マダムリーズ海外進出?!
久々にあの百合カップルが登場します。
大正6年、いえ西暦1917年8月。ここはイギリスミスポートリー邸。リビングで蘭子は訪問したリーズと春子、そしてかなめにお茶を出し談笑していた。
「蘭子、ここにいたのか。」
そこに戻ってきたのは鮎子と蘭子の妹ゆきであった。
「今お帰り?」
鮎子はミスポートリーの子供達の家庭教師をしていたが最近になって子供の通う小学校で非常勤講師として働くことになったのだ。ゆきもその小学校に通っている。
「今日は蘭子が出迎えに来ないと思ったら珍しい来客が来てたのか?」
「鮎子様、今さっきマダムの夫が書いた小説を読ませてもらったの。フランス人形が人間の王子様に恋をする話でね、流れ星にお願いして1日だけ人間の少女にしてもらうの。そして王子様と舞踏会で素敵な1夜を過ごすのだけど12時になると同時に人形に戻ってしまうの。でも王子様が流れ星にお願いしてフランス人形は永遠に人間の少女の姿でいられるようになって王子様と結婚するの。素敵でしょ。」
蘭子は流暢に話すが鮎子は制止する。
「蘭子、分かったから。少し落ちつきなさい。」
「ところでマダム、貴女が春子さんを連れてイギリスなんて。事業拡大ですか?」
「いえ、違いますわ。春子様とかなめ様の結婚式をこちらで行う予定ですの。」
時は遡ること2カ月前。リーズの夫との馴れ初めを聞いた後、かなめから電話を受けた。かなめはイギリスにいる父に結婚の報告をしたいという。
「式が終わってから春子を連れて挨拶に行きたいんだ。新婚旅行も兼ねてどうだい?」
そこで春子は思い付いた。
「それで挙式をイギリスでしようってことにしたの。それならウェディングドレスも着れるでしょ?」
「でもそれをよくかなめさんのお祖父様とお婆様はお許しになったな。」
「あら鮎子さん、それがそうでもないのよ。だからかなめ様のお母様と私の両親が挙式に間に合うようにお2人をイギリスに連れてくることになったの。」
「春子さん、本当にそれで上手く行くのですかね?」
かなめはあまりその提案に乗り気ではなかったのだ。
「ところで皆さんは今日どちらにお泊まりかな?」
「鮎子さん、実を言うと」
3人はホテルを予約する予定だったがどこも満室で取れなかったという。
「でしたら今日はこちらに泊まりませんか?」
ミスポートリーは夫と子供と一緒にイタリアに旅行中で1カ月戻ってこない。部屋は自由に使っていいと言われている。
「でしたら、是非お願いするわ。」
リーズの返事を聞くと鮎子が奥から裕太を呼ぶ。
「はい、お呼びでしょうか?」
裕太は蘭子の弟。鮎子と一緒に執事として働いている。まだまだ見習いだか。
「裕太、この方々の荷物を部屋まで頼む。」
「はい。」
裕太はリーズと春子の荷物を持って部屋まで案内する。
「マダム」
リーズに声をかけたのは蘭子であった。
「宜しければご主人の小説また見せてもらえますか?」
「ええ勿論よ。部屋にいらっしゃい。」
いっこうが部屋へと移動した後リビングには鮎子とかなめが残った。
パリにイギリス、国際色豊かになってきました。




