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12/25

お礼を貰いました

スマホからの投稿です


ブクマ有難うございます

18/7/19改稿

主人公の名前を少し変更

「それはの…」



事情を説明しようとして、途中で言葉を切るリリィ。

自らのお腹から”くぅ”と、可愛らしい音が聞こえて来たからだ。


表情を変える事は無かったが、色白の肌が薄っすらと赤く染まっていく。



「………っ!」

「ああ、忘れてたな」



傷の回復には体力だけじゃなく、熱量カロリーも消費する。

つまりどういう事かと言うと、もの凄くお腹が空くのだ。


ギンジもそれは理解していて、お腹が鳴るのは当たり前の事だと別に気にもしない。

だがそれを聞かれて恥ずかしいと思ってしまうのは、幼いながらリリィも女性だからということか。



「ちょっと待ってくれ、後少しで出来上がるから」



そう言って、かまどに向き直るギンジ。

その上には鍋が置かれており、何かしらを作っているのが目にとれる。

また”薬液”を作っているのかと思いきや、そこに白っぽい粉と白い液体を順次投入していく。


暫くかき混ぜ、たまに掬って口に入れては白と黒の粉を入れていく。



「…こんなもんか」



そう呟いて”収納ストレージ”から深みの有る皿を取りだし、鍋から掬った液体を注いでいく。

リリィの正面に”ボックス”を出し、その上に皿を置いた。



「良かったら食ってくれ、味もそこそこイケるはずだ」



その皿の隣に”収納ストレージ”から取り出した木匙とパンを2つ置く、どうやらギンジは”シチュー”を作っていたようだ。



「う、うむ。すまない、遠慮なく頂こう」



そう言ってパンを齧り、木匙でシチューを掬って口へと運ぶ。



「ーーーっ!!」



”シチュー”を口に入れた途端、目を見開くリリィ。



「美味い!こんな美味いシチューは初めてじゃ!」



その言葉に薄く笑みを浮かべるギンジ、どうやら気に入って貰えた様だと次に自分の分も注いでいく。

同じ様に”ボックス”を出して皿を置く、シチューの入った鍋は”収納ストレージ”へと仕舞いこんだ。



ーーーーー



食事終えた二人は、食後の”コーヒー”を飲んでいる。



「うむ、これも美味い」

「そうか、それは良かった」



先程作った”シチュー”も、今飲んでいる”コーヒー”も母から教わった物。



『調合も料理も似たようなものよ、素材(食材)を加工(調理)して成分(旨味)を抽出する。そして使用する(食べる)人の為にあれこれ工夫して、少しでも効果を良く(美味しく)するの』



母は良くそう言っていた、そして確かに美味かったと記憶している。



「このコーヒー、単一の豆では無いな?」

「…ああ、自分で”ブレンド”した奴だ」



うむうむと頷きながらコーヒーを呷るリリィ、先程の”回復薬ポーション”と同じ感じだ。



「ギン坊は、中々に優秀な薬師の様じゃな」

「ギン…坊?あ、いや。オレは薬師じゃ無い」



自分よりも年下のリリィに、坊と呼ばれるのは違和感が半端じゃない。

しかしそれを言うよりも先に、リリィの勘違いを解いて置かなければと判断した。


リリィはジッとギンジを見つめ、首を傾げて言う。



「どう見ても薬師じゃろ?所持スキル…じゃ無くて、これだけの調合の腕があるんじゃし」

「全て母から教わった物で、別に本職という訳じゃ無い」

「ふむ、そうなのか?勿体無いの、ギン坊の薬なら飛ぶように売れそうじゃが」



かなり持ち上げてくるリリィの言葉に軽く苦笑いを浮かべ、無言で首を振るギンジ。



「所で、さっきの続きだが。一体何があったんだ?」

「おお、そうじゃった!…いやなに、ちょっとしたヘマをうっての。這う這うの体で逃げて来たんじゃが、豚頭オークと遭遇して…」



どうやら、傷自体は豚頭オークに襲われる前の物だったようだ。

そう言えば擦過傷はともかく、鈍器しか持ってない豚頭オークに襲われて切創が出来る筈もない。



豚頭オーク如き、我の敵では無い。焼豚にでもしてやろうと思ったんじゃが、狙いを外してしまっての。そのまま逃してしまった所で、意識が飛んでしもうた」

「ってことは、あの豚頭オークはリリィが…」



そこまで言って、ふと気づく。

”焼豚にしてやろうと”と言ってた様に、豚頭オークの半身は何かに焼かれた様に爛れていた。

それをリリィが行ったのだとしたら、一体どうやって?

こんな小柄な少女でも豚頭オークを焼く方法、それは”魔術”だろう。


つまり、見た目は幼くとも”最低”ギンジと同じ15歳の成人なのだ。



「おお、あの豚頭オークはギン坊の方へと逃げたのか。それは迷惑をかけたの…ん?ギン坊は戦闘も出来るのか?」

「いや、半死半生だったから大した手間じゃなかった。だがどちらかと言うと、戦闘の方が得意だ」



”祝福”で得たのは【採取】であったが、元々は魔獣の討伐等をこなすつもりでそれなりに鍛えていた。

幼い頃に父から基本を教わり、今に至るまで繰り返し修練を積んでいる。



「ふむ、ギン坊は多才じゃの。どちらかと言うと、採取や調合寄りだとは思うが」

「…まあ、そうかもしれないな。それよりも、オレとしてはリリィが成人していた事の方が驚きなんだが」



それを聞いてリリィは、ニヤリと笑う。



「こう見えて、ギン坊よりかなり年上じゃぞ?まぁ、詳しい年齢は乙女の秘密じゃが」

「…かなり年上なんだったら、乙女じゃ無いだろう」



ギンの言葉に、ムッとした表情を浮かべる。



「女はいくつになっても乙女じゃよ、それにまだ我は未通女おぼこじゃしの」

「いや、そんな暴露はしなくていいから」

「…言葉の綾じゃ、忘れてくれ」

「いや、オレの方こそ失礼な事を言ってすまなかった」



余計な事を口走ってしまったリリィは、少し頬を染めてそっぽを向く。

ギンジとしても深く追及するつもりもないので、失礼を詫びてから話を切った。



「で、じゃ。助けてくれてた礼は、何がいいかの?」

「ん?礼なら受け取ったが?」

「言葉だけじゃあ、命の対価にしちゃ軽すぎるわい。何か欲しい物はあるか?」



それを聞いて、何やら思案気な表情を浮かべるギンジ。


何か見返りを求めてた訳でも無く、ただ無意識に助けただけなのだ。

それこそ、有難うの一言だけでも充分に思える。



「そうじゃ、残念ながら金銭は無理じゃ。手持ちが無いんでの、後日になっても良いなら構わんが」

「いや、別にお金はいらない。人の命と等価になるのに金銭はあり得ないからな、元から考えてない」

「ほう、若いのに中々…」



これも母からの教えだ、人命救助のお礼にお金を受け取ると言う事は『命に値段をつける』事と同義だと。

そうすると、必然的に『貧乏人には価値が低く、金持ちの価値は高い』と思うようになる。


命に貴賎など無いのだ、と母は言う。

ギンジもこれを全面的に肯定するつもりは無いが、とにかく人命救助では金銭を受け取らないとだけは決意していた。


その後暫く逡巡していると、更にリリィが口を開く。



「何もないなら、我の純潔を捧げようか?」

「…ご遠慮します」

「なんじゃ、つまらんのう…」



少し時間を置いて、キッパリと断るギンジ。

一拍開けたのは別に悩んだとかではなく、即答するのも失礼かという配慮。

リリィもそれを理解したのか、からかう材料を失いつまらなさそうに不貞腐れる。



「あー…じゃあ、魔術を教えて欲しい。とか」

「なんじゃ、そんな簡単なもので良いのか?じゃあ、それと我の純潔を…」

「結構です」

「…むぅ」



2度目は、食い気味に拒否しておく。

言葉を遮られ、頬をふくらませるリリィ。


苦笑いを浮かべるギンジ、ただの冗談だと分かっているからこその掛け合いである。



「まぁ、よい。その話は追々、の?…それじゃあ、右手を出すのじゃ」

「追々も無く、終わりだ。右手…こうか?」



差し出されたリリィの右手に、重ねる様に差し出すギンジ。



「今のままじゃあ、一生掛かっても使えんからの。ちょっと細工するのじゃ、集中しておけの」

「細工?って………っ?!」



少し首を傾げたギンジ。

するとその直後、右手を通じてリリィからギンジの体内に何かが送りこまれる。


急激に入りこんだそれは、ギンジの身体中を駆け回る。

ぐるぐると体内で蠢く感触に、吐き気を覚えた。



「っっっっっっっ!!!」

「ほう、まだ耐えれるか。思ってたよりも才能があるの、ならば遠慮なく」



リリィがそう言うと、体内の蠢きは更に加速する。



「…あ!…あ!…あ!」

「ほれ、もうちょっとじゃ。男なら根性を見せるんじゃ」



ギンジが堪えきれずに奇声を発し始めると、リリィは逆に嬉々として送りこむ量を増やしていく。

恍惚とした表情に、舌をペロリと出すその姿はまさにドS。



「ーーーーーー!!」



そして限界を迎えたギンジは、そのまま意識を手放していった。

その間際で「ふむ、やりすぎてしまったの」とか言う声と同時に、何かの声が頭に響いた気がした。
















『スキル【魔力操作】を取得しました』

『スキル【魔力操作】がレベルⅡになりました』

『スキル【魔力操作】がレベルⅢになりました』

『スキル【魔力操作】がレベルⅣになりました』

『スキル【魔力操作】がレベルⅤになりました、派生スキル【気力操作】を取得します』

『スキル【魔力操作】がレベルⅥになりました』

『スキル【魔力操作】がレベルⅦになりました』

『スキル【魔力操作】がレベルⅧになりました』

『スキル【魔力操作】がレベルⅨになりました』

『スキル【魔力操作】がレベルⅩになりました、上位派生スキル【魔術】を取得します』


『汎用スキルがカウントストップいたしました、制限を解除いたします』


『スキル【魔力操作】の制限解除、スキルの【能動使用】が可能になりました』

上位派生について


この世界のスキルは上から


特殊スキル

[越えられない壁]

複合スキル

[果てしない壁]

職業スキル

技術スキル

汎用スキル


と、なっています。


祝福で得た技術スキルがカンストし、職業スキルへと派生する事は常識で。

複合スキルは職業スキルを2つⅤにしなければいけないので、あまり知られていない。


そして、汎用スキルはカンストした例が無いので全くの情報が無い。

制限解除は汎用スキルがカンストした時だけ、一番低いランク故のサービスみたいな感じです。

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