高校生活初日
ここから本格的に学校での生活の話が始まっていきます。
「疲れた……」
初日の放課後、自分の机で一息をつく。今日は激動の一日であった。
自分が通うことになったこの「桜坂城南学園」は私立高校であり、僕はこの高校に「特待生」という枠組みで入学することとなった。
そこで特待生を代表して入学式の式辞を行ってくれないだろうか、と校長先生に頼まれそれに承諾したのがつい1週間前のこと。
そして今日入学式の式辞を無事にこなしたというわけである。
まぁ周りへの良いアピールになったことだし、これはまだ良い。
その後教室に戻り、各々が自己紹介をする時間が終わった後のクラスの役員を決める時間が問題だった。
結論から言うと、自分が式辞を読んでいたという理由だけですぐに自分がクラスの委員長となることが確定した。
さらに図書委員や体育委員などといった係りを決める活動の進行役も任されたのだ。
担任の岡田三吉先生曰く「これも良い経験になるから」とのことであったが、その後小声で「まぁそれにこういうのやるの面倒だし……」と呟いていたのが聞こえたので単に面倒事を押しつけられただけである。ちくしょう。
とりあえず副委員長を先に決めることに。
これが一番時間がかかるかなと思っていたのだが、意外なことにすぐに手が挙がり決定。
手を上げた人は渡辺知美という名の女子。
彼女があまりにもすぐに手を挙げたので「本当は委員長になりたかったんじゃないの?」と聞いたのだが、「副委員長で良いです!」とやたらと元気の良い回答が返ってきた。謎である。
こういったクラスの行事のまとめ役などしたことがなかったので最初は緊張した。
とはいえここでしっかりしないと委員長失格の印象を与えてしまう。高校デビューをする上で最初の印象は大事なのだ。
そこでまずは段取りを丁寧に、ハキハキと伝えることを意識。
どうやら僕の説明がきちんと伝わってくれたようで、皆すぐに指示に従って行動をしてくれた。
副委員長の渡辺さんの手助けがあったのも大きく、比較的にスムーズに係り決めを進行することができた。
で、その後放課後に職員室に呼び出されて、委員長の仕事の内容の説明を受ける。
一通りの内容を理解した後は今日決めた係りの一覧をポスター形式にして教室の後ろの壁に画鋲でつける、というところまでが今日の自分の仕事であった。
そういったことがあって今に至る。
「さすがに皆は帰ってるかぁ」
ポスター作りで思ったより時間を食ってしまったので、もう教室に残っている人はいなかった。
まぁ昼食の時に何人かと話して実際に携帯の連絡先などの交換も行っているし、また明日話す機会を見つければ良いかと考えつつ鞄を手に取り帰る準備をする。
その時教室の扉が開く。
最初は「先生かな?」と思っていたが、何やら別のクラスの男子生徒のようである。
「どうしたの?誰か探してたりとか?」
その問いに対して目の前の男子生徒は答えた。
「君を探していたんだよ」
そう言って、にこりとやさしい笑顔を浮かべる。
だがその優しい笑顔とは別に、目の前の男の身長は2メートル近くあるのであった。