第71話「鋭敏な発達器官により知覚される兎の耳は敏感だった」
第二中級ダンジョンで生まれたイレギュラーな存在は魔物たちを恐れさせた。
あの人間は普通じゃない。強すぎる。容赦がない。我々の敵だと記憶するものもいる。
兎たちが進化した闘兎族たちも今は会議を行っている。
「どうするんだ……勝てるのかあの人間に」
「仕方ないよ、普通に強すぎる……もう無理だ餌が欲しい」
「餌なら食っただろ人参というご馳走を外で取ってきたよ。もうバッタを捕まえるのはこりごりだ」
「まだトマトとかリンゴとかのほうが美味しいよ虫は嫌いだ」
そう言い放つのはトウウサギ族の若い雌の兎人だ。
顔つきはまだ兎のように白くて兎のようになっている。
だがこの中で人間に進化を近づけているものもいる。
「私がその人間にカマをかけてみる……もしかしたら倒せるかも」
そう答えるのがリョランだ。闘兎族では一番人間に近い容姿をしている。
彼女は獰猛な性格でなく理性的だ。趣味もある。人間世界の映画を見ることだ。
こっそり侵入した映画館でこっそり外国の洋画を見てSFだったスペースオペラだろうかを見て感動したようだ。
大隗作【ギガラマド】という怪獣映画も彼女の好奇心を刺激させた。
人間はこのようなスペクタルな造り物を創れるなんてなんとまあ用心深い。
実際にこのような巨大な怪獣が出ることを想定しているなんて人間は想像力豊かかつ道義的に侵入者を討つ正義心に心打たれているようだ。
それからそれからリョランは一人で外に出るようになった。
だが異常なる人間どもが変装をしていても自分のことを嗅ぎつけてくる。
兎さんだという幼女の声。
なぜにばれているのか疑問だった。偽装の魔法を使用しているのだが……偽造が足りないのか?
そしてさらに偽装する。
だがめんどくさい人物に目をつけられた。
「み~~~つけた! 兎さんだ!! ~~~~わーいこんなところ可愛い兎さんがいるよ~~~? っど~~~しようペットにしちゃう?」
私は脱兎の勢いで逃げ出した。気配でわかる。異常すぎるほどに高いマナだ。普通の人間ではない。たぶん探索者だろう。
なんか魔法少女みたいな恰好をしているが……なんだろうそういうのが流行っているのか人間界は?
魔法少女のコスプレを行うのはミントと名乗る少女だった。
巷で起きている不可能犯罪や暴走行為などを独自に取り締まっていることに快感を受けた探索者だ。彼女はヒーローに憧れていた。
ワンダーマンに憧れている。ワンダーマンはもともと妄想の犬仮面と呼ばれていたが、のちにワンダーマンに改名されていた。みながそう呼んでいたのが始まりで物凄い強さだ。
日本で日夜ダンジョンが発生して増加する一方で無法探索者たちが犯罪や心がモンスターのように病んで人を殺す事件が後を絶たない。
さらにダンジョン産アイテムの違法売買で力をつける犯罪者たちもいる。
そんな奴らをのさばらさないようにミントは動いていた。
「あはっ! さ~~~てと悪い子はどこですかね? さっさと成敗しちゃいますか……ぶち殺してあげる」
魔法少女ミントは正義を執行するようだ。
ブクマ、評価をお願いします。執筆頑張りますので。