮎子はなぜ男装なんかしてるのか?春子からは女学校の同級生と聞いていて写真を見せてもらったがみつあみの袴の少女であった。印象が全く違う。

「お待たせ。」

ほどなくして鮎子がトレイにワインのボトルとグラスを持って戻ってきた。

2人はグラスに注ぎ乾杯する。

「なあ鮎子さん、君は春子さんと女学校が一緒だったんだろう?」

「ああそうだ。」

「春子さんからはこの子が君だと言ってたが。」

かなめは一枚に写真を出す。それは女学生時代に春子と撮った写真だった。まだ髪は切る前でみつあみをしている。

「ああこれが僕だ。」

「この和装の少女がスーツで男装か。今日本で流行ってる少女歌劇の真似か?」

「そんなんじゃない。僕は蘭子を守るために男になったんだ。」

「君達そういう事だったのか。」

かなめは納得したようだ。

「僕達の話はいいだろう。かなめさんこそ春子さんとはどうなんだ?」

かなめは黙り込む。

「どうした?」

「僕達は大それた話なんてありませんよ。」

「なぜそう思う?もっと自信を持て。」


春子とかなめが出会ったのは帝国ホテルで開かれた舞踏会。春子はきらびやかな広間で紳士淑女が踊る姿にうっとりとしていた。そこにダンスを申し込んだのがかなめだった。西洋風の白軍服姿のかなめにすっかり心を奪われてしまった。

春子は最初は緊張していたがかなめのリードが良かったからかその場に馴染めることができた。

ダンスが終った後お礼を言おうと思った春子はかなめの姿を探した。

中庭へに足を踏み入れるとバイオリンで美しい音色を奏でるかなめの姿があった。

「春子さんは手紙で君のことダンスもバイオリンもお手の物な理想の王子様だと手紙に書いていたぞ。」

「そんな物じゃありません。僕は」

かなめはイギリスの音大に留学中で長期休暇で日本に戻っていた。イギリスでは思うような演奏ができずにいた。定期演奏会のオーディションにも落選してしまいスランプに落ちいってたのだ。

あの庭で奏でていたのは簡単なエチュードだという。

「だけど春子さんが君の演奏に心を奪われたのは事実だろう。だから大丈夫だ。」

「正直不安なんだ。春子さんと上手くやっていけるか。挙式のことでも揉めてしまったし。」 

「しっかりしろ!!僕だって最初はそう思ったさ。

それに君は男だろ、しっかり春子さんを守ってやれ。って昔僕もある人に似た様なこと言われた。」

「ありがとう。鮎子さん。」

その後2人は飲みながら語り明かした。鮎子が部屋を後にしたのは日付の変わった頃だった。

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