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第13話「楓と俺との死闘」



 死闘。ボス戦が強い敵を倒すのが俺の使命。


 ミニチュアダンジョン(連歌成安)というSSRのダンジョンカードが出た。


 そのダンジョンに今挑戦しているところだ。


 スライムの楓が入れば心強い。


 こいつはまだというか言葉を理解している感じだが、少しだけまだ赤ん坊だ。


「きゅあきゅくるるるるるるるきゅぴろぺろぱらんっ??」


「そうだな楓は偉い奴だな」


「きゅぴらしゅぺろろろろろろろかりゃにゃふゅらりるーーるぽらんぽと?」


 とまあ楓は不思議な奴だ。


 俺の肩に乗っていつもふわふわしている。


 それでも俺は楓が好きだ。


 この相棒の俺のスライムは世界最強のレベルまで育てたい。


 無敵の力を備えたい。時間が許す限りそのままでいて欲しいが、それでも俺は力をつけたい。


 無限の柵に檻の中にいる自分がいる。その中でも俺は羽ばたける不死鳥として世界を優雅に渉りたい。


 世界にはまだ見ぬダンジョンがあるかもしれない。


 いまだに俺の中ではこのガチャで手に入れたミニチュアダンジョンだけだ。


 でも、それでもこの世界を変えるダンジョンがあるのかもしれない。



 ボス部屋の前についた。


 楓と共に準備万端かを確認する。


「楓生けるか?」


「きゅあん!」


「生き続けたいか?」


「きゅきゅきゅん!!」


「ならばこの扉を開こう」


「きゅらむすらもら~!!!」


 俺はボス部屋の扉を開いた。







 黒の残響。全摘術の解放。馬の大群。騎馬の化け物。


 ダークホース。暗黒の屍馬。


 全力で前進してくる屍馬の大群。


 それらの活力が屍とは思えないほどの力強さを感じる。


 暗黒の蹄を踏みしめて、空間の闇を支配している。


 楓はもう前に出ていた。風の刃を生み出した。真空刃を解き放った。屍馬を両断した。


 だが彼らは破壊されながら再生を繰り返して一歩一歩駆ける。


 脈動する屍馬は空を支配する。空を駆けて、天から舞い降りる。


「糞が……どうすればいいんだいったい……」


 俺はこの状況を打破するためにどうすればいいか考えていた。


 昨日一応ガチャで出たギルティナイフを装備している。


 ヘルメットも装備しているし、防具はない。雷帝の靴が装備してあるのでなかなか移動速度は速いが……それでもどうすればいいのかわからない。


 慈愛の指輪も装備しているが……それでも無理なケースもある。


 魔法だ。木属性の魔法が使える俺は。


 紙切れを大量に鞄に詰め込んでいる。


 紙切れを木に変化させるしかない。


 俺は丸めた紙切れを馬が来る方向に投げた。


 沢山添付する。



 大量に撒いた。



 いまだ、紙切れよ木に戻れ!!!






 戦況は一変した。



 屍馬たちは錯乱した。



 そのすきに木属性の魔法で俺は植物の種を持ってきていた。


 品種改良した種を持ってきた土を撒いて植えた。


 原種の植物(オリジンプラント)




 悶え立つ奮い立つ植物の幹。悠然と生える原種の植物は踊り狂うプラントだった。


 うねる様に大蛇のようにそれは屍馬たちを凌駕する。


 だがここで屍馬の王が登場した。



「愚具具具具具具具具グルルルル縷縷縷々ルル餓ああああああああああああああああ阿嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼アあア嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ア嗚呼嗚呼嗚呼ア嗚呼嗚呼ア嗚呼嗚呼嗚呼あ嗚呼ア嗚呼あ嗚呼亜ア嗚呼ア嗚呼ア嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼アあア嗚呼嗚呼ア」


 巨大だ。全長十メートルはあろうであろうその巨大な暗黒の馬は俺を踏みつぶそうと躍起になっていた。


「楓!!!」


「キュモア!? きゅきゅきゅららららららららーーーーーーーーーん!!!」


 楓の必殺の一撃が炸裂する。


 風我楓躁撃フェルガンテリモーラフルフロー!!!!!


 巨大な楓撃が炸裂した。


 驚くべきことにあまりにも巨大な風の一撃だった。


 屍の馬の王が吹き飛ばされる。巨大な屍の馬の王が轟沈した瞬間だった。


『ボス戦クリア。ダークホースキングダムの討伐に成功しました。クリア特典としてただの桂馬の駒を入手した』


 なんだこれ? 将棋の桂馬の駒? これはいったい……


 俺はとりあえず鞄にこれを入れてダンジョンを脱出した。


 世界を渡り歩く世界を作ろうとやっきになっていたのかもしれない。



 本日のガチャ結果。


 一万円×1回。


 SSR スキルカード 水玉の乱


 HPを100減らして発動するスキル。水玉を大量に作り出して波動として拡散する。全方位型水球弾を放つ。大きさは魔力依存で調整が可能。


 なかなかよさそうなスキルだ。


 俺はこのスキルを明日会社の帰りに山で試そうと考えた。


 明日が楽しみだ。


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