サキュバスVSエルフ 仁義なき戦い2(全4)
サキュバスとエルフどちらが優れているか?売り上げ対決をすることに……。
その中で孤立するキャバ嬢が一人…
……が、ちょっと待てよ。
「おいおい、おまえら、勝手に決めるなよ。店長の俺を差し置いて」
「なに? 反対なの? てんちょー」
「見損なったでありんす」
「一方的だな、オイ」
ごほん、と俺は咳払いして、
「勝負? 上等じゃねえの。嬢たちの士気も上がっていいかもしれねえしな。でも、勝負に熱くなりすぎて、お客さんには迷惑はかけるなよ」
「うっ……それはもちろんだし!」
「と、当然でありんす!」
なんで二人とも一瞬言い淀んでんだよ……。
さてはすっかりお客さんのこと忘れてたな……。
しゃーねー。ここは俺も一つ考えてやるか。
「勝負の方法は、当然売上勝負でいいな?」
「あったりめえだし」
「当然でありんす」
「ただし――、二人の勝負じゃない」
『?』
「サキュバス族と、エルフ族――店内の種族グループでの総売上で対決だ」
『!』
すると二人の目つきが変わった。
ま、当然だよな。
何せ二人はただの嬢じゃない。
店内でも種族の代表的立場にいる二人だ。
アンナはサキュバス族のリーダーで、プリシアはエルフ族のリーダー。
「ふーん、考えたじゃん、ヒロ」
とつけ回しのエレナは感心してきた。
「最初は個人の勝負だったのを、あえて種族の勝負にすることで、影響範囲を大きくした。これならサキュバス族とエルフ族全体で、士気が上がる。すなわち売上も倍々式で向上するってわけね。さすがね、店長。お店の売り上げのことしか頭にない」
「勘違いされること言わないでくださいね」
俺は頭をポリポリ掻いて、
「まあマジな話、勝負するのは結構なことだけどさ、接客の質が落ちたらどうするよ。」
「その点は大丈夫なんじゃない? あの子たちも、一応プロなんだから」
それより、問題は――。
とエレナは少し声を小さくして、言った。
「それより、問題は、あの子ね」
エレナが別のテーブルに視線を向けている。俺もそっちに目を向けた。ああ、わかってたさ。あの子のことだな。
ずっと店内で引っかかっていた。重要なピースの一つではあるんだけどな。着地地点が見えなかった。
流れるような金髪で、豊満なバストを持つ美少女。
しかし自信がなさそうに肩身を狭くし、小さくなっている。
まあそれも無理はない。
種族の問題はまだまだ解決されそうにない問題なのだから。
そう、彼女は――。
セリアと同じ、ハーフエルフのクリスだ。
翌日からエルフとサキュバスの威信をかけた戦いが始まる