ファンタジー世界ならではの事件や事故を起こそう
せっかく小説を書くのなら、物語の中で事件や事故の一つくらい起こしてもいいと思います。それも、現実世界では起こらない、ファンタジーならではのものを。そうすることによって、舞台を異世界にした理由にも説得力が出てきます。
例えば、水の都と呼ばれるような、地面や土で出来た道の代わりに、あちこちに水路や運河がある世界があるとしましょう。そういう場所ではたいてい水に関する事故が多いでしょう。また、それゆえに水の事故の対策もされていると思います。
例えば、そこに住む人々は水中に落ちた時に自力で這い上がれる程度の泳法は身につけているとか、水にぬれたら困るものは、徹底的に梱包してから運び出す、などです。
そういう対策をとっていたにも関わらず、事件や事故が起きるとしたら、どのようなものになるでしょうか。
例えば、泳ぎが得意な人が次々と水路や運河に落とされ、溺れる事故が多発したとか、いつの頃からか川の中に魔物や妖怪が住み始めた、何者かに大切な船に穴をあけられ、沈められそうになった、などが考えられますね。
ファンタジー小説で起こるハプニングは、泥棒やスリなど、現実でも起こりうることではなく、この世界だからこそ起こってしまった、と読者さんに思ってもらえるものだといいと思います。ただ、泥棒やスリを決して書いてはいけないというわけではありませんので、ここでは泥棒やスリの方が自然な展開になると思われた方はそれを書いてください。
また、そのハプニングを解決するために主人公の特技が生かされるとか、そのハプニングを通じて、本来なら出会うことのない、主人公とは住んでいる場所が違うキャラや、別の職業のキャラと自然と結びつけることも可能です。
例えば、主人公の家が貧乏で、船に乗るお金がないため、移動は毎回自力で泳いでいたとしましょう。
そうすれば、主人公は誰よりも長く水中で息を止めていられるとか、街中の水路や運河の場所やつながりを熟知しているとか、水中の生き物の生態にやたらと詳しいという設定にしても違和感がありませんし、その特技が事件解決に役立つように仕向けてもいいでしょう。
また、主人公がたまたま乗っていた船に、主人公とは全く違う職業の人が乗っており、事故が起こったことで助け合い、自然と親しくなったとしても、不自然にはなりません。
今、この世界でなにか事件や事故が起こるとしたら、どのようなものだと盛り上がるか、また、どういったキャラと自然と出会うきっかけになるか、そういう目線でも考えてみるといいかと思います。