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マダムリーズの帝都レフィーユコレクション  作者: 白百合三咲
赤い靴の姉妹
103/146

男装のバイオリニスト

 ここは札幌。

そのはは6才の少女。新聞記者の父と母と二人の姉と暮らしていた。キリスト教だった父に伴い日曜日は家族で教会に行くのが日課だ。

 昨年まではお留守番だったが今年から尋常小学校に上がったのでそのはも一緒に通うことになった。

「さあ、できたわよ。」

そのはは母に黒いワンピースを着せてもらう。普段は着物だが教会に行く時だけは黒の洋装なのだ。大人っぽいワンピースを着るとお姉さんになったような気持ちになれる。

「そのは、行くよ。」

そのはは下の姉と手を繋いで丘の上の教会へと向かう。




 教会には日本人の神父さんの他にアメリカから来た宣教師がいた。ヒュエットさんといって、そのは逹が教会に行く度お菓子をくれる。

 そのはを始めとする子供逹は神父様の話を聞いたり、讃美歌を歌ったり、絵本を読んでもらって過ごす。

 教会は高台にあり、ラベンダー畑が広がっていた。そのはのお気に入りの場所だ。

(誰かいるの?)

 ラベンダー畑からバイオリンの音色が聞こえてきた。そのはは音色に導かれながらラベンダー畑を歩いていく。美しい音色の主を探すために。

 そのはテラスの前で立ち止まる。スーツ姿の人物がバイオリンを奏でていた。

「こんにちは。」

その人物はそのはに気付きバイオリンを弾く手を止める。

「こんにちは、今お姉さんが弾いてたの?、あっえっとお兄さん?」

「はは、こんな格好だから戸惑うよね。お姉さんだよ。メアリー・ヒュエット。初めまして。」

「ヒュエットって宣教師の人と同じ名前だ。」

メアリーはヒュエットさんの娘だ。しかし疑問がある。ヒュエット氏はアメリカ人のはずだ。しかし目の前にいるメアリーは長い黒髪を1つに縛った華奢な日本人だ。

「驚くよね。私養女なんだ。」

メアリーはヒュエット家の本当の娘ではない。ヒュエット家には子供がいなかった。女の子がほしかったヒュエット夫人はメアリーを養女にしたのだ。

「じゃあ日本人の名前はなんて言うの?」

「日本の名前はね」

メアリーが自分の本名を告げようとした時

「そのは、探したよ。こんなところにいたのね。」

「みつはお姉ちゃん」

下の姉みつはが迎えに来た。

「さあ、お迎えが来たよ。お帰り。」

「まだメアリーちゃんとお話したい。」

「来週また会えるから。またお話しよう。」

そのはメアリーに見送られるとみつはと手を繋いで帰っていく。

「待って。」

メアリーが呼び止めるがそのはとみつは走り去っていく。

「あの娘の名前聞いとけば良かったな。まあ、いいか。また来週会えるから。」

メアリーは再びバイオリンを弾きはじめる。

 

花園って楽器や舞をする麗人と遭遇する率高いのでしょうか?

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