愛しき人への約束
ナタリィは玄関へと向かう。そこにいたのはカルムでなく新聞配達の少年だった。
「新聞お届けに参りました。」
「ありがとう。」
ナタリィはお金を払い新聞を受け取ると屋敷の中に入る。
「ナタリィ今のは?」
「新聞配達よ。」
そう言ってリーズに渡す。
どうせ大したニュースなんて載っていないだろうと思いつつもソファーに腰掛け一面を広げ読み始める。
すると一面にはリーズを驚かせるニュースが飛び込んできた。
「そんな嘘でしょ?!」
「どうされましたお嬢様?!」
リーズの悲鳴を聞きナタリィが駆けつける。
一面には公爵家同士の婚約のニュースが書かれていた。
「指折りの富豪ルバンヌ公爵の子息カルム様、マルクス公爵家の3女アリシア様婚約」
マルクス公爵家といえばモナコ公国の王室と繋がりがある公爵家だ。マルクス公爵夫人はモナコ公国シャルル2世の妹なのだ。
(そんな嘘でしょう?!)
リーズはその場で泣き崩れる。
あれから1週間リーズは部屋に籠りきりになり何も飲まず食わずの日々が続いた。
「お嬢様」
ナタリィが料理を部屋に運んでくるが一向に食べない。
「わたくし食べたくないわ。」
「もう1週間も何も召し上がっていません。食べないとお身体に障ります。」
「いらないわ。」
その時ベルがなった。
ナタリィは玄関へと向かった。
その来客を見てナタリィははっとした。
「お嬢様はいらっしゃますか?」
「はい。」
リーズはネグリジェからワンピースに着替え来客の待つ応接間へと向かった。
最初は誰にも会いたくないと言っていたリーズだったがナタリィの説得によりなんとか連れ出すことができた。
「お嬢様、突然の訪問お許し下さい。約束を果たしに本日はお邪魔させて頂きました。」
「約束?何のことですの?カルム様」
今日リーズの屋敷を訪れた来客はカルムだったのだ。
「貴方が行くべきところはわたくしの他にいるはずですわ。例えばマルクス家のアリシア様とか。」
そう言ってリーズは1週間前の新聞をテーブルに叩きつける。
「お嬢様それは誤解です。」
「誤解?この新聞が?新聞社が嘘を書いたとでもいうのかしら?」
「お嬢様、これを見て下さい。」
今度はカルムが小説の原稿と昨日の日付の新聞を出す。
カルムから渡された新聞を見るとカルムの中で書かれた小説がベストセラーになった記事とその隣にはカルムがアリシア嬢と婚約を解消したというニュースが載せられていた。
カルム曰く婚約はカルムの父が相談もなく取り付けたという。それを知ったカルムは自分に心に決めた人がいると断固結婚を拒否した。しかし相手が王家だからという理由で父はカルムの意見に賛成してくれなかった。
「そこで僕は父に賭けを申し出たんです。」
その賭けというのは自分が執筆してる小説がベストヒットしたら婚約を解消してほしい、もしもヒットしなければそのときはアリシア嬢と結婚すると。
「今日は君を迎えに来た。」
次にカルムは膝まずき箱を取り出す。中には指輪が入ってきた。
「お嬢様、いえリーズ、僕と結婚して下さい。」
次回の舞台はまた帝都と行きたいところですが、いえ、これ以上は言えません。




