調合してみました
スマホからの投稿です。
ブクマ有難う御座います。
本日2話目です。
18/7/19改稿
主人公の名前を少し変更
門限のギリギリで、王都へと帰還を果たしたギンジ。
すぐさま依頼達成の報告に組合に向かうーーー事はせず、宿へと向かった。
理由は言わずもがな、人の量だ。
組合建物内は、登録を行った時間帯は空いていた、と言うかむしろ誰もいなかったのだが、朝と夜は流石に組合員で溢れかえっているだろう。
朝は依頼を受注する人で、夜は報告する人で。
その事はギンジにも容易に想像がついたので、報告は明日の朝遅めでも構わないと思ったのだ。
翌朝、目を覚ますと身支度を整えすぐに宿をでる。
宿は食事別の料金だった為、わざわざ宿の食堂で摂る必要も無い。
それよりも、人が多くなる前に行動を始めたかった。
先ずは”収納”を使えずに、泣く泣く生家に置いてこざるを得なかった生活必需品の購入から。
王都の中では、まだ早朝という時間で有るにも関わらず、既に活動を始めてる人がちらほら見える。
これくらいならば無理をせず歩き回れる為、ギンジの考えは正解だったのだろう。
やや急ぎ目に、開いてる店を見て回り必要な物を買い揃える。
そうこうしてるうちに日も少し高くなり、王都内は徐々に人の数が増えてきた。
「…そろそろキツイかな」
これ以上人が増えると、また昨日の様に酔ってしまうかもしれない。
そう判断し、組合の方へと向かって行く。
朝食は、途中にあった露店で済ませた。
ーーーーー
組合建物内には疎らに人がいたが、酔うほどでは無かった。
早速アンナを呼び出し依頼達成の報告をする。
薬草として引き取って貰えた物は”軟膏”に使える物だけだった、もう1つの”薬液”に使える物は”雑草”と判断され”解熱”に使える物と”毒消し”に使える物は”毒草”の採取として依頼達成になった。
確かに毒性のある物だから半分は納得したものの、雑草と言われて引き取って貰えなかったものには少し疑問が残るギンジ。
しかし、それをわざわざ問い正すような真似はしない。
と言うか、出来ない。
それは昨日にも増して、アンナのテンションが高いせいだった。
これから頑張っていきましょう!だの、ギンジさんは素の能力値が高いんだからすぐに技能スキルが発現しますよ!などと身を乗り出して言うものだから、ギンジとしては若干引く。
そもそも、その辺は個人情報なんだから大声で言う事じゃ無いんじゃ…等とも思うけど、それを突っ込ませてくれない勢いがアンナにはあった。
仕方が無いので「そうだな」等と軽く流し、報酬を貰ってさっさと組合建物から出る事にした。
その足で王都の外へと向かう、今日も昨日に引き続き薬草採取だ。
ーーーーー
昨日と同じ森の入り口付近、どうやらこのあたりは群生地になっているのだろう、ギンジが識別出来るだけでも大量の”薬草”が生えている。
もっとも、その殆どが組合で”雑草”と言われた物では有るが。
昼食も摂らずに無心で採取作業に勤しんだギンジ、そろそろ日も暮れようかという所で”能力”に異変があった。
『スキル【採取】がレベルⅤになりました、派生スキル【調合】を取得します』
「ん?今なんか…」
不意に脳裏に浮かんだ言葉に、ギンジの動きが止まる。
気のせいかと思い再び採取に戻ろうとして、やはり手が止まる。
一度気になりだすと作業に集中出来そうに無い、念のため…とギンジは自分の”能力”を確認した。
「能力値は変化なし、か。スキルは…【調合】?何か1つ増えてるな」
ギンジが確認した”能力”の汎用スキル欄、そこに新たな文字が追加されていた。
「【調合】って事は、調合作業に補正か?…ちょっと試してみるか」
そういって”収納”から、今朝購入したばかりのすり鉢とすりこ木を取り出した。
”軟膏”になる薬草をすり鉢に放り込み、上から軽く叩く様にして繊維を潰していく。
その後”飲水”を使い、微量ずつ水気を含ませ力強く擦り潰す。
完全に固形物が無くなるまで混ぜたら、今度はすり鉢を”着火”で炙り、水気をとばしながら混ぜる。
粘り気が出てきた所で火を止め、自然に冷えるまで根気よく練る。
ギンジの手が痛くなって来たところでようやく完成、擦り傷切り傷火傷の治療なんでもござれの”軟膏”の出来上がりだ。
その出来上がった物を、調合に使った薬草と同じ葉で包んで保存する。
こうしておくと、薬効が水分と一緒に揮発するのを防ぐ事が出来ると母に教わった。
「まぁ、作り方自体は知ってたからどこまでが補正されていたかは分からなかったな。量も普通だし、まぁ普通に考えたら品質が良くなってるとかか?」
一度の調合で、大人一人なら全身に塗れる位の量が出来上り、残りの薬草は買い取りして貰うつもりなのでここでの調合は終わりにしておく。
調合に使った道具類を”浄化”できれいにして、作ったばかりの”軟膏”と共に”収納”にしまい込む。
そして、日が暮れ始めたのを確認したギンジは、丁度良い時間だと、今日の採取を終了する事にして王都への帰路についた。
その晩、どうせ買い取り不能なのだからと”薬液”に使える薬草全て、宿の部屋で煮出す作業を夜遅くまでしてしまった。
そのせいで、独特なツンと鼻を刺すような刺激臭が宿中に広がってしまい、店主から怒鳴られてしまったのは余談である。
設定について軽く説明をさせていただきます。
スキルの派生については、この物語の世界では割りと一般常識です。
ギンは知らないですが。
【武術Ⅴ】→【体術Ⅰ】や【魔術Ⅴ】→【癒術Ⅰ】や【農術Ⅴ】→【畜術Ⅰ】など結構頻繁に出るので。
【採取】は”祝福”によって発現しないスキルで、みんな自力で獲得していました。
汎用スキルはそこまで取得条件が厳しくなく、大体1ヶ月もそのスキルに殉じた経験を行えば簡単に発動します。
ただしレベルを一つ上げる為の経験値は、倍々に増えて行きます。
Ⅰ→1ヶ月
Ⅱ→2ヶ月
Ⅲ→4ヶ月
Ⅳ→8ヶ月
Ⅴ→1年4ヶ月
Ⅵ→2年8ヶ月
Ⅶ→5年4ヶ月
Ⅷ→10年8ヶ月
Ⅸ→21年4ヶ月
Ⅹ→42年8ヶ月
と言った具合なので、レベルⅢ〜Ⅳ位が普通の人の最高値です。
これは、大体活動している8時間を1日とみなしての計算なので24時間頑張れば1/3に短縮する事も出来ます。
まぁ、そんな無茶をすれば普通に死んでしまいますが。
元々”祝福”で得たスキルが有るのに、汎用を育てる意味も薄いとの判断で、Ⅱ位の人が殆どです。
なのでよっぽどの外れスキルを得ない限り【採取Ⅴ】まで育て【調合Ⅰ】に派生させる人はいません。
例を挙げれば、商人の息子が【農術】を授かって活かしきれず【採取】→【調合】を覚えて【算術】を得た娘を嫁に貰うとかですかね?
夫婦で薬屋とかを始めれば、それなりに儲かるんじゃ無いでしょうか。
まぁ【調合】を得ただけじゃどうにもならないんですけども。
その辺りは次話で説明します。