採取してみました
スマホからの投稿です
遅くなりました
ブクマありがとうございます
評価有難う御座います
18/7/19改稿
主人公の名前を少し変更
「おいおい、どういう事だ?」
「期待の新成人じゃ無かったの?」
ギンジが去った後、組合建物内で職員達がアンナに詰め寄る。
「…私にもさっぱり」
話が違うじゃねえか、等と言われてもアンナとしても信じられない出来事だったので返事のしようがない。
というか、言われても困る。
「まぁ、ともかく。あてが外れて残念だったな?」
この職員が言う”あてが外れた”と言うのは『良スキルを持った新成人に、最初からツバを付けておいて貢献点を稼ごうとしてたんだろう?』と言う意味だ。
それを聞いたアンナは、職員を睨み付けて叫ぶ。
「別に私は、助けて貰った恩を返す為に補助がしやすい専属になっただけよ!そんな下心は…」
無かった、とはハッキリ言えないのが正直な所だ。
アンナが言うとおり、恩を返す為と言うのが一番の理由なのだろう。
しかし、僅かに期待してしまっていた事も事実。
技術スキルを超えて職業スキルまで発現する可能性を持った少年、そんな少年の専属になれば組合に務めてる限り自分の将来は安泰だ…と。
しかし、その程度の成功願望は誰しもが思い描く事。
特別アンナが責められる謂れも無い。
ただ…恩返しの筈が、自分の願望を果たす為でも有ったのだと気付くと、アンナはとたんに自己嫌悪に陥ってしまった。
打算的で狡賢い、汚い女だったのだと自分で自分を責めてしまう。
「うう…」
「おいおい、泣かなくても良いだろう?…分かった、オレが悪かったよ。お前さんはただアイツに恩を返したかったんだよな、邪推してすまん!」
泣き出してしまったアンナに対し、慌てて謝罪をする男性職員。
その後、アンナが泣き止むまでの数分間、男性職員は周りから責められるような視線を受け続ける事となった。
ーーーーー
組合を出たあと、宿を押さえ遅めの昼食を済ませたギンジは、早速と依頼をこなす為に王都の外へと向かう。
時間的に後3時間もすれば門限になってしまうが、薬草の採取ぐらいならばそれまでに帰って来れるだろうと判断してだ。
「薬草採取って、依頼書には特に種類の指定は無いけど。なんでもいいのか?」
王都を囲う外壁から少し離れたあたりで、依頼書を取り出し内容を確認するギンジ。
偏に薬草と言っても、用途に応じて使用する種類が変わってくる。
煮出して”薬液”に出来る物もあれば、すり潰して”軟膏”に出来る物もある。
そのまま噛んで”解熱”に使う物も有れば、特殊な処理をすれば”毒消し”となる物も有る。
それら全てが”薬草”となり得る訳で有るが、この依頼書にはそのような細かい指定は書かれていない。
「まぁ、全部持っていけば良いだけか」
どの薬草を欲しているかは分からないが、全て持っていけば向こうで選り分けてくれるだろう。
ひょっとしたら、全て買い取って貰えるかもしれない。
そう考えたギンジは、目に映る範囲に薬草が存在しない事を確認した後、1時間程歩いた所に有る森へと向かって行った。
ーーーーー
森に到着して30分、門限の時間を考えるとそろそろ帰り支度をしなければならない。
太陽の位置も大分と低くなっており、これ以上遅くなると魔獣が活発に活動を始める時間になるだろう。
しかし、ギンジは採取に夢中になっており、時間の感覚が無くなっているようだった。
「案外【採取】も馬鹿に出来ないもんだ、今までに比べて品質が良い」
夢中なってしまった原因は、先程手に入れたばかりの【採取】スキル。
ここ数年、一人で生きてきたギンジにとって採取行為自体は慣れ親しんだ物であるが、スキルを得る前と後では段違いに薬草の品質が上がっている。
それに。
「この30分で、スキルレベルがもうⅡになっている。祝福で得たスキルは成長が早いって話だけど、ここまでとはな」
祝福で得たスキルは成長が早い。
例えば、1年以上剣を振ってやっと手に入る【武術】スキル、祝福で得る事が出来たのならば次のレベルになるのに半年も掛からないだろう。
地道に得た人間が次に上がるのが2年後だと思えば、その成長速度は段違いだ。
もちろんそれにも個人差があって、祝福を得ても修練を全くしなければレベルは上がらないし、地道に努力して得た人間には同レベルでも経験値で劣る。
今回の【採取】に関しては、ただの汎用スキルだからと言う事も有るが、ギン自体に採取の心得が有り、1つ1つの採取行動が密度の高い経験として更にスキルの成長を加速させたのである。
もっとも、そんな事にギンジが気付く事は無いが。
結局その後1時間程採取し、スキルレベルをⅢまで上げた所で辺りが暗くなっている事に気づき、慌てて王都まで走って帰る羽目になったのであった。