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抜き打ち検査

桜坂城南学園さくらざかじょうなんがくえん


 僕が今年の春からお世話になることになったこの高校は、県内でも屈指の進学校と評される私立高校である。

 創業の歴史自体は古いらしいが、ここ数年の間に様々な改修が行われたようで、校舎は全体的に綺麗かつ真新しいという印象を受ける。


 そして流石私立高校だとでも言うべきなのだろうか。ここは設備の面においても充実している。

 図書館は僕が在校していたような普通の中学校の図書館の5倍程の大きさはある上に、扱う本のジャンル・数共に圧倒的だ。中には大学で扱うような数学書や物理学の本なども存在し、これは科学部や数学研究部などといった学術系統の文化部がたまに用いるものらしい。


 他にも食堂は広さとメニューの多さ共に申し分ないし、校内に複数個存在する理科室には高そうな器具がふんだんに揃えられているなど、田舎から上京してきた僕には驚くことばかりなのだが、一番驚いたのは体育館。


 この高校、なんと体育館を3つ所持しており、それぞれ第一体育館、第二体育館、第三体育館と名付けられている。体育の授業の際には自分が選んだ種目に応じていずれかの体育館に行くことになっており、僕が最初に体育の授業を受けた時はどの体育館がどこにあるのか分からなくなって、迷子になりかけた。

 入学して一週間程が経過した今でもこれにはなかなか慣れない。都会の高校恐るべしである。


 そんな訳で設備が(少なくとも僕から見れば)凄いこの高校であるが、理科室などの特別教室や体育館がこれだけ充実しているというのもあって、部活動は運動部・文化部共に盛んに活動をしている。


 運動部ではバスケ部・バレー部・サッカー部が特に強豪で、野球部など他の部活動もここ数年で力を伸ばしてきているらしい。

 ちなみに体育館はバスケ部・バレー部・バトミントン部・卓球部が主に使っているらしいが、その中でもバスケ部とバレー部は一つの体育館を丸ごと使って練習を行っているらしく、この二つの部活動に力を入れていることが伺える。


 文化部では科学部が優秀な成績を収めているらしく、その甲斐もあってか桜坂城南学園はSSHスーパーサイエンスハイスクールに指定されている。その他には新聞部、パソコン部などといった定番の部活動が揃っている一方で、国際交流部などといった変わり種も数多く存在し、学校内外様々な場所で活動を行っているようだ。


 以上が高校生活が始まってから色々聞いて回った、僕の部活動に関する情報のまとめである。

 高校デビューするに当たって、部活動選びは慎重に行おうと考えていたので人一倍熱心に調べたつもりだ。

 後はこの部活動の中からどれにするかを選ぶだけなのだが……


「どうしようかなぁ」


 机の上に『部活動の案内』という名前のパンフレットを開いたまま、思わずそう呟いてしまう。

 そんな僕の様子を見てか、隣の席に座っている男が僕に話しかけてくる。


「滅茶苦茶迷ってんなぁ、晋平。」


 身長が2メートル近いその男は、手に持ったおにぎりを口に含みながら僕のパンフレットを覗いてくる。

 彼の名は帆模田玲央。高校生活における、僕に初めてできた友達だ。


「晋平は中学校の時は帰宅部だと聞いていたけど、何か興味のあるスポーツとかないのか?」

「実のところ、運動部はやめておこうかなと思ってるんだよ。」

「へぇ。でもお前、運動音痴って訳じゃなさそうだけどな。この前の体育でのバスケではそこそこ活躍してたし。」


 玲央は隣のクラスではあるものの、体育は決められた複数のクラスが合同して行われる。そして偶然にもお互いにバスケを選んでいた僕たちは体育の時にも一緒に行動することになったのだ。


「僕は素人なりにシュートを決めてただけだよ。というか玲央は凄かったよね。間近でダンク見たの初めてだったよ。」

「あぁ。あんなのは身長があれば誰でもできるぞ。」

「いや、それでも結構跳んでたと思うけど。」


 重ねて言うが玲央の身長は高い。本人曰く196㎝で、3月の時に比べるとさらに背が伸びていたらしい。

 そんな玲央だが単に高身長なだけでなく、端麗な容姿も兼ね備えている。整った顔立ちにマッシュヘアが絶妙に似合っており、男である僕から見ても即座にイケメンだと断定できるほどだ。


 男である僕がイケメンだと認めるのだから、当然女子からの評判も高い。

 現に僕が玲央と一緒にいる時には周りの女子からの視線を強く感じるし、玲央に話しかけてくる女子の数は入学してから一週間経った今でもキリがないほどだ。

 加えて玲央はそれに対して愛想良く対応するものだから、女子達は彼と話していて楽しいと思うことこそあれど、気を悪くするというようなことはないという有様。男子からのウケも良く、早速人気者としての地位を確立し始めている。


 そんな玲央の存在は2、3年生の間でも噂されているらしく、これからもどんどん話しかけられることになる彼の姿が容易に想像できる。


「玲央はイケメンで高身長で運動神経も良くていいなぁ。ちょっとずつ僕にも分けてよ。」


 まさに男として完璧である玲央。


『おそらく彼のような人間は、今後彼女を作ったりして高校生活を謳歌するのだろう。』

 彼と会った人なら誰しもがそう思うだろうし、その事に対して大多数の人は異論を唱えないはずだ。

 実際に一部の男子の間では、『玲央が彼女を作る事はほぼ確定しているから、奴に彼女ができるのがあと何日後になるか賭けをしないか?』などというギャンブルまで行われているらしい。景品は購買に売られているお菓子とのことだ。


 むしろ『彼女』などという小さな枠組みではなくハーレムを築き上げるんじゃなかろうか、という憶測をする一部の輩も居る始末。そんな一部の人からの玲央のあだ名は『ギャルゲーの主人公』『この世界に異世界転生してきた人』『我々非リア充の敵』などといった具合で、恨みや羨望などの感情がこもったパワーワードというラインナップとなっている。


 ……だが、周りの人達が揃いに揃って玲央にこのような評価をする中で、僕は彼らとは真逆、つまり『玲央は絶対に彼女を作らないだろう』と踏んでいた。

 なぜなら____


「俺が格好良いとは、さてはお前俺に惚れたな!?」

「…………」


 嬉しそうに目を輝かせて、こちらの様子を伺ってくる玲央。

 何を隠そうこの男、同性愛者である。男に興味を持ち女の人には興味を持たない、いわゆるホモというやつだ。よって玲央が彼女を作ったり女性達とハーレムを作ったりなどするはずがないのである。


「いやぁ、こうして毎日晋平のクラスに通ったり体育で張り切って格好良い所を見せたりと色々努力した甲斐があったなぁ。これで晋平は俺の彼氏だな。」

「いや、格好良いとは言ったけど惚れてないし……」


 そんな玲央はどうやら僕に一目惚れしたらしく、今こうして僕が狙われているというのが現状だ。

 彼が同性愛者であるということを知っているのは今のところ僕だけであるので、周りの人達が騒いでいるのを見ると『違う!本当は同性愛者なんだあいつは。あいつに僕は狙われているんだ助けてくれ!』と言いたくなる衝動に駆られる。まぁ言わないし、もし言ったとしても信じてもらえないのだろうけど。


「なんだ。しょうが無い、お前を惚れさせるためにまだまだ努力しないとな。」

「いや、そんなことしなくていいから……。はぁ、体育で同じコースになってしまったのが運の尽きか~。」


 僕が冗談交じりにそう呟くと、玲央はふっふっふっと笑って僕に言ってきた。


「本当に俺が『偶然』晋平と同じコースになったと思うか?」

「えっ」


 背中にぞわり、とした感触が走る。

 僕が玲央と同じ体育のコースになったのは偶然などではなく、必然のことだったとでもいうことだろうか?


「ちょっと玲央、それはどういうこと?」

「いやぁ?気にしなくて良いぞ。」


 曖昧に濁す玲央であったが、僕は目の前の男が怖くて怖くて仕方が無かった。もしかしてストーキングでもされているのだろうか。行動するときは周りに人が隠れていないか、確認するべきかもしれない。


「そんなことより晋平、俺がお前にお勧めするって言っていた小説だ。」


 そう言ってブックカバーが掛けられた一冊の本を渡してくる玲央。なんか無理矢理話題を変えられた感じもするが、とりあえず僕は黙ってその本を受け取った。

 玲央は小説を読むのが趣味だ。読む内容は俗に言う「BL小説」であるが、普通のライトノベルや推理小説なんかも沢山読むらしい。


 そんな玲央に僕はおすすめの推理小説を紹介して欲しいと頼んでいた。兼ねてから活字の本を読みたいとは思っていたのだが、どのようなジャンルでどの文庫の本が面白いかなどは全く分かっていなかったので、玲央が小説を読むのが趣味だと知ったときに頼み込んだのだ。


「ありがとう。一週間程で読むつもりだから読み終わったらこちらから返しに行くね。」

「おう。その時は感想とか面白かった所とかを話し合って盛り上がろうぜ。ってもうこんな時間か。」


 時計を見ると針は12時55分を刺していた。13時から5限目の授業なので、隣のクラスから来ている玲央はそろそろ戻らないと授業に出遅れてしまう。


「そういや次の時間の総合の授業って何をするんだろうな?何か聞かされてないか?委員長さん。」

「それが何も聞かされていないんだよね。」


 僕は今、自分のクラスの委員長の立場にある。これについては自らが立候補したのではなく、僕が特待生で入学式の式辞を務めたという理由だけで周りから推薦されたことが要因だ。


 そんな委員長の仕事内容の一つに、総合の時間やHR(ホームルーム)などといった学級活動の際に使用するプリントを職員室まで取りに行くというものがある。そのため今回も職員室に行こうと思っていたのだが、今日に限って担任の岡田三吉おかだみつよし先生から『今日はプリントは取りに来なくてよい』と事前に告げられたのだ。


 不思議に思った僕は5限目はプリントを使わない活動なのかと岡田先生に聞いたのだが、先生は「んー、まぁ、な」と言葉を濁すだけで、活動の内容までは教えてくれなかった。


「一体何をするんだろう……」

「分かんねぇな。まぁ良いか、どうせあと5分ほどしたら分かることだし。じゃあな、晋平。」


 そう言って玲央は席を立つと、クラス内の女子から視線を浴びながら教室を出て行った。

 あいつも同性愛者じゃなければ嬉しがるんだろうなぁ、と考えていると出て行った玲央と入れ違いになる形で、このクラス担任の岡田先生が入ってくる。


「よし、お前らそろそろ席についておけよー。」


 岡田先生はこの学校の先生の中でも割と年を取っている方だと思う。白髪だし顔にも皺が出てるし。

 教科は英語を担当しており、昔は色んな国々を巡っていたらしい。そんな彼の経験に溢れる話は、日本にいる僕たちが体験することがないような様々なことを知ることができるとのことで、もっぱら評判が良い。


「じゃあ委員長、号令を。」


 全員が席に着いたのを確認して、僕が号令をかける。


「今から5時間目の授業を始めます、礼。」


 そうして号令が終わると、岡田先生が話し出す。


「今日の総合の時間はいつもとは違った内容の活動を行う。」


 授業前のかけ声の時も思ったのだが、岡田先生の声は年配のモノとは思えないほどに大きくてよく通る。

 足腰もしっかりとしていて体も良く動くし、年齢の割に若いのだろうなという印象を受ける。


 そんな岡田先生は教室にいる僕たち生徒に向けて、一際大きな声で今日の活動内容を伝えた。


「今から……持ち物検査を行う!」


 そうして訪れる一瞬の静寂。しかし次の瞬間には「え……抜き打ち?」「やだ~困るんですけど~」等とクラス内に喧騒が広がることになった。

 活動内容を濁されていたのは、完全な抜き打ちで検査を行う為だったのか、と納得する。


「先生!」

 一人の男子生徒が挙手を行い、先生に質問をする。


「なんだ、言ってみろ。」

「携帯電話はアウトですか!」

「校則で禁止されているからな。流石に居残りとかは無くて、今回は警告が入るだけだ。ただ次持ってきていたら3日間没収とかだな。」


 この発言を受けてクラス内のほとんどの生徒は肩を下ろして「え~……」とため息交じりの言葉を放つ。

 この様子から察するに、大多数の人が携帯電話を持ってきていて、それを咎められるのが嫌であるようだ。そんな生徒達の様子を見た先生も、ため息をついて話し始める。


「わしとしては授業中に使わなければ問題ないとは思うんだがな……。まぁ校則だから仕方ない。今日持ってきている奴は次見つかると没収になってしまうから気をつけるんだぞ。」


 その言葉を聞いて顔を明るくするクラスの生徒達。先生に向ける視線はまるで救世主を見るようなものだった。

 ちなみに僕は携帯電話を持ってきていない。というより持ってこようとして忘れたのだ。僕はなんてラッキーなんだろうと幸せな気分になる。


「さて、荷物検査についてだが……今回は委員長の佐藤と副委員長の渡辺にお願いしてもらう。こういうのは本来風紀委員の仕事だが、風紀委員が2人とも風邪で休みだからな。よろしく頼むぞ。」


 そう言ってパイプ椅子に座り込む岡田先生。クラスの役員決めの時もそうだったけど、この先生は僕たち委員長・副委員長を便利な道具として扱ってる気がする……。困ったときは毎回行事の進行を任されるし。


 そういえば風紀委員長の2人の内、片方は先週の金曜日にマスクを着けていた。恐らく風邪気味だったのだろう。あの2人はよく一緒に行動していたから、それがもう片方にうつってしまったのかもしれない。

 などと考えながら教壇に立つと、副委員長である渡辺千佳わたなべちかさんも僕の横に立った。


「佐藤君、がんばろうね!」


 そう言って明るい笑顔をこちらに向けてくる渡辺さん。その拍子に彼女のポニーテールがふわりと揺れる。

 渡辺さんとは委員長・副委員長という関係だからか、話す機会はとても多い。こちらから話しかけることもあるが、基本的には向こうから話しかけてくれるタイプの人で、明るくサバサバとした性格の持ち主だ。


「うん!とりあえず男子の荷物は僕が、女子の荷物は渡辺さんが行うってことでいい?」

「りょーかい!」


 渡辺さんは元気よく返事をすると、すぐに女子を教室の右半分に集めて、荷物検査に取りかかろうとしている。そのおかげでこちらも男子をスムーズに教室の左半分に集めることができた。

 こういう活動において、渡辺さんみたいな行動力と明るさを兼ね備えている活発な人がパートナーだと本当に心強い。


 そうして始まった抜き打ち検査であったが、意外とすんなり進行した。

 ほとんどの人が携帯電話を持ってきているのが明らかであったので、検査を行う前に、携帯を持ってきている人には挙手を行ってもらったのだ。

 最初に先生が携帯電話の所持に寛容な態度を示していたことが大きく、クラスの生徒は皆正直に答えてくれたようであった。


 結果として40人ほどいるクラスの中で携帯電話を持ってきていない人は、僕と渡辺さんを除いて3人だった。よってこの3人を除いた人全員の名簿にチェックを入れた上で、後は他に問題のある物を持ってきていないか、携帯電話のことで嘘は言ってないだろうか、ということを全員の鞄の中身をちらっと見ながら確認していくだけで済んだのだ。


 最初は1人1人の鞄の中を丁寧に見て携帯電話の所持の有無を確認していく大変な作業だと思っていたばかりに、思ったよりも簡単に終わった時は少し拍子抜けしてしまった。

 僕と渡辺さん以外の皆は今、元の席に着席している。


「後は私達の持ち物を確認して終わりだね。」

 渡辺さんが言う。


「いや、ご苦労だった。君たち2人の持ち物検査はわしがやろう。これくらいは仕事をしないとわしがこの授業に居る理由がなくなってしまうからな。」


 そう言ってわっはっはと笑う岡田先生。

 自覚はあったんですね……と突っ込みを入れたいのを我慢しながら、渡辺さんに続いて鞄の中身を見せる。


「うむ、渡辺のも佐藤のも特に問題はなさそう……む?これはなんだ佐藤。」


 そう言って取り出したのは、昼休みに玲央が僕に貸してくれた本であった。


「昼休みに隣の友達から借りた推理小説です。こういうのに少し興味があって。」

「ほう!推理小説は良いぞ。事件を解き明かしていく上で探偵がどのように事件を解決するのか、心理描写を交えて展開されているのか読み取るのは楽しい。どれどれ……」


 そう言って先生は少しだけブックカバーを外して、他の人に見られないように配慮しながらタイトル名だけチラ見する。


(そういえば僕はまだ小説のタイトルも教えられて無かったんだよな。僕もあとで表紙を見ておこう。)


 そう考えながら先生の様子を伺う。先生はタイトルを見た後すぐに、ブックカバーを本に装着させて本を僕に返してくる。だがその表情は複雑そうなものであった。


 一体どんなタイトルだったんだろうと思いながらその本を受け取ろうとしたその時、先生から耳元で本当に小さな、周りの人には絶対に聞こえない声で僕に話しかけてきた。


「お前、放課後職員室に来い……!」


 その声は周りに聞こえない、微少の音量であったにもかかわらず凄まじい威圧感が込められていた。

 だが、なぜ職員室に来いと威圧されねばならないのか。

 僕は不思議に思いながら席に自分の席に戻って、ふとその小説のタイトルを見るべくブックカバーを少しだけ外して中身を見る。


 タイトル:『ショタっ子メイドとドS男爵のB♂yslove 2』


 とても推理小説とは思えないタイトル名。というか僕はこの本の名前と同じ本を見たことがあった。

 玲央が同性愛者であるということがバレた原因となった、あのR18のBL小説である。


 R18の、BL小説である。




 R18の!!!BL小説である!!!!!!


(なにやってんだぁぁぁ!!玲央ぉぉぉぉ!!)


 思わず心の中で叫んでしまう。


 つまりなんだ……?僕が先生に放課後呼び出されるのは、僕がR18のBL小説を持っていたからということか?

 先生が複雑そうな顔をしていたのは僕が同性愛者だと思われているからということか?

 ははは、冗談きついや。僕は同性愛者なんかじゃねぇ。


 思わず心の中で口調が荒くなるが、一応他の生徒には見られていないらしいのでそこだけは本当に良かった。見られてたら言い訳のしようもなかったし。


 それにしても一体何故玲央は僕にこんな小説を渡してきていたのだろうか?

 もしかして玲央はこの本は推理小説だ、などと言い張るつもりなのだろうか?だとしたら彼とは縁を切らせて貰わねばならない。申し訳ないがあまりにもクレイジーな思考回路の友達は僕の手には余るのでね。


 実際のところ、どういう理由で僕にこの小説が渡されたのかは不明だ。

 どんな理由でこうなったのか分からないから、僕は心の中でこの一言を言わずにはいられなかった。


(どうして、こうなった……)

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