説明は、おバカキャラ、新参者、いじっめっ子、ライバルを使う
ファンタジー小説の世界には、その世界ならではの独特のルールや設定があります。
その説明をする際、どうしたらわざとらしくならないか、説明の書き方に迷う人もいるでしょう。
たいてい、主人公が心の中で呟くとか、過去を振り返るなどの描写で行われることが多いと思いますが、説明はおバカキャラ、新参者、いじめっ子やライバルを使うと自然とできます。
特に主人公の生い立ちや出生に関することは、いじめっ子を使うとかなり自然にできます。
いじめっ子が主人公に暴力を振るい、主人公やその友達が「なんでこんなことをするんだ!?」と言ったとしましょう。すると、いじめっ子がすかさず言い返します。
「こいつの母親は魔法使いだろ? 魔法使いは昔、魔法で略奪をして罪のない人間を苦しめたんだ。魔法使いは悪魔の仲間だ。いいや、悪魔そのものだ。そんな魔法使いの血を引いているなら、こいつも悪魔ってことだろ? 悪魔には制裁を加えても許されるんだよ!」
こんな感じで、主人公の生い立ちや、まだ明かされていない主人公の特性などを主人公に代わって説明するのに役立ちます。
主人公がいじめられているところは書きたくないという方は、いじめっ子の代わりに「嫌味なライバル」も使えます。
ことあるごとに主人公に突っかかってくるライバルなら、主人公が一方的にやり込められることもないでしょう。
例えば、魔法使いが通う学校が舞台だとしましょう。そして、ほうきで飛ぶ飛行魔法の授業があって、そこで主人公が活躍しようものならすかさず表れて……。
「やあ、やっぱりすごいね、君は。ほうきで飛ぶ魔法‘だけ’は一流だよね。それ以外の魔法はさっぱりなのに。魔法史や薬草に関してのテストは散々だったのにねえ。やっぱり誰でも一つくらいは特技があるものなんだねえ」
「ああ、そうだね。他の科目では補習必須のバカなのに、飛行魔法だけがうますぎて、先週の飛行レースで優勝までしちゃって、予選敗退のプライドの高い誰かさんをいら立たせて、本当に悪いね」
こんな感じで主人公の成績や特技に関して主張したいときはライバルを投入すると、自然と説明できます。
自分から言い出すと嫌味に聞こえるようなことであっても、嫌味なライバルがいれば、ただの売り言葉に買い言葉と読者さんには映るので、主人公がことあるごとに自慢する傲慢な性格と思われることはないでしょう。
なので、主人公がいじめられているところを書きたくない人はもちろん、主人公自ら言い出すと自慢っぽくなりそうなことを説明したいときにも、ライバルキャラは使えます。
それ以外ではおバカキャラが便利です。
おバカキャラは、場の雰囲気を和ませてくれますし、ことあるごとに、「なにそれ?」「そんな事件あった?」と質問をしても不自然ではありませんし、主人公や他のキャラが「授業で習っただろうが! これは毒草だから素手で触るなって!」「二年前にあった事件だろうが! 周りの大人からさんざん、あの場所に近づくなって言われてただろうが!」などとツッコミがてら、説明をしてもわざとらしくなりません。
また、新参者や新入りなど、よそから来て勝手がわからないキャラを使えば、「あなたは今年からここに入ったのよね。なら、七年前に起こったことなんか知らないわよね」「この国の昔からの風習なんだけど、初めて見るのね」と、新入りに教えるスタンスで説明ができます。
身の回りのことやその世界の常識などの説明の際はおバカキャラが使えますし、何年か前に起こった事件やその土地の風習などは、その土地のことをよく知らない異国から来たばかりの人や旅人など、新参者や新入りがいれば説明をしても不思議ではありません。