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マダムリーズの帝都レフィーユコレクション  作者: 白百合三咲
帝劇の乙女
15/146

乙女達のコンバット

 桜子が稽古場に着くと皆レオタードに着替え各々が自主練をしている。バーレッスンをしたり、発声練習をしたり。桜子もレオタードに白のチュチュという姿

に着替え練習を始める。

「桜子ちゃん」

声をかけてきたのは同期で仲の良いほのかだった。

「ほのかちゃん、お疲れ様。」

「ねえ、今度の演目フランスが舞台よね。オペラ座か何かかしら?」

「分からないわ。」

「オペラ座なら私クリスティーヌ立候補するのに。」

ほのかは劇団一の歌姫で前の公演でもソロをもらったぐらいだ。

 そこに脚本家の先生やプロデューサーが稽古場にやってくる。今日は次の演目が発表されるのだ。

団員一同は先生達の元に集まる。

次の作品はフランス革命の物語。平民として生まれ革命の最中貴族達と関わり、王妃マリーアントワネットの最期を見送った少女ロザリーの話だ。

 ロザリーは靴屋の娘としてパリの下町に生まれた。6人兄弟の一番上。家族を助けるために公爵家のお屋敷でメイドとして働いていた。ある日公爵夫人が王妃様が催す舞踏会に招待され、ロザリーも同伴することになった。初めは貴族を憎んでいたが、舞踏会で王妃の優しい姿を目にし、憎しみが薄れていく。青年貴族との身分違いの恋や革命家に身を投じた親友との別れ等を取り入れた作品にするという。

「配役はオーディションで決める。廊下の掲示板に名簿表を貼っておくので受けたい役の欄に自分の氏名を記入するように。」


その日の午後さっそく掲示板に名簿表が張り出された。桜子はヒロインのロザリーの欄に自分の名前を書き出した。

「桜子ちゃん!!」 

声をかけてきたのは先輩の月子だ。桜子とは年齢は一緒だが15才の頃から所属している桜子の先輩である。

前作のカルメンで桜子が主役を演じるまで月子が万年主役であった。

「桜子ちゃんもヒロインオーディション受けるのね。」

「はい。」

「前回も主役だったし、桜子ちゃん最近頑張ってるよね。」

「ありがとうございます。」

「でもロザリーはカルメンと違って優しくて可愛いくて誰からも愛されるヒロインなのに大丈夫かな?桜子ちゃんは可愛いというより色っぽいから酒場の娼婦のが似合ってると思うよ。」

「あの、月子先輩。」

そこにほのかが入ってくる。

「オーディションは誰が何の役を受けるかは自由だと思います。」

「別に私はいけないなんて言ってないじゃない。じゃあ私は先生に話あるから。」

そう言って月子は去って行った。



 その夜桜子が部屋で台本に目を通しているとほのかが部屋を訪れる。団員はほとんどが寮で暮らしており狭いが個室が与えられてる。稽古がないときは団員同士が交流できるのだ。

「ほのかちゃん、どうしたの?」

「今日のこと心配になっちゃって。」

「ありがとう、私は大丈夫よ。」

「月子先輩桜子ちゃんに主役を取られて焦ってるのよ。あまりいい噂は聞かないから関わらない方がいいわ。」

「ありがとう。ねえ、ほのかちゃんはオーディション何の役にするの?」

「私は歌が歌いたいからマルグリット。」

マルグリットとはロザリーの親友。お屋敷のメイドから歌手に転身し革命のための資金援助をしてるという役だ。

「桜子ちゃん、良かったら今度一緒に練習しましょう。」

「ええ。」

ほのかはそう約束すると桜子の部屋を後にした。

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