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マダムリーズの帝都レフィーユコレクション  作者: 白百合三咲
幸せのウェディングドレス
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婚約の取り消し

 「ウェディングドレスキャンセルできませんでしょうか?」


リーズもサリーも耳を疑った。

春子はあんなに結婚式を楽しみにしていたのだ。


「春子様、何があったのですか?」

「私結婚しないことにしたわ。」


結婚しない。一同は漠然とした。


「すみません。」

そこに来客があった。長身でスーツを身に纏った青年だ。ロングヘアでなかなかの美青年である。

「春子さん、やっぱりここでしたか。」

「あら、もう貴方とは婚約者でも何でもないわ。二度と私の前に現れないで!!」

「春子さん、僕何かしましたか?」


リーズは二人の尋常じゃない様子を見て、席を勧めた。

「春子様、何があったか話してくださるかしら?」

「そうです、一方的に婚約破棄だなんて僕も納得いきません!!」

青年も春子に詰め寄る。


 青年の名はかなめジークフレッド、イギリス人の公爵と日本人の華族令嬢の間に生まれた。父はイギリスで音大を経営している。先日日本に残っている母に婚約の挨拶に言った。母だけでなく祖父母も喜んでくれた。

「それなら宜しいではないですか。」

「マダム、それが良くありませんの。」

「僕に何か問題でもあるのか?」

「いいえ、ジークフレッド様は素晴らしいお方。問題なんてありませんわ。」

「では何が嫌なのだ?」


 問題はかなめの祖父母であった。結婚が決まると同時に明治神宮での挙式を勧めてきた。当然かなめは帝国ホテルで挙げる予定だと行って断った。そしたら祖父が何の相談もなく帝国ホテルでの式はキャンセルし明治神宮での式を決めてしまったのだ。


「春子さん、キャンセルの代金はお祖父様が払ってくれましたし。式が神宮だって僕達が結婚することには変わらないのだからいいじゃないですか。」

「貴方は何も分かっていないわ。私は西洋のドレスを着たかったの。それなら結婚なんてする意味ないわ。大体なんで貴方は私ではなくお祖父様の肩を持つの?理解できないわ!!」

かなめの家系は宮家と親戚で代々式は明治神宮でやっている。お家の伝統ていうべきか。


「私なんかより伝統のが大事なんて。」

春子は今にも泣き出しそうだ。


「あの」

サリーが声をあげる。

「春子様はウェディングドレスで挙式ができれば宜しいのですよね?」

「ええ、そうよ。」


サリーからは誰もが予想しない提案が出される。


「でしたらウェディングドレスを着て明治神宮で挙式するというのはどうでしょうか?」



神社での洋装の挙式。未だかつてない提案だった。


「そんなことできるのでしょうか?」


「分からないわ。でもやれることはやってみましょう。」

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