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姫恋華~ひめれんげ~  作者: 藤原ゆう
第二章 暗躍するものたち
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ひとりがたり

「それは、ご側室のご懐妊がきっかけでございました。


江戸におられるご正室にお世継ぎが生まれることはなく、とうとう、お国許のご側室が殿の御子を身篭られたのです。


 殿は大層お喜びあそばされ、ご側室を大事に大事に慈しまれ、奥の一番日当たりの良い部屋をお与えになり、食事も吟味され、近侍する者も自らお選びになりました。


 ますますのご寵愛ぶりは江戸にまで聞こえ、ご正室はさぞ歯がゆい思いをなされたことでございましょう。


 そんな折、ご側室の御実家がお家断絶の処罰を受けることになった由にございます。


何があって、そのようなことになったのか。私どもには分かり兼ねることにございます。


ご側室にも詳しい事は知らされぬままお城を去ることとなられ、殿はご心痛のあまり数か月を床の中でお過ごしになったとか。端正なお顔立ちが、今や見る影もなくこけ、やつれておいでだそうで。


 お労しいことにございます。


 参勤交代で江戸に上られ、ご正室さまにお会いになることが果たして今の殿にとって良い事なのかどうか。


 私のような下々の者はついつい邪推してしまいますが、夫婦の仲は他人の考えの及ばぬこと。


 これで、ご正室がご懐妊なされたら、いくらかは殿のお慰めになるやもと、お祈りするばかりでございます……」

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