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11/25

治療しました

スマホからの投稿です


ブクマ有難うございます

18/7/19改稿

主人公の名前を少し変更

少女の側に寄り、ギンジはホッと胸を撫で下ろした。


意識は無い様だが、額からは玉の様な汗が流れ落ち、荒々しく息を吐き苦悶の表情を浮かべていた。



「生きてたか、間に合って良かった」



小さくそう呟き、しゃがみこんで少女に”浄化クリーン”をかける。

服に染み込んでいた血の赤が、みるみる消えていき傷口がどこにあるのかがはっきりと見えた。



「切創と擦過傷、合わせて20はある。どんな目に遭ったらここまで傷が出来るんだ…」



先ずは一番大きな切創に”回復薬ポーション”をかける。

飲み易く調整をしている為、外傷には効果が少ないのだが、それでも”薬液”の殺菌・消毒効果は僅かに残っている。


破傷風や化膿を防ぐ為にも、綺麗に傷口を洗う必要が有る。

別に”浄化クリーン”でも構わないのだが、全ての傷口に”浄化クリーン”を使っていては、さすがにギンジの魔力が保たない。


ちなみに、原液の”薬液”を傷口にかけた場合、激痛が奔り心不全を起こす可能性が有るので注意だ。


洗い終えたら”軟膏”を指で掬い、傷口に埋め込む様にして塗っていく。

その後”解熱”に使える葉を当て、包帯を巻いて剥がれない様に固定する。


”テープ”が有ればそれで代用しても良いのだが、ギンジは包帯を常に持ち歩いて居るので何も問題は無い。

同じ様な処置を全ての傷に施す、因みに服は着せたままだったので、服の上から包帯を巻かれている少女。


男が相手ならば何も気にせず脱がせて処置したのだが、見た目が幼いとは言え女性なのだ、この方が後々の事を考えて最良だと判断した。

一応、服の繊維などが傷口に癒着しない様に細心の注意を払ったので、問題は無いはずだ。


…多分。


全ての処置が終わる頃には、苦しそうだった表情も穏やかなものになり、呼吸も随分と落ち着いて来た。



「さて、と」



一段落して、この後の事を考える。

ここから一番近いのは王都であり、この子も恐らく王都に住んでいるのだろう。

担いで連れて帰っても良いのだが、歩いて1時間はかかる道程を、少女に負担を掛けずに進める自信は無い。

それで傷口が開く様な事になれば、それこそ本末転倒だ。


時計ウォッチ”を確認すると、門限までは後2時間半。



「乗りかかった船だ。放置していくわけにも行かないし、このまま意識が戻るのを待つか」



日も暮れ始めて、少し肌寒く感じる。

収納ストレージ”から予備のローブを取りだし、横になっている少女へと被せる。

少し離れた所で、先程のような簡易的なかまどを組み、暖をとるギンジであった。



ーーーーー



パチっと言う、木の爆ぜる音が静かな森の中で鳴り響く。



「………む?」

「ああ…起きたか」



あれから暫く時間が経ち、もう辺りはすっかりと暗くなってしまった。



「…取り敢えず、これでも飲め」



そう言って”回復薬ポーション”を差し出す、それを無言で受け取りジッとギンジを見つめる少女。


殆ど白と言っても良いくらいに色の抜けた髪に、透き通る様な蒼い瞳。

着ている服も白色だからか、あまり目立たないが肌の色もやや白い。

大きくなれば”美人”になるのが確約されている顔つき。

が、今はまだ色々と未成熟でどちらかと言うと”可愛らしい”と言うのが相応しい。


暫く沈黙のまま見つめ合い、最初に声を出したのは少女の方だった。



「これは貴様がやったのか?」

「…え?あ、ああ。そうだ」



見た目に相応しい声色で、見た目に相応しくない口調で話しだした少女。

自らの身体に目を落とし、巻かれた包帯を指差す。



「ふむ。傷口を圧迫しない程度に、きつく巻かれた包帯。見えはせんが…この感じだともう傷口は塞がっておるか、薬の質も良いの。オランを手抜きせず、丁寧に練り上げてる証拠じゃ。そのかまどは出血して体温が下がっているのを見越して、緩やかに暖がとれる様に距離を調整しておるな。それに、傷口が修復された際奪われた体力を補填する為の回復薬ポーションは…」



そこまで矢継ぎ早に喋ると”回復薬ポーション”の瓶を開け、それを一気に呷る。



「うむ、美味い。ちゃんとヒルルカの薬効も抽出できておるし、魔水との割合も絶妙じゃ。これ以上少なければ効果は期待出来んし、多すぎれば飲み辛い」



うむうむと頷きながら”回復薬ポーション”を飲む少女、ギンジはその一連の様子に絶句した。


口調に…と言うのももちろんだが、それ以上に少女の知識量にだ。

少女が挙げた事の全て、幼い頃に母から教わって特に注意を払っていたものだった。



「君は一体…」

「おお、そう言えば礼がまだじゃった。危ない所、助けてくれてありがとの。我はリリィ…じゃ、気安く呼んでくれて構わんぞ」



見た目に相応しく無い口調でそう言い、見た目に相応しい笑顔を浮かべて右手を差し出してきた。



「あ、ああ。オレはギンジ・イチノセだ、別に大した事はしてない。気にしなくていいぞ、リリィ…で良いのか?」



そう言ってギンジも右手を差し出し、リリィの手を握る。

うむ。と頷くリリィと握手を終え、ギンジはリリィに何故こんな所で倒れて居たのかを尋ねた。

薬草の名前は適当です、今後出てくる予定も今のところ有りません。

名前を考えるのが苦手なので、基本その辺りはアバウトです。

なので”薬液”が”ヒルルカ濃縮液”とかに変わる事も有りません。


でも”浄化”が浄化クリーンになったり”着火”が着火ライト・ファイアになったりは有るかもしれません。

何かそっちの方がシックリくれば、ですけども。

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