シンデレラの魔法のドレス
「簡単に諦めていいんですか?」
蘭子の言葉に桜子の中で何かが走った。
「お願い。蘭子ちゃん。今からマダムのところに連れてって。」
少し考えて桜子がお願いする。
「分かりました。行きましょう。」
「ちょっと待って。桜子ちゃん。オーディションはどうするの?」
2人を止めるようにほのかが入る。
「ほのかちゃんお願い。私の順番最後にできるか審査員の先生に掛け合ってもらえる?」
「分かったわ。」
「待って!!」
次に声をあげたのは春子だ。
「蘭子ちゃん、桜子さんうちの車を使って。」
桜子と蘭子と春子の3人はリーズのお店へと向かう。
「春子様どうなさったの?」
リーズが心配そうに3人を見る。春子は先ほどまで一緒にいたが鮎子を連れてオーディションを見に行き今度は蘭子と桜子を連れ戻ってきた。明らかにただ事ではないと思ったのだろう。
「あのマダム、これを」
桜子は破れたドレスを見せる。
「誰がこんなことを?」
「マダム、このドレス修復することはできますか?今日オーディションなんです。」
リーズはドレスを見て難しそうな顔をする。切り刻まれた後は多く薔薇のコサージュも壊れかかっている。修復には時間がかかりそうだ。
「あのマダム。」
中からサリーが現れる。
サリーはカウンターから紙とペンを取り出し絵を描き始める。ドレスのデザイン画だ。
「全く同じ物は難しくても違うデザインにリメイクするというのはどうでしょうか?」
一同はサリーの描いたデザイン画に目を通す。
「これ可愛い。」
桜子が口を開く。
「マダム、サリー、このドレスでお願いするわ。」
「分かったわ。サリー始めましょう。」
「ウィ、マダム。」
リーズとサリーがドレスを持って奥へ向かおうとする。
「待って。これも。」
桜子がリーズに渡したのは母の形見のリボンだった。
待っている間桜子はどこかソワソワしていた。
「桜子さん、気持ちは分かりますが落ち着きましょ。ヒロインは希望者が多いのですぐには終わりませんよ。」
「蘭子ちゃんの言う通りよ。何かあれば鮎子さんが連絡してきますから。」
春子と蘭子が桜子に優しい言葉をかける。ドレスは30分ほどで完成した。桜子は試着室に呼ばれ着替えを始める。
試着室から出てきた桜子が着ていたのは全く別のドレスだった。袖は長く腕の部分はフリルで華やいで壊れた薔薇のコサージュは小さくなり胸に縦並びのボタンになっている。スカートの部分はピンクの生地だか正面だけ白のフリルになっている。
「桜子様、これも。」
リーズが桜子の頭に被せる。それはピンクのリボンのカチューシャだった。桜子の母の形見のリボンから作ったのだ。
「お母様もきっと天国で見守っていてくれますわ。」
桜子は姿見で自分の姿を確認する。
「まるで別人ね。シンデレラの魔法にかかったみたいだわ。」
その時お店の電話がなる。
「はいマダムリーズのブティックです。」
サリーが電話に出る。電話は鮎子からだった。オーディションは残り5名だそうだ。
リーズは桜子の手を取る。
「さあ行きましょう。貴女の舞踏会へ」




