プロローグ
初めまして!
嵐もどきといいます。
まだまだ拙い文章で、話しの展開の仕方などで違和感を覚えるところもあるかとは思いますが、ご愛読頂けると幸いです。
また、これを書いている作者は今回が初の投稿となるので左も右も分からない状態です。
ご意見ご感想などがありましたら、遠慮無くコメントしてください
「今日からこの僕、佐藤晋平も高校生だ」
自分に言い聞かせるようにして呟きながら、学校に向けて坂道を歩いて行く。
現在時刻は7時半前。この調子なら学校初日から遅刻するということはまずないだろう。むしろ少し早く家を出てしまったかもしれないと感じていた。
用心して家を早く出た理由は、まさに今僕が登っている、寮から学校への道のりの3分の2以上を占めるこの坂道のせいである。決して勾配がきついとかそういう訳ではないのだが、自分が住んでいる寮から学校までの距離がなかなかあるのがくせ者だ。
『夏になると、この坂道のせいで授業前に良い汗をかくことになるのだろうな』と考えるとまぁやりきれない気持ちにもなる。同じ学校の生徒達は皆苦労するのだろうなぁなどと考えていたが、先ほどから学校の方向に向かって走って行くバスを見るたびに、こうして歩いている自分に対してむなしさを覚えるのであった。
そんなことを考えているうちに、僕は坂道を登り切る直前の所までたどり着いていた。
寮の管理人さんによると、そのまま道を進んでいけば高校に着くはずだ。
それからまたしばらく道を歩く。道の端には桜の木が植えられており、その花を存分に咲き誇らせていた
事前に管理人さんから「佐藤君、通学路にある桜の木、今とても綺麗に咲いてるのよ」と聞いていたとおり、とても綺麗な光景だ。
満開に咲き誇る桜の光景を見ながら歩いていると、気がつけば目の前には「桜坂城南学園」の4文字が。
あっという間に校門の前にたどり着いていた。
学校の敷地内に入る前に、一度深呼吸を行う。
校舎を目の前にして少し緊張しているのだが、両方の手のひらで自分の左右の頬を同時に叩くようにして気合いを入れ直した。
「あれから必死に努力したんだ、大丈夫だ。」
そう自分に言い聞かせるようにして呟く。
それと同時に蘇る中学時代の記憶。好きだった女の子と、同級生から言われた言葉を思い出してしまう。
『だって佐藤君は普通の人だから。』
中学二年生の時に、意を決して僕は同級生の天草さんに告白をした。中学一年生の時からお互いによく話していたし趣味も一致することが多く、想いを募らせて僕から告白をした。結果はこの言葉の通り、こちらの一人相撲で向こうはハナから全く眼中にもなかったみたいだけれど。
天草さんは容姿端麗で成績も優秀とまさに高嶺の花のような存在で、それだけに僕みたいな普通の人間が告白したことについては周りから散々馬鹿にされた。
『お前みたいな容姿も成績も運動神経も普通の奴が天草さんに告白しても見向きもされねぇってことくらい猿でも分かるだろ、馬鹿か』とクラスの中心的人物から言われたときに、僕は何も言い返せないことに悔しさで胸がいっぱいになったっけ。
そんなことを思い出しながら、もう一度深呼吸を行う。
……もう容姿が普通だと言われるのは嫌だ。成績も、運動神経も普通と言われるのは嫌だ。
『何もかも普通の奴』と言われて、あんな辛い目に遭わされるのは、まっぴらごめんだ。
だから僕は変わった。必死になって勉強して、必死になって体を鍛えて。
ファッションのことなど色々学んだりもした。今の容姿も校則違反にならない程度にはまとめている。
やるべきことはやった。後は行動に移すだけ。
一歩を、踏み出すだけ。
----『僕は、高校デビューを果たす』----
揺るがぬ信念を胸に秘めて、一歩前に前進する。
もう、緊張はしていなかった。
……後に「どうしてこうなってしまったのだろうか」と頭を抱えることになることを、この時の僕はまだ知る由もないのであった。