旦那ちゃんと嫁ちゃん~髪結われないバリカンでやられる亭主~
髪の毛、刈らせろ~。
寒さ増すこの季節。
出来るなら髪は伸ばすに限る。
普通にバランスよく伸びるなら・・・だ。
「旦那ちゃん」
「なんだい嫁ちゃん」
「髪がアラーキーだよ」
「ん?なんて」
「だから、南部さん(電〇ネットワーク)だよ」
「誰が?」
「あーたよ、横モジャ、あなた・・・アンタ」
「アンタ~その言い方」
「もーいいから、髪切ろうよ、ツルツルに」
「・・・いやだ、寒いもん」
「みっともなか、サイドがぽよぼよ。みすぼらしか」
「これがよかとよ」
「どこが・・・ゲーハー」
「ゲーハーじゃない。髪はある」
「ははは、どこが」
「サイドに」
「・・・真ん中は」
「・・・あー、俺、江戸時代に生まれとけばなあ」
「・・・なんで」
「ほら、真ん中剃っているやろ・・・俺、サイドと後ろがあるから、いけるやん」
「そもそも、毛量が足らんと思うけど」
「・・・・・・」
「旦那ちゃんはツルツルが似合う」
「・・・まあね」
なんてやり取りの内、旦那ちゃんは嫁ちゃんのバリカンの餌食となる。
勿論、アダプタはつけず、最薄でじょりじょり、うぃーん。
「ごわごわのじょり毛、まとわりつく。あーしからしか」
「悪かったな」
「はい、下向いて」
「はい」
「よーし、ツルツルテカテカのエロおやぢになった」
嫁ちゃんは旦那ちゃんの頭をぽんと叩く。
「エロい?」
「うん、エロい」
「絶倫に見える?」
「見える、見える、でもホントは全然ダメ〇ンなんだけどねー、ははは」
「なんだとう」
またしても一本とられた形となってしまった旦那ちゃん。
新しい年になっても、嫁ちゃんの王座は揺るがないのか。
いや、旦那ちゃん、何度でも立ち上がれ、勇敢なチャレンジャーはいつか必ず報われる日が来る。
「You King of Kings」
そう呼ばれる日まで・・・風呂場に行く旦那ちゃんの鼻歌が聴こえる。
「♪掴みかけた~♪」
つるりんぱっ。