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28:災害大国

 大規模アップデートが終わると、ポストにチラシが入っていた。内容は勿論、どんなアップデートをしたかだ。

 以下はその要約である。


 その1。マップ解放。これで、ワールドマップが完成。

 その2。上記に伴い、Lv上限の引き上げ。

 その3。ギルドエリアに採取ポイント追加。採取した事のあるアイテムのみ採取可能となる。

 その4。ギルドショップで種・苗等の購入が可能になった。

 その5。装備品のカラーチェンジが可能に。素材とルマが必要。

 その6。『結婚』相手が異性の場合、子供が誕生。『離婚』した場合、子供は、どちらかが引き取るか・孤児院に預けるかを選べる。年齢によっては自立する。

 その7。猫島で、ジャイアント・キャット族に採取依頼が可能になった。ルマが必要。



 ギルドエリアで採取出来るようになったのは、嬉しいな。後、採取依頼も。ルマは大量にあるから、これで、今まで作れなかった物も作れるようになる。オリハルコン製の武器とかね。


 早速ギルドショップから、採取ポイントを購入する。【採掘】用の山・【伐採】用の木・【採取】用の草むら・【釣り】用の海・【農業】用の畑・【解体】用の家畜(?)と飼育舎等を。

「随分、広くなったな」

 暫くしてログインしたクルマが、辺りを見渡してそう言った。

「そうですね。海とか山とかを購入すると広くなるみたいです」

 これまでは塀に囲まれた土地だったのが、今では海に浮かぶ島になっている。

「魔物もいるのか」

「はい。家畜です」

「じゃあ、襲って来ないんだな」

「そうですね」

 その後、サイズが来るまで集会所に居る事にした。

 私はスキルを確認し、クルマは水槽の亀やクラゲや蛙等を見ている。


  騎乗……Lv18。中級。

  運転……Lv21。中級。

  通訳……Lv23。中級。

  魔物使い……Lv18。中級。

  行商……Lv31。上級。支店を出せるようになった。


  見破る……Lv33。上級。幻術・嘘等を見破れるようになった。

  解錠……Lv25。中級。

  忍び足……Lv33。上級。姿も消せるようになった。

  細工……Lv33。上級。密室が作れるようになった。【木工】に寄木細工・【調理】に飴細工・【裁縫】につまみ細工&ちりめん細工等追加。

  危険察知……Lv33。上級。ブラックリストに入れていない危険人物も察知出来るようになった。

  暗視……Lv26。中級。


 Lvは50になった。。


  素材入手マスタリー……Lv6。素材入手量2.2倍。

  加工マスタリー……Lv6。熟練度上昇2.2倍。

  芸術マスタリー……Lv6。熟練度上昇2.2倍。


 残り、1SP。


  呼吸の守り……Lv5。

  歩行の助け……Lv8。

  水泳……Lv5。

  防寒……Lv5。



 あ、そうそう。この1ヶ月の間に、3人で猫島へ通じるダンジョンを通って猫島へ行ったのだ。

 港町【シー】の近くに在るLv40以上推奨『海底洞窟』である。途中、寒かったり・水中に潜ったり・毒ガスが噴出していたりで大変だった。……言うまでも無いが、モンスターは、クルマとサイズとヴェルが破竹の勢いで殲滅した。

 そして辿り着いた猫島で、クルマは白いジャイアント・キャットを・サイズは黒いジャイアント・キャットを購入した。何れもヴェルより小さい。

 クルマは、【魔物使い】を上級にしてジャイアント・キャットを3頭使い、【運の良さ】を+30したいらしい。


 やがて、サイズもログインし、何時ものように狩りに行く。

 そんな当たり前の日常が、『ゲート』のサービス終了まで、ずっと続くと信じていた。


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「お疲れ様~」

 狩りを終え、ギルドエリアに戻って来る。

「じゃあ、お休み」

「はい。また明日」

「あれ?」

 ログアウトしようとしたサイズが疑問の声を上げ、クルマも眉を顰めた。

「どうかしましたか?」

「……ログアウトボタンが無い」

「……え?」

 無いって……サイズも死んだの?!

「私もだ」

「え?!」

 クルマまで?! どういう事?! まさか……デスゲーム化?


 サイズとクルマは運営にメールを送ろうとしたが、それも出来なかった。

「フジは?」

「私も出来ません。【シー】へ戻って、他の人に頼みましょう」



「何でログアウト出来ないの…! ××国のウイルスの所為?!」

「落ち着けよ。今、運営にメールしたから」

 ギルドエリアから【シー】に移動した途端、そんな会話が聞こえた。

「お前等! ニュース見たか!?」

 突然現れた男が、誰にともなく叫んだ。

「××で××が起きたって!」

 大災害が起きたと言う。

 この国は災害大国と呼ばれる国だ。何時こんな事が起きても、おかしくは無かったのだ。

「……う、うそ……」

 取り乱していた女性が、呆然と呟く。

「ログアウト出来ないんじゃ、避難出来ないじゃないか!」

 誰かが叫ぶけれど、手遅れじゃないかな?


 それ以降は、蜂の巣を突いた様な大騒ぎだった。

 死んでいないからゲーム内に居るんだろうと思いたい人達・状況からして生きている訳が無いと呆然としている人達・家族や友人の安否を気にする人達・死んだのなら何時までゲーム出来るのかと気にする人達。

 クルマとサイズは家族が居ないのか、職場の心配をしていた。

「フジは落ち着いているな」

「……実は、2月に死にましたので」

「そうじゃないかと思っていた」

 2人は驚かなかった。

「どうして?」

「ギルドエリアに入る時、ギルドメンバーがログインしているか・ログアウトしているかが表示されるだろう?」

「されますね」

「このゲームは『ログアウトしてから何日』だけじゃなく、『ログインしてから何時間』も表示されるんだ」

「……あー……」

 確認してみると、確かに私の名前の行の一番端に『3ヶ月』とあった。

「怖いと思いませんでした?」

「別に。不気味さを感じなかったし。……『白雪姫と7人の小人』の方がよほど不気味だった」

「はは……確かに……」


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 【サン】の【市場】に立てられた掲示板に、定期的に追加されて行く犠牲者の名前。

 確認して泣き崩れる人達・現実逃避なのか本気なのか、幽霊になったとはしゃぐ人達。

 【市場】で聞いた噂では、ゲーム内に死者がいるとネットで騒ぎになっているらしいが、本気にする人は稀だと言う。

「本当なら会いたいって言う遺族もいるらしいけど……」

「でも、お互い別人だろ? アバターだから。良いのか、それで?」

「アバターによっては会いたくないと思うけど。……ネカマとか」

 そんな会話を聞きながら、露店を出す。今日は花屋だ。


 VRゲームをしていなかったら助かったかもしれない人もいるらしく、禁止法案は可決されるだろうと言う噂も聞いた。


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「そろそろ、可決されたんでしょうかね?」

「犠牲者の魂がゲーム内に居ると信じている人達が、禁止しないでくれと押しかけているらしいが」

 噂を聞いたクルマがそう言った。

 大災害以来、私達は狩りをする気も湧かず、殆どをギルドエリアで過ごしていた。

「可決されたら、御祓いされるんでしょうか?」

「どうだかな」



 翌日、VRゲーム禁止法が可決された。

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