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14/25

レベルが上がりました。

スマホからの投稿です。

本日2話目になります。


18/7/19改稿

主人公の名前を少し変更

『スキル【夜目】を習得しました』



「っ?!」



不意に聞こえて来た脳内アナウンスに、ギンジは少し身を強張らせてしまう。


薄暗い森の中、周囲を警戒して気を張っていたのだ。

不意打ちを食らってビクついてしまうのは、致し方ないだろう。



「…【夜目】?随分と都合の良いタイミングで発現したな、いくら汎用スキルとは言え早すぎないか?」



汎用スキルを自力習得する為には、1日8時間修練しても約1ヶ月程かかる。

先ほど目を覚ましてから薄暗い森の中を目を凝らしながら進んでいたとは言え、流石にこの短時間で発現するのはどうにもおかしい。



「…自分が経験してるスキルは取得しやすいって言ってたけど、そう言う事か?」



ここ数年の1人暮らしで、狩りを行う時は大概夜だった。

”魔獣”を見つけやすいと言う事も有るが、気配を消して闇に紛れた方が狩りの成功率が上がったからだ。


ギンジは1人納得し、それ以上疑問に思うことを止めた。

…その理屈で言うと、他のスキルも既に発現していないとおかしいと言う事には目を瞑って。



ーーー



少し視界がよくなった事で、ギンジはそのまま真っ直ぐに進む事にした。


幾ら【夜目】を習得したとは言え、昼間程に明るく見える訳でもなく。

”魔獣”と遭遇しない様に辺りを探りながらの歩みは、遅々として中々森から抜け出せない。


『スキル【夜目】がレベルⅡになりました』


また少し明るく見える様になったが、以前遅々として…


『スキル【夜目】がレベルⅢになりました』



「…」



『スキル【夜目】がレベルⅣになりました』



「いや、流石におかしいだろ!!」



慎重に…と考えているギンジも、思わず声を出してツッコミを入れてしまった。

先ほどから、一定時間毎にレベルが上がったとのアナウンスが聞こえてくる。


ギンジが祝福で得たスキル【採取】よりも、レベルが上がる速度が早い。

先ほどまでは目を瞑っていたのだが、流石にこれ以上は放置出来ない。



「いったいどうなってるんだ?!汎用スキルってこんなに早く上がるのが普通なのか?いや【採取】も【調合】もこんなに早く無かった、と言う事は…」



『スキル【夜目】がレベルⅤになりました、派生スキル【観察眼】を習得します』

『スキル【気力感知】を習得しました』

『スキル【魔力感知】を習得しました』


ギンジが思案をしていると、再度脳内アナウンスが聞こえてくる。

しかし、それに気を取られている暇はなかった。



「っ…”魔獣”か?!」



ぞわりとした悪寒を感じ、そちらの方向へと向くと大きな牙を持った猪がそこには居た。



牙猪ファングボアか、厄介な…」



豚頭オークに比べると、数段は落ちる強さの牙猪ファングボア

しかし…成人男性の腰程までの大きさで、牙をこちらに向けて行われる突進はかなりの脅威である。


目標にぶつかるまで止めない突進攻撃、対面してしまったのならば覚悟をしなければならない。

狩るときは木の上に登って姿を隠し、見つかる前に弓矢か何かで狩るのが定石だ。



「今から木に登…らせてはくれないよな、やっぱり」



既に牙猪ファングボアはギンジをロックオンしている、今から木に登ろうと背中を見せたら途端に突進を始めてくるだろう。

ギンジは視線を外さない様にして、ジリジリと後退し背後に木を背負う様に立った。



「ブギーーー!!」

「っ!!」



やがて、にらめっこはここまでだと牙猪ファングボアが突進を始める。

ギンジはそれをギリギリまで引きつけると、斜め前方…牙猪ファングボアの横をすり抜ける様に飛び込んだ。


『スキル【夜目】がレベルⅥになりました』

『スキル【観察眼】がレベルⅡになりました』

『スキル【気力感知】がレベルⅡになりました』

『スキル【魔力感知】がレベルⅡになりました』

『スキル【体術】を習得しました』



バギっ!!


と大きな音が後方で聞こえる、ギンジの背後にあった木に牙猪ファングボアがぶつかった音だろう。

飛び込んだ後、前方に転がりすぐに後ろを振り返る。


すると、木には切れ目が入っているのが見え徐々に倒れていってるところだった。

牙猪ファングボアは…



「ブギー!!」

「おいおい、今のでも無事かよ…」



それなりの木がへし折れてしまうほどの衝撃でぶつかったと言うのに、牙猪ファングボアは避けられた事に対して怒りを顕にするだけでピンピンしている。


すぐさま”収納ストレージ”から、戦槌メイスを取り出す。

すぐさまそれを正眼に構え、こちらに向き直った牙猪ファングボアと相対する。



ーーー



再び突進を始めた牙猪ファングボア、ギンジはそれをサイドステップで横へ躱す。

今度は飛び込むのでは無く、左足を踏み込む様にして半回転した。


その後、ギンジの横を通る牙猪ファングボアに対して勢いよく戦槌メイスを振るう。

踏み込んだ勢いを利用して、牙猪ファングボアの横っ面へ叩き込むことに成功した。


『スキル【夜目】がレベルⅦになりました』

『スキル【観察眼】がレベルⅢになりました』

『スキル【気力感知】がレベルⅢになりました』

『スキル【魔力感知】がレベルⅢになりました』

『スキル【体術】がレベルⅡになりました』

『スキル【武術】を習得しました』


体を数cm浮かせて、少し横へと飛ばされる牙猪ファングボア

正面からの衝撃には強いが、横からの衝撃にはどうやら弱いようだ。



「ブ、ブギ…」



木にぶつかった時と比べ、明らかに弱った様子の牙猪ファングボア

少しだけフラついて頭を振るうと、再度ギンジに向かって突進の姿勢をとる。



「別に狩りに来たわけじゃ無いんだ、大人しく帰ってくれれば追撃はしないぞ」

「ブギー!!」



まぁ、通じる訳無いよな。

と、ギンジも牙猪ファングボアを狩る覚悟を決める。


三度行われた突進を、今度は避ける事をせず正面から戦槌メイスを振るう。

牙猪ファングボアとの正面衝突は、ただの自殺行為でしかない。


そんなことはギンジも充分に理解している、ならば何故。


ギンジが振るった戦槌メイスは、牙猪ファングボアに当たる事は無く僅か手前の地面へと当たった。

衝撃で舞い上がる砂や小石、それらが牙猪ファングボアの顔へと当たり目くらましとなる。


そして突進の速度が緩まったと同時に、戦槌メイスを支点にして上へと飛ぶ。

前方宙返りで牙猪ファングボアを飛び越えると、戦槌メイス牙猪ファングボアの尻へと叩き込む。


『スキル【夜目】がレベルⅧになりました』

『スキル【観察眼】がレベルⅣになりました』

『スキル【気力感知】がレベルⅣになりました』

『スキル【魔力感知】がレベルⅣになりました』

『スキル【体術】がレベルⅢになりました』

『スキル【武術】がレベルⅡになりました』


回転の勢いそのままに叩き込まれた戦槌メイスは、やや下方からすくい上げる様に牙猪ファングボアを襲った。


突進の勢いにプラスして戦槌メイスの衝撃、牙猪ファングボアは前方に勢いよく回転し頭から地面へと叩きつけられた。


ゴキっ!


と言う大きな音が聞こえ、牙猪ファングボアは動かなくなった。

幾ら頭部や首が強いとは言え、自重プラス運動エネルギーの全てには流石に耐えられ無かったようだ。



ーーー



「”浄化クリーン”!”浄化クリーン”!!」



牙猪ファングボアの死体を”収納ストレージ”へと仕舞い、戦槌メイスへこれでもかと”浄化クリーン”をかけるギンジ。


血の跡が…というよりも、牙猪ファングボアの”股間”にクリティカルヒットしてしまった為だ。

命が掛かっている戦闘中に、そんな事を考えてる余裕など無いが…戦闘が終われば気になって仕方が無い。



「…綺麗になったか?」



戦槌メイスを手に持ち隅々まで目視でチェックする、しまいには匂いまで嗅いで確認し始めた。

しばらくして納得したのか、ギンジは一つ頷いて戦槌メイスを”収納ストレージ”へと仕舞った。


そして再び王都へと向かって歩き出し、遂に森を抜ける事ができた。


その時、今夜だけで聞き慣れてしまった声が再度聞こえる。


『スキル【夜目】がレベルⅨになりました』

『スキル【観察眼】がレベルⅤになりました、派生スキル【鑑定】を習得します』

『スキル【気力感知】がレベルⅤになりました、派生スキル【索敵】を習得します』

『スキル【魔力感知】がレベルⅤになりました、派生スキル【索敵】がレベルⅡになりました』

『スキル【体術】がレベルⅣになりました』

『スキル【武術】がレベルⅢになりました』



「………いや、もう戦闘してないから」



幾らなんでもおかしいだろと思うギンジでは有るが、原因が分からない為に頭を抱えるしか無いのであった。

このあたりからご都合主義が多分に含まれて来ると思います、苦手なかたには申し訳ない。

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